トピック

「ステップワゴン」「フリード」の標準車とModulo X乗り比べ「ホンダ Modulo 体感試乗会」

Moduloパーツをフル装着した「S660」「フィット」なども体感

2018年3月21日 開催

3月21日開催された「ホンダ Modulo 体感試乗会」の記念撮影

 本田技研工業の4輪車ラインアップの中で人気車である「ステップワゴン」と「フリード」。この2車種に設定されている「Modulo X」は、ホンダ車の純正アクセサリーパーツの企画、販売を手がけるホンダアクセスが上質な走りやデザインにこだわって作りあげたコンプリートカーである。

 2016年10月に発売されたのが「ステップワゴン Modulo X」で、それから約1年後の2017年12月に「フリード Modulo X」が発売。両車ともミニバンタイプなのでファミリー層に人気があるのは当然だが、スタイルや走りのよさからこれまでミニバンに興味を持たなかったシングル層やクルマ好きから「多目的に使えるスポーティなクルマ」として注目されている点がModulo Xシリーズの特徴。ミニバンというカテゴリーにおいてこれまでにない反響を生み出したクルマなのだ。

2016年10月に発売された「ステップワゴン Modulo X」
2017年12月に発売された「フリード Modulo X」

 その人気の高さを受け、ホンダアクセスは「Modulo Xシリーズ」の魅力を多くの人に体感してもらうことを目的とした試乗会「ホンダ Modulo 体感試乗会」を3月21日に開催。

 会場になったのは栃木県芳賀郡茂木町にあるツインリンクもてぎで、試乗には第2アクティブセーフティトレーニングパークを使用。ここは広々としたクローズドコースなので、思い切ってクルマを走らせることができる環境だ。

 また、Modulo Xシリーズの試乗だけでなく、Moduloパーツを組み込んだ「S660」(MT車、CVT車)、「フィット」「グレイス」「ジェイド RS」の試乗車も用意。これらのクルマにはツインリンクもてぎのレーシングコースを見渡す外周路を使った試乗コースが設定された。

ホンダ Modulo X 体感試乗会はツインリンクもてぎ内の第2アクティブセーフティトレーニングパークで行なわれた
レーシングコースに沿って走る外周路では、ステップワゴン Modulo X、フリードModulo X、さらにModuloパーツを組み込んだ「S660」(MT車、CVT車)のほか、「フィット」「グレイス」「ジェイド RS」の試乗を行なった

 Car Watch誌面で参加者を募集した今回のイベントでは、当日のゲストである土屋圭市氏、道上龍選手、松浦孝亮選手、大津弘樹選手によるトークショーやサイン会、さらに、ゲストがドライブするS660、「N-ONE」のレース仕様車への同乗走行も行なわれた。こちらの内容は別記事で紹介するが、全体を紹介する本稿と併せて読んでいただくことで、当日の雰囲気をお伝えできると思う。

 さて、それではイベントの模様だが、当日の関東地方は春だというのに雪の予報が出るあいにくの天気となった。しかし、受付開始時刻の9時の時点では曇り空ながら明るさもあり、ひょっとするとこのまま天気がもってくれるのでは? と思わせるような雰囲気もあった。

 受け付けを済ませた参加者はコース脇に設置された大型のテントへ集合。ここにはメインステージや参加者用のテーブル、イスなどのほか、SUPER GTのGT500クラスに参戦する 64号車「Epson Modulo NSX-GT」や、今シーズンからGT300クラスを走る34号車「Modulo KENWOOD NSX GT3」が装着するModulo製のレーシングホイールに加え、市販されている「NSX」向けのアルミホイール「MR-R03」も展示された。

メインテント前にはModuloカラーの「NSX」をはじめ、東京オートサロンにも出展された新型ステップワゴンをベースにした「ステップワゴン Modulo X Concept」「N-ONE CHUMSコラボ」「T880」などが展示されていた
「Modulo KENWOOD NSX GT3」が装着するModulo製のレーシングホイールや、市販されている「NSX」向けのアルミホイール「MR-R03」も展示

「Modulo」と「Modulo X」の違いとは? 開発統括者の福田氏がプレゼン

司会進行を担当したModuloスマイルの水村リアさん

 イベント開始時刻になると、司会を務めるModuloスマイルの水村リアさんがステージに登場した。水村さんは「本日はModuloを体感していただくModulo体感試乗会にようこそお越し下さいました。1日通して行なわれるこのイベントで、Moduloのよさを感じていただければと思います」と話したあとに、主催代表としてホンダアクセス 広報の石井裕氏を紹介。

株式会社ホンダアクセス 広報 石井裕氏

 ステージに上がった石井氏からは「本日は天候がいまひとつのようですが、ぜひ皆さまには、家族で、そしてお友達とぞんぶんに楽しんでいただきたいと思っています。試乗のほかにもアトラクションをいろいろ準備しておりますので、そちらもぜひ楽しみにしていて下さい。そして閉会のときまで笑顔でこの日を過ごしていただければと思っています。1日、ぜひお楽しみ下さい」という開会の挨拶が行なわれた。

