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日産と三菱自動車、共同開発の新型軽自動車「DAYZ」「eKワゴン」のラインオフ式

6月6日には発表会を開催。中期目標として軽自動車市場で20%のシェアを目指す

ラインオフ式には日産の志賀俊之COO(中央左)、三菱自動車の益子修社長(中央右)、NMKVの遠藤淳一CEO(右)、栗原信一COO(左)が出席
2013年5月20日開催

 日産自動車と三菱自動車工業および両社の合弁会社NMKVは5月20日、三菱自動車の水島製作所において新型軽自動車「DAYZ(デイズ)」「DAYZハイウェイスター」「eKワゴン」「eKカスタム」のラインオフ式を開催した。

 DAYZ、DAYZハイウェイスターは日産から、eKワゴン、eKカスタムは三菱自動車から発売されるトールワゴンタイプの軽自動車。DAYZハイウェイスターおよびeKカスタムはエアロなどをまとった上級モデルとなる。

 概要はすでにアナウンスされているとおり、4モデルは新開発エンジンにCVTを組み合わせ、2WDのアイドリングストップ機能(約13km/h以下で作動)付きのモデルではJC08モード燃費で29.2km/Lを達成した。その一方で、ルームミラーに車両周辺の映像を映し出す「アラウンドビューモニター」、タッチパネル式の「フルオートエアコン」、紫外線を99%カットするという「スーパーUVカット断熱ガラス(フロントドア)」といった装備を備え、軽自動車ながらさまざまな上級装備が備わることが特長となっている。

パープルカラーを採用するのがDAYZハイウェイスター、ホワイトカラーがeKカスタム
eKワゴン
DAYZ
ラインオフ式には水島製作所の従業員らも参加した

 NMKVは、日産と三菱自動車がそれぞれ50%ずつ出資する合弁会社で、軽自動車の商品企画とエンジニアリングを担うとともに、車両の設計・開発、部品調達などを行っており、4モデルはこのNMKVで企画・開発された軽自動車シリーズの第一弾となる。ラインオフ式には日産の志賀俊之COO、三菱自動車の益子修社長に加え、NMKVの遠藤淳一CEOと栗原信一COOが出席した。

三強の一角にホンダが入った今、目指すは四強の一角

 はじめに登壇した遠藤CEOは「NMKVが企画・開発した初めてのクルマのオフライン式を迎えることができ、本当に嬉しく思う。合弁会社における取り組みはすべてが新しい経験でしたが、社員の皆さんの熱意と強い意志によって新しい協業の形を提案し、実現することができた。今後とも三菱自動車、日産自動車、NMKVの3者共同ならではの魅力あるクルマを作り続けていきたいと思う」と挨拶。

NMKVの遠藤淳一CEO
NMKVの栗原信一COO
「NMKVを通じて日産自動車として作りたい軽自動車を商品に反映させることができた」と語る志賀COO

 続いてDAYZハイウェイスターとeKカスタムに乗って志賀COOと益子社長が登場。DAYZハイウェイスターの助手席から降りてきた志賀COOは、「まず最初にこの日を迎えるにあたり、さまざまな苦労をされてきたであろうNMKVの皆さん、そして素晴らしいクルマに仕上げてくれた水島工場の、三菱自動車の皆さん。この場を借りて、深く皆様方にお礼を申し上げたい。三菱自動車と日産は、2010年12月に両社での協業を発表し、2011年6月にNMKVという合弁会社を設立したが、それからわずか2年で成果を見ることができた。日産は2002年から軽自動車市場へ参入し、たくさんのお客様に日産の軽自動車を買っていただいた。ただ、ずっとOEMを続けてきたので、『次はもっとこう変えて欲しい』というお客様の声をなかなか反映することができなかったが、NMKVを通じて日産自動車として作りたい軽自動車を商品に反映させることができた。同じ骨格なクルマが、それぞれ三菱自動車さんのeKワゴンは三菱自動車らしく、日産のDAYZは日産らしい、それぞれのブランド・DNAに合ったクルマに仕上がったと思う」と協業に至った経緯を述べるとともに、「企業の提携には色々な形があるが、このNMKVという1つの組織が両社のために企画をし、デザインをし、開発をしていく。そしてそれぞれの会社がそれぞれのブランドで販売をしてお客様に届けていく。これは本当にユニークで新しい協業のあり方と思う。日産はDAYZを6月6日に発表するが、日産の軽をたくさんの方に届けていきたいと思う。そして水島工場が生産で大忙しになるように、それを通じて岡山県倉敷市・総社市の皆様方に経済効果として貢献できれば日産として幸せに思う。これからどんどん三菱自動車の軽、日産の軽を日本国中に広めてまいります」と力強く宣言された。

