試乗インプレッション

DSブランドのフラグシップ「DS 7 クロスバック」でガソリンモデル約2000km、ディーゼルモデル約1500km走ってみた

 2017年の東京モーターショーで公開されたDS Automobiles(プジョー・シトロエン・ジャポン)の新規投入モデル「DS 7 クロスバック」がこの7月に正式リリースされた。

 現在、DSブランドとしてはフラグシップになるこのSUVは、ガソリンとディーゼルの2種類のエンジンが搭載される。そこで、早速ガソリンモデルを約2000km、ディーゼルモデルを約1500kmほど、それぞれ東北方面へ長距離テストに連れ出してみた。

「DS アクティブスキャンサスペンション」全車で標準装備

DSブランドのフラグシップモデル「DS 7 クロスバック」

 フランス車といえばやはり乗り心地に注目したい。DS 7 クロスバックの全グレードに標準装備される「DS アクティブスキャンサスペンション」は、メルセデス・ベンツ「Sクラス」に搭載される「マジックボディコントロール」とほぼ同様のもので、マルチファンクションカメラが車両前方5~25mの範囲の路面状況を常時高速スキャンして路面状況を把握。この情報をもとに4輪のショックアブソーバーの減衰力を最適化し、快適な乗り心地を乗員に提供する装備だ。このシステムはドライブモードの「コンフォート」を選択(デフォルトは「ノーマル」)することで作動するが、これもSクラス同様に、夜間やハードレイン、雪道などでは路面の凹凸が読み切れないという理由から機能しない。

 日本向けで搭載されるエンジンは今回テストした2種類。ガソリンは新開発の直列4気筒DOHC 1.6リッターターボの“ピュアテック”225型で、これは「DS 3」のパフォーマンスに搭載された208PSバージョンをベースに、エギゾーストバルブにも可変タイミング機構を取り入れると共にフリクションを低減。また、過給圧安定のため排気ウェイストゲートバルブを電動化した。ガソリンエンジンでも微粒子フィルタを備え、欧州排気ガス浄化基準6.2をクリア。最高出力225PS/5500rpm、最大トルク300Nm/1900rpmを発生する。

新開発の直列4気筒DOHC 1.6リッターガソリンターボエンジンは最高出力165kW(225PS)/5500rpm、最大トルク300Nm/1900rpmを発生

 一方のディーゼルエンジンは最高出力177PS/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リッターディーゼルターボで、「DS 4」や「DS 5」に搭載されたものと同じ“Blue HDi”180型である。どちらのエンジンもPSAグループ初となる8速ATの「EAT8」が組み合わされ、これまでのEAT同様アイシンAWとの共同開発によるものだ。

直列4気筒DOHC 2.0リッターディーゼルターボエンジンは最高出力130kW(177PS)/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmを発生

 そのほかにもデザインなど語るべきことは多々あるが、それはおいおい本文で触れることにして、早速走り出そう。

第一印象は高い静粛性

DS 7 クロスバック グランシック

 今回テストしたガソリンモデルは上級グレードのグランシック(Grand Chic)。そこにオプションのインテリア「オペラ」を組み合わせたもの。ナッパレザーを使用したシートには、DSの上級モデルで使用されてきたウォッチブレスレットをモチーフとした形状を与え、そこにパーフォレーテッド加工が施された。インパネやドア周りはあえてまだら模様に染め上げたアートフィニッシュレザーが採用されるなど、まさにフランスはパリのシックにして独創的なインテリアに仕上がっている。

グランシック専用装備の「B.R.Mアナログ時計」は、すぐ下にあるスタートストップボタンを長押しすると反転して姿を現わす

 センタークラスター上部にあるスタートストップボタンを長押しすると、グランシックにのみ装備されるB.R.M製アナログ時計が出現し、同時に静かにエンジンは目覚める。プジョー系のモデルにも採用されている“くの字”に折れたシフトセレクターのサイドにあるボタンを押しながら手前に引いてDレンジをセレクト。ゆっくりとアクセルを踏み込むと静かにDS 7 クロスバックは走り出した。

