レビュー
【レビュー】パイオニアの新感覚タブレットAVシステム「SDA-700TAB」&「FH-7600SC」を使ってみた
安心の高温耐久性能。外して持ち歩けるのも便利で防犯性も高い
2020年7月9日 00:00
カーナビにとって大切な要素の1つとなっているのが、リアルタイムに情報を取得すること。携帯電話や通信用ドングルなど、試行錯誤の時代を送ってきたけれど、最近はもっぱらスマホをテザリングして使うのがメジャーになってきた。
「そんなのめんどくさい!」っていう人は、スマホやタブレット単体で済ませてしまうことも多いハズ。ただ、それにも問題がある。1つは置き場所。どうしても別途スタンドなどの固定器具が必要で、見た目にもあまりよろしくない感じになってしまう。もう1つは充電。ナビアプリは意外と電気食いなので、短距離&短時間ならともかく、結局「線をつなぐ」って作業は必要だ。そして、もう1つ大きいのが温度。特にこれからの時期は駐車中に車内に置き去りにしてしまうと、イザ出発って時に「温度上昇のため機能制限しています」なんて表示が出て使えなくなってしまうことも。もちろんナビ使用中にもこうしたことは起こりうる。
こうした諸々の「めんどくささ」を解消してくれるのが、カロッツェリアが2020年モデルとしてリリースしたタブレットAVシステムだ。これはタブレット「SDA-700TAB」と、クレイドルの役割を持つBluetooth/USB/チューナー・DSPメインユニット(メインユニット)「FH-7600SC」を組み合わせたもの。店頭予想価格はともに3万2000円前後(税別)となる。取材時間の関係でほんの触りだけではあるけれど、この新しいアイテムを紹介していこう。
タブレットAVシステムとは?
まずは要のタブレット。基本的なスペックは下表の通りで、イマドキのタブレットとしてみると、エントリークラスといった位置づけになる。ただ、“車室内”でも楽しめるだけにキッチリ温度対応が明記されているのは嬉しいところ。
一方のメインユニットには50W×4chアンプやDSPなどといった、主にオーディオ系のシステムを内蔵。そのほか外部機器接続用としてサブウーファーやRCA出力、それにバックカメラ用のRCA入力、映像や音楽ファイル再生用USB端子、ハンズフリー用マイク端子などが備わっている。
このシステムのキモとなるタブレットの装着は、メインユニットに装着されたホルダーを利用する。ホルダーには接続端子(デタッチコネクター)が用意されており、タブレットを物理的にドッキングすることで映像や音声の再生が、さらに専用アプリ「Pioneer Smart Sync for Tablet」を利用することで設定変更や音質調整も行なえる。また、Bluetooth接続することで、Bluetoothオーディオやハンズフリー通話も利用可能だ。
さて、それじゃ実際に触ってみて……となるわけだけれど、今回お借りしたモデルは発売前とあってソフトウェアが最終仕様ではないとのこと。そのため細かな使用感は控えるけれど、基本的な使い勝手は上々。タブレットの取り付け、取り外しはとてもカンタンで、ほぼワンタッチで余計な配線接続は不要だし、アームやスタンドでの装着と違ってガッチリと固定されるのもポイントが高い。その上、最近の据え置き型カーナビのようなフローティング風の装着となるので、ディスプレイ部がドライバーに近い位置となるため操作しやすく見た目的にもスマートだ。画面上でタイムアライメントをはじめとするオーディオ系の設定が可能だったり、バックカメラの装着が可能だったりするのも間違いなく大きなメリットとなる。
ただ、カーナビとしてみると難点もある。1つはタブレット単体で外部との通信機能がないため、別途スマホによるテザリングなどが必要になってしまうこと。もう1つは自車位置測位をタブレットに依存しているため、精度面に不安があることだ。もっとも、後者は普通のタブレットを持ち込んで使っても同様だ。
こうしたタブレットスタイルのAVシステムには、実はもっと大きなメリットがある。それはオーディオまわりはそのままに、性能面で進歩が早いタブレット部分だけを交換できること。例えば、10インチやフルHDといったディスプレイが何パターンかラインアップされていて、ユーザーが愛車に合せて選べるなんてことになると面白い。また、ゲームもしたいなんてユーザー向けには、ハイスペックSoCや大容量RAMモデルなんてのもあってもよいかもしれない。それ以外にも4G(5Gでも)通信機能を内蔵して単独運用可能にする、なんてことも……。ぜひとも、そういった方向性でじっくりと進化させていってほしいシステムだ。