DAYZハイウェイスター、eKワゴンに乗って志賀COOと益子社長が登場
益子社長は「2011年6月にNMKVを設立したときに記者会見で『我々は軽自動車で三強の一角を占めたい』申したが、すでに本田技研工業さんがこの一角に入っている。私どもは、四強の一角を目指して頑張っていきたいと思う」と目標を述べた

 また、益子社長は「この軽自動車の開発に至っては、企画・開発・生産と、色々な段階でNMKV、日産、三菱自動車の皆さんに会社という壁を取り払って、これまでにない軽自動車を作ろうという思いを1つに取り組んできた結果が、この新型車に凝縮されていると思う。私はこの2つのクルマを見て感銘を受けた。両社のお互いのいいところを取り入れた結果がこのクルマに結びついたわけであります。この軽自動車の協業を通じて、企画・開発・生産の段階においてそれぞれが持っていなかった視点や経験をお互いに取り入れることで、先行する他社と十分に戦える商品を手にすることができた」と述べ、両社協業によるシナジー効果がよい方向に進んだことをアピール。

 水島製作所については「今年で70周年を迎えるが、50年以上にわたって軽自動車を作ってきた。今日から水島製作所は新しい軽自動車の生産に挑戦することになる。ここ数年、円高というものがあり、水島製作所の生産台数を減少しなければならないことがあった。そうした中で、私は水島製作所の皆さんに『自分で生きる道を考えなければダメだ。誰も助けてくれないんだ』と言ってきた。つまり海外の工場に品質とコストで勝てる工場にしなければ明日はないと申し上げてきた。こうしたことを受け、水島製作所の皆さんは水島製作所の火を消してはならないという強い思いを持って改革と工夫に取り組んでくれた。また、岡山県、倉敷市、総社市という地元の多くの方々の協力を得て今日のオフライン式に結びつけることができた。しかし、挑戦するという気持ちを今後とも皆さんには持ち続けてもらいたいと思うし、待っていては何も解決しないということは今後も心の中に強く持って欲しいと思う」と、今後も危機感を持って生産に取り組んで欲しいとの旨を語るとともに、「2011年6月にNMKVを設立したときに記者会見で『我々は軽自動車で三強の一角を占めたい』申したが、すでに本田技研工業さんがこの一角に入っている。私どもは、四強の一角を目指して頑張っていきたいと思う。高い目標ではあるが、この2年間、関係者の方が培った信頼関係と熱意、情熱があれば必ず達成できるものと思う」とし、今後も両社が力を合わせて戦っていくとの決意表明を行った。

ラインオフ式に出席した岡山県知事の伊原木隆太氏は「岡山県のために、新しいチャレンジをするNMKVを応援していきたい」と挨拶
倉敷市市長の伊東香織氏は今回の協業について、「地元の市長として住民皆が喜んでいる。水島の地にとって、自動車産業にとって新しい大きな一歩になるよう心から願っている」と語った
総社市市長の片岡そういち氏は「水島製作所やサプライヤーメーカーにあやかりたいあやかりたいじゃなく、地域としてこの会社を、このクルマを愛してお互いが支えあってもっと成長していく仕組みでないといけない」と述べた
日産、三菱自動車の団結の証として、岡山県の名産であるジーンズ地のフラッグにNMKVのメンバーや出席者らの名前が書かれた

中期目標として20%のシェアを目指す

 オフライン式のあとには、志賀COOと益子社長による記者会見が行われた。以下、記者とのやり取りを記す。
──NMKVとしての年間生産台数は。また日産と三菱自動車それぞれの販売目標は。またお互いライバルになると思うが、どのような点をそれぞれ強みに出して軽市場に参入するのか?
志賀COO:生産台数、販売目標については6月6日の両社の発表会で確認していただきたい。