マフラーエンドをリアバンパーに一体化させたインテグレーテッドタイプ
SUVらしく、ドアパネルがサイドシルまでカバーするスタイルを採用。乗降時に足下が汚れないだけでなく、下まわりからの音を遮断して静粛性も向上させている

 しばらく路地裏の狭い道をしずしずと走る。ここで感じたことは2点。ロードノイズやエンジンノイズが非常に静かなこと、そしてAピラーから生えたドアミラーが視覚の妨げになることだ。

 ノイズに関して大きく貢献しているのは、サイドシルまで覆うようにしたドア形状だろう。これにより下まわりからの音を遮断。同時にサイドシルが汚れないため、乗降の際にパンツやスカートなどの裾を汚さずに済むという大きな利点もある。一方、ドアミラーに関しては、ドアパネルから生やすことで左右前方の視界を確保できることから、近年は多くのメーカーが採用しているのだが、残念ながらDS 7 クロスバックには取り入れられていないので、交差点の右左折時などは注意が必要である。

 さて、広い国道に出てゆっくりと深くアクセルを踏み込んでみよう。わずかにエンジン音が高まりつつ、ストレスのない加速を開始する。エンジンパワーは1590kgの重量に対して十分以上で、混んだ街中をすいすいと走り抜けられた。

ボディサイズは4590×1895×1635mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2730mm。グランシック ガソリンエンジン搭載車の車重は1570kgで、最低地上高は200mm

大径タイヤがあだに

 期待した乗り心地に関しては、ガソリンモデルに関しては正直失望を禁じえなかった。この最大の原因は、235/45 R20というサイズのタイヤ(テスト車はグッドイヤーのEAGLE F1 ASYMMETRIC 3のSUV用を装着)だ。よほどの良路でない限り、とにかくばね下が重く常にどたばたと暴れ、時に跳ねたりなどオーバースペック以外の何物でもない印象だった。こうした状況なので、せっかくのドライブモードやDS アクティブスキャンサスペンションも制御しきれないのか、ほどんどその効力を見いだせなかったことを報告しておく。

 そのドライブモードだが、ノーマルとコンフォートの違いはわずか。デフォルトはノーマルで、エンジンを切るとどのポジションを選んでいても必ずこのモードに戻る仕組みだ。コンフォートモードで走らせてエンジンをストップ。再びスタートした際に、ノーマルモードのまま走行しても特に気づかないほどなので、ノーマルモードにDS アクティブスキャンサスペンションを組み合わせ、コンフォートモードは廃したほうが有効にも思えた。

 さらにこのタイヤの影響で、ボディ剛性の弱さも露呈してしまった。特にフロア周りから路面のざらついた印象が足の裏などに伝わってくるのだ。また、ロールセンターも少々高めなので、必然的に足も固めなければならず、乗り心地に影響を与えてしまっている。

グランシックで採用する235/45 R20タイヤ

 ここで少し面白いと感じたのはステアリングフィールだ。適度な重さで路面からのフィールも適切に伝えてくるのだが、キャスターアクション(ステアリングが中央に戻ろうとする力)が強く、いにしえの「DS」や「CX」などに搭載されていた「セルフセンタリングステアリング」を彷彿とさせるのだ。このあたりは設計者が意識したのかどうかは不明だが、DSブランドを操っていると思わせるポイントではある。

 高速道路に乗り入れての第一印象も市街地と大きく変わらず、とにかく静粛性に優れているということだ。雨の中を走る機会もあったのだが、それほどロードノイズが高まることもない。

 しかし、乗り心地に関しても市街地と同様にバタつき、段差や継ぎ目などで突き上げがかなりある。かといって、コンフォートを選ぶとダンピング不足で少しあおられたり、コーナーでふらついたりする印象なので、コンフォートは街中で使うのが適していると言える。

「インテリジェントハイビーム」の機能を備える「DS アクティブLEDビジョン」はグランシックに標準装備、ソーシックにオプション設定
コーナーリングランプ機能付きのフロントフォグランプは全車標準装備
リアコンビネーションランプには3Dエフェクトを使った斜め格子模様を採用

