事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム

第24回:事故の確率を減らす方法は運転する前にあり!?

フォトグラファーが語る、事故の確率を減らすテクニックとは

 クルマの運転をしていれば必ずついて回る事故の可能性。でもそんな可能性は少しでもゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転で気をつけていることを紹介してもらおうというのがこの「事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム」です。今回は職業柄クルマでの移動も多いフォトグラファーの高橋学氏執筆で、テーマは「事故の確率を減らす方法は運転する前にあり!?」です。


 クルマの撮影って現場が比較的公共交通機関で行きにくい場所が多く、またカメラマンは撮影機材など荷物も多いので自然とクルマを利用する機会が多くなります。そんな筆者が事故を回避するために気をつけている事は、ズバリ「睡眠時間の確保」です。

 運転の技術やノウハウ、交通法規などと較べあまりにも単純な事ですが、とても大切な事だと常々思っています。日常的にクルマを運転していると、急な飛び出しや、前走車の急ブレーキなどヒヤリとするシーンに出会ってしまう事は残念ながら避けられません。そんな時睡眠不足のまま運転していると、ホンのわずかな差かもしれませんが反応が遅れてしまうような気がしています。正確に検証したデータを持ち合わせているわけではないですが、経験的にそう感じています。また、歩道にいる子供の動きや対向車の動きなど目に入った情報から危険を予測する力も、十分に睡眠をとってスッキリとした状態の方が冴えた感じがします。なんとなくですけど。

 もちろん睡眠不足で仕事に臨んだり、運転することは誰も望まないとは思いますが、それでも「事故の確率を0.1%でも減らせるかもしれない」運転の筆者なりの答えは「十分に寝る事」です。

 東京在住の筆者がクルマを利用する範囲は、大雑把に言えば西は鈴鹿サーキット(三重県)、北はスポーツランドSUGO(宮城県)あたりまでで、それより遠い場合は機材を減らしてでも公共交通機関を利用しています。そして、例えば鈴鹿サーキットにクルマで移動した場合は、仮に夕方まで撮影してもすぐに帰路に着けば深夜に帰宅する事は十分可能な距離ですが、それでもスケジュールが許すかぎり、愛知県内か浜松あたりまでのどこかにホテルをとって、翌日スッキリした状態で東京へ向かうようにしています。時間も費用もかかりますけど、眠さをこらえて運転したり、途中のサービスエリアで仮眠をとりながら帰宅しても、結局翌日に疲れが残って有意義には過ごせないこともありますので、それなら夜はちゃんと寝てしまおう、という考え方です。年齢を重ねるごとに無理がきかなくなっているのも自覚してますし。

 スマホ1つで出発前に渋滞箇所や目的地への到着時間が事前に分かったり、安い宿を簡単に検索、予約できたりする時代だからこその安全対策かもしれません。

 同業者とこのテの話をすると、この睡魔との戦いはとても個人差が大きいように感じます。深夜の長距離ドライブが全然へっちゃらな人ももちろんいます。しかしながらどうも筆者は睡眠不足にとても弱いようです。そんなひ弱な筆者ゆえに余分な時間や宿泊代はかかるし、高速道路の深夜割引が使えないのもちょっぴり悔しいけど事故を避けるための手段として実行しています。

 自動車メーカーもドライバーの眠気の感知にはさまざまな研究がなされているようですが、裏を返せばそれだけ眠気は安全の敵なんだと思います。読者の皆さんの中にも眠気が原因でヒヤッとした経験をした人もいるかもしれません。そんな人は今回の話をちょっとだけ頭の片隅にでも置いておいてもらえれば幸いです。

高橋 学

1966年 北海道生まれ。下積み時代は毎日毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下で軽自動車からレーシングカーまでさまざまな自動車の撮影三昧。下町の裏路地からサーキット、はたまたジャングルまでいろいろなシーンで活躍する自動車の魅力的な姿を沢山の皆様にお届けできればうれしいです。 日本レース写真家協会(JRPA)会員