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写真で見る マツダ新型「CX-5」(量産前確認車)

 マツダ「CX-5」はミドルサイズのクロスオーバーSUV。マツダが進めてきた「モノづくり革新」の旗手が、いよいよ2代目にバトンタッチすることになる。なお、今回撮影できたのは「量産前確認車」であり、実際に市販される車両とは異なる場合があるので注意していただきたい。

新型CX-5。撮影車両のボディカラーは新色の「ソウルレッドクリスタルメタリック」。グレードはXD L Package

 CX-5がデビューしたのは2012年のこと。マツダでは2007年から「スカイアクティブ」技術の開発をスタート。その成果はエンジンやボディなどで順次ニューモデルに投入されてきたが、初代CX-5からトランスミッションやシャシーまで全面的に採用されたのが特長だ。数多く登場したスカイアクティブ技術の中でも、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」は、ディーゼルエンジンの常識を打ち破る低圧縮比により高い環境性能と動力性能を両立。それまでネガティブなイメージが強かったディーゼルエンジンのイメージを覆すことに成功している。

 その結果、「2012-2013 日本カー・オブ・ザ・イヤー」など国内はもとよりグローバルで多くの賞を獲得するなど高い評価を獲得。2015年4月には生産開始から3年5か月あまりで世界累計生産台数100万台を達成した。一方、マツダ側から見ても販売全体の25%以上、収益では4割以上を占めるなど、マツダの屋台骨を支える重要なモデルに成長している。

初代(写真右、ボディカラーはジールレッド)との比較
ボディサイズはほぼ同じだが、新型はよりワイドで精悍な印象となる
新型(写真左)はワイパー取り付けを低い位置に変更することで風切り音を減少。フロントガラスの板厚もアップしている

 こうした背景のもと、2代目としてデビューするのが新型CX-5だ。「クルマに乗る全ての人の歓び」をテーマに、「誰をも魅了する美しさ」「直感的にクルマと人をつなぐ考え抜かれた機能」「乗る人すべてと息の合う走り」を目指して開発された。

 エクステリアは「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」のコンセプトを踏襲し、重心を下げるとともに前後トレッドを拡大。全長は4545mm(初代比+5mm、以下同)で全幅は1840mm(増減なし)と初代モデルとほぼ同サイズながら、全高を1690mm(-15mm)に抑え、Aピラーの位置を35mm後方に移動することで、ワイドで力強いプロポーションを強調している。

 パワートレーンはベース部分で初代モデルを踏襲。ベース部分と断ったのは、最近のマツダ車は「一括企画」による商品改良を行なっており、モデル途中でも大きな改良が加えられている。つまり、踏襲といってもそのままではなく、「最新型の初代CX-5に、より新しい技術が投入された」エンジンなりサスペンションなりが採用されている。

 エンジンは直噴2.0リッターおよび2.5リッターのガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」「SKYACTIV-G 2.5」と、直噴2.2リッターのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」が用意される。トランスミッションは初代と同じく日本仕様では6速ATのみ、駆動方式は2WD(FF)と4WDが用意される。7月に大幅改良した「アクセラ」から搭載されている、エンジンの駆動トルクを利用して車両の安定性を高める新世代技術「G-ベクタリング コントロール(GVC)」も採用されている。

 2WDのみとなるSKYACTIV-G 2.0は最高出力114kW(155PS)/6000rpm、最大トルク196Nm(20.0kgm)/4000rpm。JC08モード燃費は16.0km/L。SKYACTIV-G 2.5は2WDと4WDでスペックが異なり、2WDは最高出力140kW(190PS)/6000rpm、最大トルク251Nm(25.6kgm)/3250rpm。JC08モード燃費は14.8km/L。4WDは最高出力135kW(184PS)/6000rpm、最大トルク245Nm(25.0kgm)/4000rpm。JC08モード燃費は14.6。どちらのユニットもエンジン出力の改善やピストン抵抗の低減などにより応答性を向上。自然吸気エンジンらしいリニアなフィーリングが楽しめるという。

 SKYACTIV-D 2.2は「デミオ」や「CX-3」に搭載されるSKYACTIV-D 1.5に採用済みの「DE精密過給制御」「ナチュラル・サウンド・スムーザー」「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」を新たに搭載。スペックは最高出力129kW(175PS)/4500rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/2000rpmで現行モデルと変わらないが、レスポンスの向上などによる走り、そしてディーゼルノック音の大幅低減などによる静粛性向上などで磨きが掛けられている。JC08モード燃費は17.2(4WD)~18.0km/L(2WD)。

 安全装備の面では全車速追従機能付の「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」を新採用したほか、いわゆる衝突回避被害軽減ブレーキである「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」の対象を歩行者まで拡大するとともに、作動速度領域を約4km/h~80km/h(歩行者検知は約10km/h~80km/h)に拡大するなど、パフォーマンスアップが図られている。

 ヘッドライトは先日商品改良を行ったCX-3に搭載された「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」を上級グレードに標準装備。12ブロックに分割されたLEDにより、ハイビーム時に対向車や前走車周辺を自動的に減光する「グレアフリーハイビーム」機能、約40km/h以下での走行時に従来のロービームでは届かなかった範囲まで照らすことが可能な「ワイド配光ロービーム」機能、約95km/h以上で走行時に自動的に光軸を上げて照射範囲を拡大する「ハイウェイモード」機能などを実現している。