益子社長:協力と競争はあっていいものだと思う。実車を見ていただければ分かるとおり、“日産らしさ”“三菱自動車らしさ”が出ていて、十分に住み分けができている。健全な競争を続け、お互いにいい結果残していきたいと思っている。

──四強の一角に入ることが実現できるとしているが、シェア率はどのくらいを考えているか?
益子社長:四強というと、単純に25%ずつということになるが、そこまでななかなかすぐにいかないと思う。昨日志賀さんと話をしたが、20%くらいは目標(編集部注:中期目標として)にしたいねという話をしている。単に希望を言うにとどまらず、実現したいと思っている。

──日産として軽自動車の開発に本格的に携わったのは初めてだと思うが、軽自動車市場に参入する意味は?
志賀COO:昨年の数値で言うと、500万台強という日本市場の中で200万台(40%)を軽自動車が占める。軽自動車は燃費であったり便利であったりと、お客様のニーズに合った商品になってきている。これは2002年に我々が軽自動車市場へ参入したとき、当時マーチのお客様が軽自動車に流出していることがあり、流出したお客様を戻っていただくためにそのための受け皿が必要なんだと感じた。これは日本の中で軽自動車という市場が完全に形成されたんだなと思ったが、その軽自動車自身が燃費や性能などの面においてすごいスピードで進化している。ですから日本市場の4割を軽自動車が占める中で真剣勝負の戦いをしていかなければ、お客様に興味を持ってもらえないと思う。

──日産から見て水島製作所をどのように評価しているか。また水島製作所での生産台数40万台をどのようにキープしていくのか?
志賀COO:先日初めて水島製作所を見学させていただいたが、やはり70年の歴史がある工場だなと感じた。その歴史の中で、おそらくさまざまなご苦労があったのだなと思うが、非常に合理的な運用をされている。商品だけでなく、作る(生産する)ところでもお互いに学び合おうということができている。

益子社長:水島製作所が生き残っていくにはどうしてもコスト競争力をつけなければならない。それから工場自体が古いため、耐震への投資をしていかなければならない。そうした中で、日産と共同で軽自動車の生産ができたので、思い切った投資ができた。

──現状で日産が持つOEM車はどうなっていくのか?
志賀COO:従来からOEMはいくつかの会社とやっている。具体的にそれに影響するものはないし、スズキさんともやっているが大きな戦略変更をしているわけでもない。OEMというのは、一般的にはラインアップの中で少し弱いところを他社からの製品によって補強をするということだが、今回の場合の軽自動車については市場が大きくなってきたので企画段階から携わっている。

──今後の軽自動車と登録車のバランスはどのように考えているのか?
志賀COO:お客様が商品を選ぶので、お客様のニーズに合わせた商品を提供していくわけだが、一方で日産としては登録車のメーカーでありますし、比較的高級車からラインアップを揃えている。とくにDAYZの販売台数が増えることによって(今までの販売台数よりも)増えるということを期待しているわけで、我々の工場で生産する台数が減るとは理解していない。登録車は登録車で頑張って生産し、DAYZもしっかり売っていきたいと思っている。

益子社長:ようやく他社と互角以上に戦えるクルマを作ることができた。デザインあるいは質感から見ても十分に戦えると思っている。登録車は国内だけじゃなく海外でも販売しており、海外の方が比重が高いわけであります。この2~3年苦しんできた状態とはずいぶん違った環境の中にいるので、登録車の生産ももう少し台数が増やすことができると思っている。

──日産らしい軽自動車の“日産らしい”ポイントとは?
志賀COO:登録車で使っている技術、例えばアラウンドビューモニターなどを入れ込んだ。これらは登録車では入れ込むことができているが、OEMの場合だと日産のバッヂはついているものの日産として提供できていなかった技術があったので、そういったものは企画の段階で入ったことで反映できた。何よりも今回、益子社長とは意思決定のやり取りをいくつかさせていただき、厚木のテクニカルセンターに来ていただいたこともあった。そういう過程を通じて日産のお客様に、あるいは益子さんにとっては三菱自動車のお客様に商品を届けたいという気持ちが入った自分たちの商品なんだという点で、今までの軽自動車にはないもの。それぞれの商品の特長についても6月6日の発表会で確認していただきたい。

(編集部:小林 隆)