レビュー

【レビュー】パイオニアの新感覚タブレットAVシステム「SDA-700TAB」&「FH-7600SC」を使ってみた

安心の高温耐久性能。外して持ち歩けるのも便利で防犯性も高い

Androidタブレットを核にAVシステムが構成できるタブレットAVシステム

 カーナビにとって大切な要素の1つとなっているのが、リアルタイムに情報を取得すること。携帯電話や通信用ドングルなど、試行錯誤の時代を送ってきたけれど、最近はもっぱらスマホをテザリングして使うのがメジャーになってきた。

「そんなのめんどくさい!」っていう人は、スマホやタブレット単体で済ませてしまうことも多いハズ。ただ、それにも問題がある。1つは置き場所。どうしても別途スタンドなどの固定器具が必要で、見た目にもあまりよろしくない感じになってしまう。もう1つは充電。ナビアプリは意外と電気食いなので、短距離&短時間ならともかく、結局「線をつなぐ」って作業は必要だ。そして、もう1つ大きいのが温度。特にこれからの時期は駐車中に車内に置き去りにしてしまうと、イザ出発って時に「温度上昇のため機能制限しています」なんて表示が出て使えなくなってしまうことも。もちろんナビ使用中にもこうしたことは起こりうる。

 こうした諸々の「めんどくささ」を解消してくれるのが、カロッツェリアが2020年モデルとしてリリースしたタブレットAVシステムだ。これはタブレット「SDA-700TAB」と、クレイドルの役割を持つBluetooth/USB/チューナー・DSPメインユニット(メインユニット)「FH-7600SC」を組み合わせたもの。店頭予想価格はともに3万2000円前後(税別)となる。取材時間の関係でほんの触りだけではあるけれど、この新しいアイテムを紹介していこう。

タブレットAVシステムとは?

 まずは要のタブレット。基本的なスペックは下表の通りで、イマドキのタブレットとしてみると、エントリークラスといった位置づけになる。ただ、“車室内”でも楽しめるだけにキッチリ温度対応が明記されているのは嬉しいところ。

SDA-700TABの主な仕様

 一方のメインユニットには50W×4chアンプやDSPなどといった、主にオーディオ系のシステムを内蔵。そのほか外部機器接続用としてサブウーファーやRCA出力、それにバックカメラ用のRCA入力、映像や音楽ファイル再生用USB端子、ハンズフリー用マイク端子などが備わっている。

 このシステムのキモとなるタブレットの装着は、メインユニットに装着されたホルダーを利用する。ホルダーには接続端子(デタッチコネクター)が用意されており、タブレットを物理的にドッキングすることで映像や音声の再生が、さらに専用アプリ「Pioneer Smart Sync for Tablet」を利用することで設定変更や音質調整も行なえる。また、Bluetooth接続することで、Bluetoothオーディオやハンズフリー通話も利用可能だ。

 さて、それじゃ実際に触ってみて……となるわけだけれど、今回お借りしたモデルは発売前とあってソフトウェアが最終仕様ではないとのこと。そのため細かな使用感は控えるけれど、基本的な使い勝手は上々。タブレットの取り付け、取り外しはとてもカンタンで、ほぼワンタッチで余計な配線接続は不要だし、アームやスタンドでの装着と違ってガッチリと固定されるのもポイントが高い。その上、最近の据え置き型カーナビのようなフローティング風の装着となるので、ディスプレイ部がドライバーに近い位置となるため操作しやすく見た目的にもスマートだ。画面上でタイムアライメントをはじめとするオーディオ系の設定が可能だったり、バックカメラの装着が可能だったりするのも間違いなく大きなメリットとなる。

 ただ、カーナビとしてみると難点もある。1つはタブレット単体で外部との通信機能がないため、別途スマホによるテザリングなどが必要になってしまうこと。もう1つは自車位置測位をタブレットに依存しているため、精度面に不安があることだ。もっとも、後者は普通のタブレットを持ち込んで使っても同様だ。

 こうしたタブレットスタイルのAVシステムには、実はもっと大きなメリットがある。それはオーディオまわりはそのままに、性能面で進歩が早いタブレット部分だけを交換できること。例えば、10インチやフルHDといったディスプレイが何パターンかラインアップされていて、ユーザーが愛車に合せて選べるなんてことになると面白い。また、ゲームもしたいなんてユーザー向けには、ハイスペックSoCや大容量RAMモデルなんてのもあってもよいかもしれない。それ以外にも4G(5Gでも)通信機能を内蔵して単独運用可能にする、なんてことも……。ぜひとも、そういった方向性でじっくりと進化させていってほしいシステムだ。

装着状態は据え置き型カーナビのようなスマートさ
タブレットを取り外した状態。つまりFH-7600SCのみだとこんな感じ。デタッチコネクター下にあるのが取り外し用ボタン
SDA-700TAB
裏面
デタッチコネクターがある。下に見える楕円形状のパーツはボリュームボタン。ここだけ物理スイッチなのだ
USBコネクタやマイクロSDカードスロットを用意
電源とボリュームスイッチ
インカメラ
アウトカメラ
装着時は上側を爪に引っかけてから下側を押し込んでパチンと固定するだけ
タブレットだけ取り外して持ち運べるから防犯面でもメリットがある
ホーム画面。下段中央3つがラジオ、Bluetoothオーディオ、ビデオの再生アプリ
GMSフォルダ。ここだけ見ると普通のAndroidタブレットと変わらない
初期導入アプリ
設定画面
システム設定
チューナー画面
交通情報もワンタッチ
ウェブサイトはもちろん動画もOK
USBメモリ内の映像はプレイヤーアプリで再生
96kHz/24bitまでのFLACファイル再生にも対応。ただし再生時は48kHz/16bitでのダウンサンプリング再生になる
当然、Googleマップも利用可能
渋滞や衛星写真表示もそのまま使える
ピクチャーインピクチャー機能も
Googleマップを使ってカーナビにも
オーディオ設定メニュー
イコライザはプリセットが豊富に用意されている
迫力ある低音再生が楽しめるスーパー轟サウンド
カンタンに車種にあったセッティングが可能
タイムアライメントも搭載
サブウーファー設定
スピーカーレベルも個別設定可能
イルミネーションやインターフェースのカスタマイズもできる

安田 剛

デジモノ好きのいわゆるカメライター。初めてカーナビを購入したのは学生時代で、まだ経路探索など影もカタチもなかった時代。その後、自動車専門誌での下積みを経てフリーランスに。以降、雑誌やカーナビ専門誌の編集や撮影を手がける。一方でカーナビはノートPC+外付けGPS、携帯ゲーム機、スマホ、怪しいAndroid機など、数多くのプラットフォームを渡り歩きつつ理想のモデルを探索中。