 グレードは2.0リッターガソリンエンジン搭載車が「20S」「20S PROACTIVE」で、2WDのみを設定。2.5リッターガソリンエンジン搭載車は「25S」「25S PROACTIVE」「25S L Package」の3タイプで、25S L Package以外は4WDのみ。

 2.2リッターディーゼルエンジン搭載車は「XD」「XD PROACTIVE」「XD L Package」の3タイプ。全グレードで2WDと4WDが選択可能となっている。

 ボディカラーは新色の「ソウルレッドクリスタルメタリック」のほか、「マシーングレープレミアムメタリック」「ジェットブラックマイカ」「チタニウムフラッシュマイカ」「ソニックシルバーメタリック」「ディープクリスタルブルーマイカ」「エターナルブルーマイカ」「スノーフレイクホワイトパールマイカ」の全8色が用意される。

ミリ波レーダーに加え、新開発の「フォワード・センシング・カメラ」を採用。安全装備の作動領域を拡大している
ウインカー内蔵のドアミラーは初代と同じくドアマウントにすることで視界を確保
ウエストラインにメッキパーツを装着することで高級感のある佇まいを演出。同時にドアまわりの段差や隙間を低減することで騒音も減少させている
リアウィンドウ形状を変更。よりワイドに開くようになったが全開にはならない
フューエルリッドは丸形から角形に変更。タンク容量はガソリン、軽油ともに2WD車が56L、4WD車は58L
ルーフ後端はスポイラー状の張り出しが弱くなった
4WD車には専用バッヂが付く
PROACTIVE系とL Package系はアダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)を標準装備。点灯パターンは順に消灯、ウインカー、ポジション、ロービーム、ハイビーム
リアコンビネーションランプは側面に縦方向のエッジが設けられる。気流をボディから引き剥がすための処理だという
リアコンビネーションランプの点灯パターン。順に消灯、ポジション、ブレーキ、ウインカー、バックランプを含む全点灯
リアフォグランプも装備。現状ではグレード別装備なのかオプション品なのかは不明
2.2リッターディーゼルエンジンの「SH-VPTS」型。DE精密過給制御の採用によりレスポンスがアップし、走りの質感を向上させている
タイヤ&ホイールは17インチと19インチを用意。撮影車両は19インチのトーヨー・PROXES R40を装着しており、サイズは225/55 R19
マフラーは左右2本出し
ホワイト仕様のインテリア。インパネは水平基調で左右対称のデザイン
ステアリングはCX-3と同様のデザイン
シンプルな3眼式メーター。右側は4.6インチカラーTFTを採用したマルチインフォメーションディスプレイ
上級グレードにはヘッドアップディスプレイ「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」を採用。従来のコンバイナーを使用するタイプからガラス面に直接投影するタイプに変更されている
シフトセレクターは初代モデルの後期型と同じくストレートタイプ
シフトセレクター後方にマツダコネクトのインターフェイスと電動パーキングブレーキのスイッチをレイアウト。電動パーキングブレーキにはホールド機能も付く
新型(写真左)はセンターコンソールを高くして、シフトセレクター上端とドアアームレストをほぼ同じ高さとしている
オルガン式のアクセルペダルは健在。左足のフットレストは現行モデルと同じくカバーが付かない
インパネ上部中央にマツダコネクト用センターディスプレイを配置。ベゼル部の加飾廃止はCX-3と同様の流れ
「BOSEサウンドシステム」装着車のツィーターはインパネ上部からAピラーに移動した
デュアルゾーンのオートエアコン。シートヒーターとステアリングヒーターも装備
ステアリングコラム右側のスイッチパネル。パワーリフトゲートのスイッチが新設されている
センターコンソールのドリンクホルダーは並びが縦から横になって使い勝手が向上
センターコンソール後方の収納スペース。内部にはUSB端子やDC12Vソケットがある
脊椎を自然で理想的なカーブでホールドすることを目指したフロントシート。新開発の高減衰ウレタンなどの採用によって乗り心地を向上させ、疲労を軽減する
フロントドアのドアトリム
ドアアームレスト部のスイッチ。ドアミラーの格納スイッチが独立したほか自動格納機能も追加されている
リアシートはシートバック角度を現行モデルより2度倒すとともにリクライニング機構を追加。最大で現行モデルより6度寝かせることが可能になった
リアドアのドアトリム
センターコンソール後端にエアコン吹き出し口が設けられた
リアシート中央にアームレストを用意
カップホルダーとともにシートヒーターのスイッチなどを内蔵
2.1A給電が可能なUSBポートも用意される
ラゲッジスペース。「カラクリトノカバー」は継続採用
ラゲッジスペースは4:2:4分割可倒式リアシートによりさまざまなバリエーションが選択可能。定員乗車時のラゲッジ容量は505L
ラゲッジスペースの左右側面に後方からリアシートを倒せるレバーを装備
トノカバーにフラップを設けることでリアシートの静粛性を向上
ラゲッジフロア下にサブトランクを用意。BOSEサウンドシステム装着車ではサブウーハーを配置する
L Package系(標準)とXD PROACTIV(オプション)にパワーリフトゲートを設定