ベストマッチな18インチタイヤのディーゼルモデル

DS 7 クロスバック ソーシック

 このあたりでディーゼルモデルに乗り換えてみよう。こちらはベーシックグレードのソーシック(So Chic)で、インテリアは「バスティーユ」。ブロンズ色を織り交ぜたファブリックシートの仕様だ。

 こちらもガソリンモデルの時と同様、路地裏からスタート。そこで驚いたのは乗り心地のしなやかさだ。ばね下の重さを感じさせずに、マンホールのふたや段差を乗り越えていく。やはり乗り心地の要因はタイヤにある。テスト車のソーシックは235/55 R18(オプションのミシュラン LATITUDE TOUR HP M+S)を装着しているのだ。つまり、明らかにばね下が軽く、さらにタイヤのハイトもあるため乗り心地方向に大幅に貢献しているのだ。もちろん、ボディ剛性はガソリンと同じなので、よく観察すると弱さを発見するが、タイヤの影響でガソリンモデルほど顕在化はしていない。

 エンジンはトルクフルであり、街中の加速時などで痛痒を感じることはまったくない。また、振動や音も気になるレベルにはない。ただし、これは車内でのこと。車外ではやはりディーゼルノイズはそこそこ聞こえてくる。また、ディーゼルモデルでは車両の停止寸前にアイドルストップが介入し、燃費向上を図っていることも興味深い。そのシステムは自然で違和感を覚えなかったことを付け加えておこう。

ボディサイズは全車共通だが、ディーゼルモデルは最低地上高が180mmとなる

 高速道路に入ると、乗り心地の印象はますますよくなる。ガソリンモデルよりもダンピングが効いており、フラット感が増しているのだ。基本は18インチで設計したとしか思えないくらい非常によいできである。ロードノイズやエンジンノイズもきちんと遮断されている。元々ガソリンモデルでもその印象は強かったが、18インチタイヤになったことも相まって、さらに高いレベルになっている。

 タイヤが変わったことでドライブモードのノーマルとコンフォートの印象がより明確になった。ノーマルのほうがやや硬めで、コンフォートよりも段差などで角を感じるのだ。しかし、直接切り替えながら観察をした結果として感じられるものなので、ノーマルのままでもまったく不都合はない。また、コンフォートでのみ作動するDS アクティブスキャンサスペンションの作動を昼と夜の比較で試したのだが、18インチのソーシックでもあまり差が感じられなかった。もっとも、ここで大幅な差が感じられたとすれば、それはそれで問題ではあるのだが。

ソーシックのタイヤサイズは235/55 R18。試乗車ではオプション設定のミシュラン製のM+Sタイヤを装着していた

 タイヤが18インチになったこと、また、エンジンが異なってフロント荷重が増えた(前軸重はガソリンが930kg、ディーゼルが1000kg)ことも相まって、直進安定性はかなり高い。その証拠に、直線路でしばらく走っているとクルマ側から「ステアリングに手を添えろ」と警告が出るほどだ。もちろんこちらはステアリングを握っているのだが、修正舵を与える必要がないほど直進安定性が高いので、クルマ側が勘違いをしてそんな警告が出てしまうのだろう。

ソーシックのインテリア。標準仕様の「バスティーユ」ではブロンズ色のシート表皮や内装材を採用する

ACCなどはいま一歩

 さて、長距離移動に欠かせない「アクティブクルーズコントロール」(ACC)や「レーンポジショニングアシスト」(LPA。白線を読んでレーン内の好みの位置をキープするようステアリングをアシスト。ACC作動時のみ稼働)がこのDS 7 クロスバックにも採用されているので試してみた。その結果、18インチと20インチの差と同時にシステムそのもので気になる点が見えてきた。

 まず、ACCとLPAを併用すれば、高速道路の緩やかなコーナーレベルであればほぼエラーなく走行が可能だ。特に18インチタイヤを履いたディーゼルのソーシックの場合、その作動はよりスムーズだった。

