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NEXCO東日本、11月度定例会見で首都圏の大雪対策を紹介

スマートメンテナンスハイウェイ構想の具体化に向け、内閣府が推進中のSIPにも参加

11月11日に災害調査の実地実証で利用したカナダ エリヨン製UAV(無人飛行体)「スカイレンジャー」
2014年11月26日開催

11月度の定例記者会見出席者。左から、NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏、NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 鹿島幹男氏

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は11月26日、11月度の定例記者会見を開催して2014年10月の営業概要を発表した。

 10月の通行台数、料金収入の速報値は、通行台数が1日平均276万8000台(対前年比2.5%減)で、料金収入が687億3700万円(同20.0%増)となった。また、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の売上高は122億9000万円(対前年比1.8%減)。分野別では飲食・商品販売が約87億1000万円となって対前年比0.5%の減少、ガソリンスタンド部門は約35億8000万円で同4.8%の増加となっている。

 NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長の山内泰次氏は通行台数が減少した要因について、4月からの料金割引制度の見直しの影響のほか、ガソリン価格の動向や天候のよしあしなどによって変動する部分であるとしながら、引き続き注視していきたいと語った。また、前回までと同様、利便増進計画の終了に伴う料金割引制度が再編された影響により、前年度までは割引後の料金が通行料金として計上されていたことに対し、現在は割引分を事後に無料走行分として利用者に還元する制度となっており、この影響で通行台数が減りながらも経理上の料金収入が増えていることを説明した。

NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏

 SA/PAの売上高は、10月前半は2回台風が上陸した影響から3連休などでも売り上げが伸び悩んだものの、後半は天候に恵まれて好調となり、結果的に前年比からの微減で落ち着いている。また、ガソリンスタンドの売上では消費税が増税された影響のほか、各油種で単価が前年同時期から5円ほど高くなっているが、レギュラー/ハイオクともに給油量が減少してマイナスとなっている。

NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏

 営業概要の解説に先だってNEXCO東日本 代表取締役社長の廣瀨博氏がこの1カ月のできごとなどをトピックとして紹介。まず、9月度の定例記者会見で12月6日に開通させることを公開した常磐自動車道「浪江IC(インターチェンジ)~南相馬IC」「相馬IC~山元IC」について、それぞれ同日15時に開通となることが決定したことに加え、各IC間の通常料金と深夜割引、休日割引の料金が確定したことを語った。それぞれの通行料金については、NEXCO東日本が公開しているPDF資料(http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h26/1118/pdfs/03.pdf)を参照いただきたい。これに加え、常磐自動車道で残る常磐富岡IC~浪江IC間を2015年のゴールデンウイーク前までに開通させるべく全力で取り組んでいることもあらためて明言された。

 また、今年2月に大雪で首都圏の各高速道路で大規模な通行止めが発生したことを受け、これから迎える冬期期間には除雪体制の強化などの大雪対策を行うことが紹介された。

 詳細の解説は管理事業本部長の山内泰次氏から行われ、2015年にかけての今シーズンは「首都圏の除雪体制を強化し、通行止めの回避に努める」「関係機関との連携強化を図り、通行止めの早期解除に向けた新たな対策を実施」「除雪作業の支障となる滞留車両の早期排除を行い、通行止め時間の短縮を図る」「お客さまへの情報提供について新たな取り組みを展開」の4点を柱に対策を実施するという。なかでも除雪体制の強化では約6億円の予算を投入し、除雪車4台、ロータリー車8台の計12台の雪氷車両を新規購入。さらに都心から成田国際空港を連結する東関東道を「最重要路線」に位置づけ、独自に除雪車を4台購入。大雪が予想されるときには近隣事務所からの応援体制を構築し、最大で18台の雪氷車両を投入できる除雪体制を用意している。

