試乗レポート

トヨタ「安心ドライブサポートクッション」にベンチシート対応モデル登場 その使い心地は?

2022年7月1日 発表

4510円

ベンチシート対応の「安心ドライブサポートクッション」が登場

脚の開きに注目した安心ドライブサポートクッションとは?

 メーカー各社、事故を減らすために多大な技術とコストをかけ、悲惨な事故は年々減ってきている。ここで紹介するのはレーダーやカメラのようにメーカーが最初から装備する高度なものではなく、誰でも簡単に装着できるシートクッションだ。クッションに少し工夫を凝らすことで座ると正しい運転姿勢を取りやすくなり、ペダルの踏み間違いをなくそうという発想だ。

 今回紹介するシートクッションはドライバーの運転姿勢改善を目的とするので、疲労軽減を図ることにもつながる。販売は2021年10月にトヨタディーラーから開始され、手ごろな価格もあり4月までの半年で1万個を超える販売実績がある。商品名は「安心ドライブサポートクッション」。シート座面に被せるように固定すると、サイドサポートが盛り上がった形状をしているので自然に足の位置がアクセルペダルと正対する姿勢を取ることができる。

 よく見かけるのはドライバーズシートに座ると身体にシートを合わせるのではなく、シートに身体を合わせるドライバーが意外と多い。また年齢を重ねると股関節が開き、足を広げて運転する人が多くなる。つまりアクセルペダルに正対して右足が伸びるのではなく、アクセルペダルの右側を踏むのが常態化してしまい、慌てているとブレーキを踏むつもりでアクセルペダルを踏んでしまう可能性もあるということだ。

 この足の開きに注目したのが安心ドライブサポートクッションのサイドサポートだ。一見、セミバケットシートのような形状をしているが、サポート部が高くその幅もあるために普通のシートとは少し形状が異なる。

 開発者の河村氏によると、大腿二頭筋腱(つまりシートサイドで言えば真ん中より前側の位置)の位置を30mm以上の高さでサポートすることで、足が内側に入りアクセルペダルに正対させることができるという。また、アクセルとブレーキペダルの踏み変えでの筋肉への負担を調査すると、安心ドライブサポートクッションを装着することで負担軽減するデータが得られている。

 安心ドライブサポートクッションはこれまではセパレートシート用しかなく、パッソや軽自動車のベンチシートのユーザーからの要望が高かったため、座面の広いベンチシートに対応した「安心ドライブサポートクッション」が発売された。セパレートシート用では表面素材をスウェード調とした「Luxury」(6160円)とニットを用いた「Basic」(4290円)が用意され、ベンチシートタイプではBasicタイプとなり4510円という価格だ。

7月1日に追加されたベンチシートに対応する「安心ドライブサポートクッション」(4510円)。パッソ、ピクシスジョイ、ピクシスメガ、ピクシススペースなどに対応する
安心ドライブサポートクッションでは2個/片側のクッションバッグが標準装備され、さらに調整・交換用として2個付属。好みに応じてクッションバッグを増やしたり減らしたりできる
セパレートシート用の安心ドライブサポートクッション。表面素材にスウェード調を用いた「Luxury」(右)とニットを用いた「Basic」(左)を設定
こちらは試作品のサイドサポート。試作の初期段階ではサイドサポートが固定式で存在感のあるものだったが、徐々に小型化していき、販売段階では出し入れ可能なタイプとなっている

しばらく使っていると自分の体になじんでくる

 このベンチシートタイプの安心ドライブサポートクッションを装着したトヨタ自動車「パッソ」でいろいろ試してみる。

 最初にクッションなしでシートに何気なく座ると股関節が開き、O脚気味に足が伸びているのが分かる。立派な高齢者スタイルだ。次はクッションを装着して座ってみた。サイドサポートは左右2個ずつのクッションが入っており、ドライバーに応じて高さを合わせられるようになっている。このクッションはかつお節のような袋に入った小さなパイプ状の柔らかい素材だ。このほかに調整用のクッションが2個付属する。

写真上が標準シートに座ったところ、下が安心ドライブサポートクッションを装着して座ったところ。足の開き方が異なる点に注目

 安心ドライブサポートクッションの装着は簡単で、座面とシートバックの間にクッションの後端を挟み込み、前端はシート両端に締め上げられるバンドで取り付けるとピタリと収まる。クッションの厚みは3mmほどあり、わずかにヒップポイントは上がるがすぐに気にならなくなる。

 走る前にサイドサポートを調整する。最初座った時は太もも裏の少し外側を押される感じだが、右足はすっきり伸びてアクセルペダルと正対する。さらに付属のクッションを入れて高さを上げてみた。圧迫感が少し強くなったので自分には合わないようだ。ちなみに同行した大柄な編集者はクッションを3個入れた仕様が合っていたようだ。

 さらにクッション材を1個にしてみた。右足はペダルと正対するが、なんとなくフィット感がない。自分に合うのは標準のクッション2個ずつのようだ。もっとも左側のクッションはABペダル配置には影響しないのでなくてもよい。ただ左側クッション2個仕様でも邪魔にならず、圧迫感もほとんど感じなかった。

 パッソのABペダルは少し右寄りにレイアウトされているので、安心ドライブサポートクッションの矯正効果は高く、右足は正しくアクセルペダルに伸びている。

サイドサポートを調整して好みの仕様に仕上げられる

 街中からメイン国道を走る。細い裏道は小学生の下校時間にあたり飛び出しに注意しながらそろそろと走る。右足の位置はすぐにブレーキペダルに踏み変えられる位置にあるのを意識する。

 30分以上走っていると太もも裏側にあった違和感が少なくなっていた。身体的に馴染んでくるのと同時にクッションが押されて収まりのいい位置になってくるようだ。クッション素材の位置も大切だが、それ自身も変形もするので第一印象よりしばらく使ってからのフィーリングを再確認したほうがよいだろう。

 クッションによりアクセルペダルに対して右足が本来の位置にくるのは開発者の狙いどおりで、小一時間のドライブでも確認できた。発売から年数の経過した車種でも簡単に取り付けられるので、クッションの適応性は高い。

 このシートクッションはメーカー製品らしく難燃性素材を使い、何千回にもおよぶ乗降試験など高い耐久性を確保している。既存車にも対応車種が多く、2021年10月に終了したサポカー補助金後にも手軽に購入・装着できる安全サポートグッズで、トヨタのディーラーを中心としてジェームスでも購入可能だ。ダイハツディーラーからも販売される計画という。

 適応車種があるので購入時には注意が必要だが、セパレートシートに追加される形で登場したベンチシートタイプにはブラックとライトベージュの2種類のカラーから選択できる。そしてもちろんシートベルト装着が前提となり、正しいドライビングポジションで安全運転に心がけましょう。

ベンチシート向けの安心ドライブサポートクッションは新色のライトベージュとブラックを展開
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。

Photo:高橋 学