 一方、前走車に追いついた場合や追従時のACCはマナーが決していいものではない。せっかく8速ATになったにも関わらず、減速の調整はシフトダウンなどを使わずにほとんどブレーキで行なうため、頻繁にブレーキランプが点灯。後続車に気を遣うあまり、結局ACCを解除してアクセルコントロールで車間距離を調整してしまった。これは他のPSAの車両も共通なのだが、もっとエンジンブレーキやシフトダウンなどで速度調整ができるようにしてもらいたい。

路面状況を高速スキャンしてショックアブソーバーの減衰力を変更する「DS アクティブスキャンサスペンション」は、フロントウィンドウのカメラで路面の凹凸などをチェックする

 また、「アクティブレーンキープアシスト」(LKA。車線からはみ出そうになった時にステアリングをアシストして元に戻そうとする機能)は、20インチタイヤを履いたグランシックではかなり神経質で頻繁に介入してしまうため、それが疲労につながり、こちらもスイッチをOFFにして走行してしまった。もう少し設定を緩やかにするなど対応が必要だ。そうでなければ、せっかくの機能を疲れるからと使わないということになり、本末転倒になってしまう。

 もう1つ気になった点として、高速道路での渋滞時のマナーがある。ACCやLPAなどを統合した「DS コネクテッドパイロット」は完全停止まで対応し、かつ3秒までの停止であれば自動で再発進する優れた機能を備えているだが、20インチタイヤでのLKA、あるいはLPAはかなり過敏で常にステアリングの微修正を行なっており、掌の中でびくびくと動き続けるのはとても不快だった。この動作は18インチタイヤではあまり感じなかったので、これも20インチタイヤのデメリットと思われた。

ラゲッジスペース容量は555L(VDA方式)。6:4分割可倒式のリアシートを活用してスペースを拡大できる

アヴァンギャルドで魅力的なインテリア

グランシックのインテリア。標準仕様はレザーシートなどを装備する「リヴォリ」だが、試乗車はナッパレザーシートなどを採用する「オペラ」となっていた

 Cセグメントのアッパークラスに位置するDS 7 クロスバック。そのインテリアは細部にまで作り込まれており、見るものを飽きさせない。それは前述のB.R.Mの時計しかり、センターコンソールのパワーウィンドウスイッチ類しかりだ。そこには18世紀に考案されたギョシェ彫りという金属加工模様が施され、これは高級機械式時計の文字盤加工として光の反射を抑えるためにブレゲが使い始めたとされている。もちろん、スイッチそのものは金属ではなく樹脂なのだが、一見して金属を使っているかのように見せ、目を楽しませてくれる。

 こうしたこだわりはセンタークラスターのタッチパネル類にも及ぶ。クライメットコントロールやナビ画面、オーディオ類の画面上の切り替えはこのスイッチをタッチすることで行なうスタイルで、確かに見た目は美しいが、実際に作動したかどうかは見ていないと分からない。デザインを優先したためだろうが、少々歯がゆい思いをさせられた。さらに、この並びの一番右側にハザードランプのスイッチが存在しており、その位置はステアリングに隠れて見えず、瞬時に押すことが不可能だ。ここはぜひ独立させ、操作しやすい場所に変更してもらいたい。

センターコンソールには18世紀に考案された金属加工模様「ギョシェ彫り」が施され、独自色の強いスイッチ類のデザインなどと合わせてアヴァンギャルド(前衛的)な世界観を表現している

 もう1つ、ステアリングスイッチについてだが、左右両方のスポークにダイヤルがついており、左側のダイヤルを操作するとメーター内の右側にメニューが現れ、メーターディスプレイ全体の表示を変えることができるものだ。そして右側のダイヤルはラジオのチューニング用である。左側のスイッチでメーター右側のメニューを操作する点、同じく左側のダイヤルの下にボリュームのボタンがあることを考えると、ダイヤルの機能は左右逆であることが望ましい。

 リアシートまわりは足下もフラットで、センタートンネルの出っ張りもなく広々としている。グランシックには電動のリクライニング機能が装備され、オートエアコンの操作もフロントシートの間にあるリアコントロールで可能だ。座面が若干短いことを除けば快適に過ごすことができるだろう。