 情報提供の取り組みでは、従来から行っている大雪の予想に対する2~3日前からの注意喚起に加え、24時間程度前から朝・昼・夕方に通行止めが行われるおそれのある路線や地域についての情報公開を新たに実施。また、電話による問い合わせを受け付けるお客さまセンターにユーザーからの電話が殺到し、一時的に非常に繋がりにくい状況になってしまったことを反省し、災害時の情報を配信する専用ツイッター「NEXCO東日本(道路防災情報)」(https://twitter.com/e_nexco_bousai)を新規開設。このツイッターアカウントで情報配信するほか、iPhone/Android対応アプリ「ドラぷらアプリ」に災害情報などのポップアップ通知機能を追加、交通情報を配信する「ドラとら(http://www.drivetraffic.jp/map.html)」からのメール配信強化などを実施する。これらの施策により、冬の安全な高速道路利用を目指すとしている。

会見場には実証実験で使われたUAV3モデルを実機展示

 このほか、2013年7月に発表された「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)」構想については、同日に国内外の大学などの研究機関と共同で新たな開発プログラムを開始することを発表。内閣府が推進している「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に参加して、NEXCO東日本が研究責任者としてリードする研究テーマ「高度なインフラ・マネジメントを実現する多種多様なデータの処理・蓄積・解析・応用技術の開発」をはじめ、共同開発者として参画する5件のプログラムに取り組むことを発表した。

 また、10月~11月に「球体型スキャニングロボット(ジンボール)」などのUAVを使った実証実験を行い、省力化によるこれまで以上に充実した安全管理体制の確立を目指す姿勢もアピールしている。とくにUAVによる取り組みについては2015年度も実証実験を行う予定であるものの、開発の完成度にこだわることなく早期の実用化を目指したいと語られた。

球体型スキャニングロボット(ジンボール)

 スイス連邦工科大学 ローザンヌ校 知能工学研究所で開発された「ジンボール」という通称が与えられた球体型スキャニングロボット。αモデルと呼ばれる1号機で、直径40cmで総重量は400g。10分~15分の探査が可能で、周囲に張り巡らせたバンパーにより、15km/h以内の衝突に耐えられる。11月4日~5日に上信越自動車道の橋梁で、下床版を点検する実証実験が行われた。

αモデルと呼ばれる球体型スキャニングロボット「ジンボール」
周囲に張り巡らせたバンパーの内側に本体をレイアウト
RCヘリ用のプロポを使って操縦。これまでのUAVがGPSを利用していたのに対し、簡単な操作で橋梁の下側をチェックできるのがアドバンテージになる部分
本体の上下に設置したプロペラで飛翔、姿勢制御を行う
本体に装着する高解像度カメラでコンクリートのひび割れなどをチェックする

スカイレンジャー

 カナダのエリヨン・ラボ製の「スカイレンジャー」は直径102cm、総重量約2.4kgのUAV。最高高度は約500mで、約50分の探査時間を誇る。国土交通省が進めている「次世代インフラ用ロボット実証実験」に参加し、11月11日に国道1号・浜名大橋で行われた災害調査部門の実証実験で上空からの撮影に利用されている。

カナダのエリヨン・ラボ製の「スカイレンジャー」。本体下側に設置された球体上のカメラを使って周囲を撮影。本体左側のタブレットがコントローラー、右側のユニットでコントローラーからの入力を本体に送る
プロペラはカーボン製
ボディーからプロペラに伸びるそれぞれのアーム先端にモーターを内蔵する
ボディーに設置された製品ロゴ

スカウト

 スカイレンジャーと同じエリヨン・ラボ製の「スカウト」。ひとまわり小型で、直径は80cm、総重量は約1.2kg。最高高度はスカイレンジャーと同一の約500mだが、探査時間は約20分。軽量なぶん風の影響も受けやすいが、小型のボディーで小まわりが効くことがポイント。スカウトも国土交通省が進めている「次世代インフラ用ロボット実証実験」では橋梁維持管理部門に使われ、10月28日に実証実験を行った。

コンパクトなボディーで機動性を追求した「スカウト」
スカウトのカメラユニット
スカウト、スカイレンジャーともに分解が可能で、専用ケースに収めて持ち運べる仕様となっている

(編集部:佐久間 秀)