事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム

第21回:ミラーの先に危険が潜む?

運転をする前にはミラーの向きを調整。でも向きだけじゃなく頻度も重要

 クルマの運転をしていれば必ずついて回る事故の可能性。でもそんな可能性は少しでもゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転で気をつけていることを紹介してもらおうというのがこの「事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム」です。今回はモータージャーナリストの岡本幸一郎氏執筆で、テーマは「ミラーの先に危険が潜む?」です。運転中、前ばっかり見ていては危険ですよ。


 鏡よ、鏡よ、鏡さん。今回は鏡=ミラーにまつわるテーマでいきたいと思います。運転する際の視界として、直視だけでなく鏡もとても重要です。最近ではいろいろなカメラやセンサーが運転をサポートしてくれるようになったので、鏡への依存度は昔よりは若干下がったかもしれませんが、それでもミラーが重要であることには違いありません。

ルームミラーとドアミラーの合わせ方

 まず、ルームミラーとドアミラーの合わせる際に筆者が心がけていることをお伝えすると、それは「見ようと意識しなくても見えていること」です。僕らはモータージャーナリストという職業柄、1日に何台ものいろいろなクルマに乗る機会があるわけですが、クルマに乗ったときに最初に行なうのが、シートポジションを調整してシートベルトを締めたあと、ルームミラーとドアミラーを調整することです。

 ルームミラーはもちろん自車の後方が映るように、ドアミラーはボディもある程度は端のほうも映って(かといって入れすぎると死角が増えるので適宜)、地平線が下から3分の2ぐらいの位置にくるようにしています。

 3分の2も!? と思う人もいるかもしれませんが、下のほうも映るようにしたほうが、となりの車線を走るクルマと自車の位置関係がつかみやすくなります。

ドアミラーの向きは地平線が下から3分の2ぐらいの位置にくるようにすると、横を走るクルマの状況が分かりやすくなります

 さらに運転しているうちにシートのなじみなどで座り方やポジションを変えた場合は、それに合わせてミラーも調整しなおすようにしています。そして、意識してミラーを頻繁に見るようにしています。とくに高速道路では、さらにミラーを見る頻度を上げるようにしています。

 ところで、ドアミラーについて、よく輸入車でミラーの外側だけ曲率が広角になっているのが苦手という人がいるのですが、もしそう感じるようであれば、そこに焦点を合わせないようにするのがコツだと思います。あれは少しでも死角を減らして、車線変更等をする際にもし障害になるものがあればドライバーに気づかせるためにそうなっているので、あえて積極的に見ようとせず、なにかあったときに分かればOKぐらいの認識で大丈夫でしょう。

 最近ではカメラの映像を映すデジタルミラーも普及してきています。もちろんメリットもあればデメリットもあるので、筆者は状況によって使い分けていますが、説明すると長くなるのでそれについてはまたの機会に。

鏡はドラミラーやルームミラーだけじゃない

 そしてひとたび走り出すと、町のいたるところにミラーが設置されていて、意識して数えてみると実はものすごい数であることに驚きます。

 なぜミラーがあるのかというと、そこになにかしらの危険=用心すべきことが潜んでいるからにほかありません。たくさん設置されている場所は、それだけ危険ということなので、ミラーを見つけたら注意深く走るように心がけています。

 むしろ、ミラーに目が吸い寄せられるくらいのイメージで、自分で積極的にミラーを見つけようと探しながら走るぐらいの心構えでいたほうがよいと思っているほどです。そうすることでクルマだけでなく自分にとって関係ありそうな自転車や歩行者の存在にいちはやく気づくことができるからです。

 むろん、どれだけミラーが設置されていても、どうしても死角は生じます。ふだんよく通る道ならなおのこと、ミラーを見て安全を確認するだけでなく(それだけでも十分に有益ですが……)、このミラーはどうしてここにこのように付いているのか、どこまでどのように映るのかまで考えて見るようにすると、次にその場所を通るときに、より確実に安全を確認できると思うので、筆者もそのように心がけています。なにか新しい発見もあるかもしれません。

 ミラーをしっかり見ることが事故を未然に防ぐ上で大きな効果があるのはいうまでもありません。極めて基本的なことです。読者のみなさんも、ドアミラーもルームミラーもカーブミラーも、これまで以上に世にあるミラーというミラーを見るよう心がけてみてはいかがでしょうか。

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。