センターコンソールの「8インチタッチスクリーン」は全車標準装備。Apple CarPlay、Android Autoにも対応する
グランシックのセンターコンソールは、オートエアコンの「リアアコントロール」の操作パネルと吹き出し口を備える

燃費はもう一歩伸びてほしい

 最後に燃費を記そう。ガソリンのグランシック、ディーゼルのソーシックそれぞれ、混雑した市街地では9.0km/Lと10.1km/L。同じく郊外の空いたバイパス路などでは13.1km/Lと13.5km/L。高速道路では13.8km/Lと16.4km/Lという結果であった。市街地や郊外路であまり差がつかなかったのは、ソーシックに装着していたM+Sタイヤの走行抵抗が大きかったためだと思われる。対して高速道路では淡々と一定速度で走ることができるため、加減速時の走行抵抗が抑えられたものと考えられる。

 トータルとしてDS 7 クロスバックの燃費性能は、ガソリンは標準かそれを少し上まわるレベル、ディーゼルでは平均を少し下まわるレベルであった。一例としてマツダ「CX-5」のWLTCモード燃費を記しておくと、2.5リッターの2WD(FF)ガソリンモデルは市街地で10.8km/L、郊外で14.3km/L、高速道路で15.7km/L、2.2リッターの2WD(FF)ディーゼルモデルは同じく、13.9km/L、17.6km/L、19.6km/Lである。重量や排気量に差はあるが、同じセグメント内であることを踏まえると、やはりディーゼルはもう少し伸びてほしい。

全車でステアリングスイッチとパドルシフトを備える革巻ステアリングホイールを標準装着。フルデジタル表示のメーターパネルも全車で採用
表示内容を自在に変更できる

お勧めは“ディーゼルの18インチ”

 DS 7 クロスバックは現在のDSブランドにおけるフラグシップである一方、CセグメントのSUVでもあるため、大幅なコストをかけられない点は考慮しなければならない。それを踏まえてもエクステリアやインテリアのデザインは非常に魅力的であり、アヴァンギャルドである同ブランドを代表するクルマであると言える。加飾に関しても樹脂パーツながら十分に考えられ、見た目も重視され、所有欲を満足させるものだ。

 かなりの注目と言えるDS アクティブスキャンサスペンションだが、正直なところその効能ほどの実力は感じられなかった。ハイドロニューマティックサスペンションのようなしなやかな足さばきではなく、正直に路面の状況を乗員に伝えるが、それは前述のようにノーマルのモードよりも角が落とされたもの。ただし、これはドライブモードのコンフォートそのものが持っている特性でもあるので、一概にDS アクティブスキャンサスペンションの実力とは言い切れないのである。

オペラ仕様のシートは、エレガントさとホールド性を両立する「ウォッチストラップデザイン」のナッパレザーシートを採用。パワーシートはグランシック専用装備

 さて、どのグレードを選ぶか。ここまでお読みいただいて、おおよその結果は想像できたと思う。乗り心地を重視して長距離もこなしたいという方には、ぜひ18インチタイヤを履いたソーシックをお勧めしたい。すべてにおいてバランスが取れているからだ。個人的にもDS 7 クロスバックを買うならこのグレードにする。確かにオペラのナッパレザーシートは魅力だが、ソーシックのモケットシートも捨てがたい。

 さらにここまで触れなかったが、実はソーシックにのみ用意される装備がある。それはM+Sタイヤとのセットオプションとして、ドライブモードにプジョー「2008」や「3008」と同様の「グリップコントロール」が設定され、「スノー」「サンド」「マッド」のモードが追加されるのだ。あまり使うことはないかもしれないが、せっかくSUVを買うのであれば心情的にもこのモードは魅力に感じるはずだ。

 最後に1つだけわがままを言えば、ソーシックにもぜひB.R.Mのアナログ時計を装備してもらいたい。ふとセンタークラスターに目をやると、この時計が目に入りニヤリとしてしまうほど魅力的な装備なのだから。

内田俊一

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー 25 バカラと同じくルノー 10。

Photo:高橋 学