ルノー、2回目の「カングージャンボリー」
雨天でも200台のカングーが集結

2010年5月23日開催
静岡県裾野市 富士教育研修所



 ルノー・ジャポンは5月23日、静岡県裾野市の富士教育研修所で「カングージャンボリー」を開催した。

 その名のとおり、「カングー」ユーザーのためのイベント。2009年に第1回が開催され、今回が2回目。第1回は東京 有明のスペシャル・インポートカー・ショーの併催という形で開催され、250台のカングーが参加し、盛況に終わった。

 しかし、名古屋や関西のユーザーから「東京では遠すぎる」との声が寄せられ、今回はやや会場を西に移した。この目論見は当たったようで、会場では尾張小牧や長野、諏訪といったナンバーが見られた。

 当日は朝からあいにくの雨で、その勢いは時間を追って増すばかり。しかし、7時30分の開場時間までにはすでに20台以上が列を作り、開始時刻の10時には192台の新旧カングーが会場に整列。その後も続々と車両が到着し、最終的な参加台数は約240台(カングー以外のルノー車を含む)にのぼった。首都圏から離れ、悪天候であることを考えれば前年以上の参加があったと言えるだろう。

開幕3時間前、すでに10台以上のカングーが到着し、開場を待っていた会場に続々と入場するカングー
10時の開幕の時点で192台が到着、その後も数は増え続けた
カングー以外のルノー車も多数来場。会場の芝生広場に入りきれず、脇の通路にも並んだ
芝生広場を埋め尽くしたカングー。カスタマイズされた車両も散見された
会場の模様はUSTREAMとTwitterで実況中継された。中継車はもちろんカングー
2月から行われてきたフォトコンテスト「カングー、日本の道をゆく」。来場者の投票で最優秀作が決定された開幕の挨拶をするルノー・ジャポンの大極司COO

「ビーボップ」と「クルール」をサプライズ展示
 会場には、来場者のためのサプライズが用意されていた。オープニングセレモニーにやってきたのは、2台の「カングー ビーボップ」と3台の「カングー クルール」。

 ビーボップは、3ドアモデルのカングーをレジャー仕様に仕立てたもの。3870×1830×1840mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2310mmと、通常の5ドアのカングーより短いボディに、4つの独立したシートと、広いグラスルーフ、2トーンカラーのポップな内外装を備える。ハイライトはリアシート頭上のルーフを前にスライドオープンさせる機構で、リアゲートのウインドーを下げるのと合わせ、後席に大きな開放感をもたらす。また、リアシートは折りたためるほか、取り外すこともできる。

 エンジンは通常のカングーと同じだが、トランスミッションは5速MTのみ。これは、本国でもAT仕様が作られていないため。しかしステアリングホイール位置は日本向けに右に移されている。同社によれば、ビーボップは仏本国と日本でだけ販売されるモデル。そのためだけに右ハンドル仕様が作られるのは、異例のことだと言う。

オープニングセレモニーに登場したサプライズ展示車。ビーボップは2台、クルールは各色1台ずつ計3台が自走してやってきた
ビーボップの室内。ポップな色遣いのシートが特徴的カングーならではの大きなパーキングブレーキレバー。トランスミッションはMTのみパーキングブレーキレバーの下に、リアウインドーの開閉スイッチがある
前席と後席に大きなグラスルーフが備わり、大きなグリーンハウスや明るい色の内装と相まって、室内は明るくルーミー。前席のルーフのみチルトアップする1人分ずつ独立したリアシート。したがって定員は4名
リアシートは折りたためるほか、取り外すこともできる
リアシート頭上のルーフとリアウインドーを開けることができる。リアの機能を説明するのはルノー・ジャポン マーケティング部のフレデリック・ブレン マネージャー非常に注目度が高かった
もう1色のビーボップ

クルールでパリの“荷車”を気取る
 クルールは、英語では「カラー」の意を表す仏語。ブルー・フランス、オランジュ・プロヴァンス、ベール・パリという3色のソリッドカラーの5ドアモデルで、各30台ずつ、計90台限定で6月に発売される。

 これらのボディーカラーは本国でも標準のラインアップには用意されていない。しかし、本国の工場は300のボディーカラーを塗装できるのだと言う。カングーはもともと商用車、つまり“荷車”で、仏本国でもフリートユーザー(大口顧客)が多い。これらのフリートユーザーには、その会社や団体の要望に合わせた色が塗装されて納車される。300色はそのためにあるのだ。

 ちなみにベール・パリはパリ市役所の公用車、オランジュ・プロヴァンスは道路維持作業車、ブルー・フランスは電力会社のコーポレートカラーとゴルディーニ・ブルーの中間の色だと言う。

ベール・パリオランジュ・プロヴァンスベール・パリ

 これらは特注の塗装となるため、通常の機械塗装でなく、工場の職人さんの手吹きによる。また、バンパーやモールが無塗装の黒いままだが、これは、これらのサプライヤーが特注色を塗装できないためだと言う。しかしこの3色の出自を知れば、むしろ黒いバンパーのほうが、この3台には似合っているように思われる。

 クルールはATとMTが用意される。ビーボップ、クルールともに価格は発表されなかった。

クルマそれ自体よりも
 カングーという車種を反映してか、会場でもっともよく見かけたのは小さな子供を連れたヤング・ファミリー。このため、紙でクルマを組み立てる「ペーパークラフト教室」や、カングー車内のストレージに隠されたお菓子を探す「カングー宝探しゲーム」といった子供向けのアトラクションはいずれも大盛況。降り続く雨もものともせず、元気いっぱいに遊ぶ子供たちが印象的だった。

 このほかにネイルアートやフリーマーケットといったファミリー向け企画がほとんどで、クルマ好きのための企画はビーボップとクルールのサプライズ展示だけと言ってもよいほど。クルマそれ自体よりも、クルマで家族と面白いことをするほうが大事というのも、カングーらしいように思えた。

カングー車内に隠されたお菓子を探すカングー宝探しゲームネイルアートもカングーの中で
フリーマーケットも開催された

(編集部:田中真一郎)
2010年 5月 24日