株式会社ホンダアクセス Modulo開発統括者 福田正剛氏

 続いてはこの日の主役であるModulo、そしてModulo Xについての紹介が行なわれた。解説はホンダアクセス Modulo開発統括者の福田正剛氏とホンダアクセス S660 Moduloパーツ、Modulo Xの開発責任者の松岡靖和氏が行なった。

 福田氏は「ご試乗の前に少し時間をいただいてModuloについて説明したいと思います。Moduloは1990年代にホンダアクセスが立ち上げたホンダ車用純正用品のブランドです。1990年代と言えばホンダがNSXなどを発売し、世界へ向けて新たなスタートを切った時代です。その後、カスタマイズに対する規制緩和があったりして、カスタマイズがはやり始めました。そんな時代を通して私たちはさまざまなアルミホイール、サスペンション、エアロパーツなど走りの純正パーツを開発してきました。そして2010年ごろからお客さまの思考に変化が起こります。それが“本物志向”の高まりです。そこで私たちもの作りをするものとして、より本物に近づくためにクルマ1台の価値を求めていきました。そこで生まれたのがModulo Xというブランドで、2012年に『N-BOX Modulo X』がデビューし、『N-ONE Modulo X』、ステップワゴン Modulo X、そしてフリード Modulo Xが発売されました」と語った。

ユーザーの本物志向が高まったため、それに応えるよう立ち上がったのがModulo Xの開発だった

 福田氏は続けて「私たちはホンダ車を知り尽くしたエンジニアの集団です。その匠の技を用いて開発したのがModulo Xです。この名前が付くクルマには意のままに操れる操縦性、上質な乗り味などの走りの部分や、所有感を満たしつつ質感、性能向上につながる内外装のデザインを与えました。ただ、走りのよさという表現をするとサーキットなどでのハードな走りを連想する方もいると思います。しかしModulo Xが目指すのはそこではありません。一般道にワインディング、高速道路を走ったときに“これはいいクルマだ”と感じてもらえる上質な走りを実現することを目標としています。そのために土屋圭市氏を開発アドバイザーとして迎えていますし、とても長い時間をかけて開発を進めています。また、開発時は数値としてのデータを重視するのが一般的ですが、Modulo Xで最も大事にしているのは“人の感覚”の部分なのです。だからいくら数値がよくても、土屋氏や我々が実際に乗って“これでいい”となるまでOKは出しません」という、ホンダアクセスならではの「もの作りのこだわり」について説明があった。

 ちなみに、ステップワゴン Modulo Xを開発している最中、走りの面の比較車の1つとして用意していたのがフォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」とのこと。そしてフリード Modulo Xはホンダの「TYPE R」に乗っていた人が家族構成などの理由でクルマを乗り換えたときでも、気に入ってもらえる走りのよさをサスペンションだけでなく空力の面までこだわって作りあげたとのことだ。

Moduloに対してModulo Xとは、単品のパーツだけでは実現できない“あとひと味”の部分を作るため、クルマ全体での開発を行なうものという説明があった。また、ステップワゴン Modulo X開発時は比較車の1つとしてフォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」を使ったという
株式会社ホンダアクセス S660用Modulo製品 開発責任者の松岡靖和氏。松岡氏からは外周路での試乗用として用意されているS660 Modulo仕様に装着されたパーツの解説が行なわれた。そして、最後に市販化を目指してS660 Modulo Xの開発を行なっていることが語られた。乗り味については「ヤバイくらいいいものになっています」とのこと。これは発売が楽しみだ
ホンダアクセスの福田氏、松岡氏による解説が終わると、今度はゲストの土屋圭市氏、道上龍選手、松浦孝亮選手、大津弘樹選手、そして水村さんとともにModuloスマイルを務める安藤麻貴さんがステージに上がり、それぞれ参加者に向けてひと言ずつ挨拶を行なった
SUPER GT GT300クラス 34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3のドライバー、道上龍選手
SUPER GT GT300クラス 34号車Modulo KENWOOD NSX GT3のドライバー、大津弘樹選手(左)
SUPER GT GT500クラス 64号車Epson Modulo NSX-GTのドライバー、松浦孝亮選手
Modulo開発アドバイザーであり、SUPER GTに参戦するレーシングチーム、ARTAでエクゼクティブアドバイザーを務める土屋圭市氏
Moduloスマイル2018の安藤麻貴さん

「ステップワゴン Modulo X」「フリード Modulo X」を標準車と乗り比べ

 さて、テント内でのステージイベントが終わると試乗開始だが、今回は第2アクティブセーフティトレーニングパークでのModulo X試乗と、外周路でのModuloパーツ装着車の試乗があるので、参加者はふた班に分かれて交互に試乗コースを入れ替わることになった。

 なお、第2アクティブセーフティトレーニングパークを使うModulo Xの試乗では、標準車とModulo Xの違いをはっきりと体感してもらうため、ステップワゴン、フリードともに標準車の試乗車も用意。

 試乗ではコースをそれぞれ2周するが、最初は標準車でスタート。ここで標準車のフィーリングを体感し、そのあと続けてModulo Xに乗るという段取りだ。

 試乗コースには曲線率の異なるカーブが4つとスラローム、そしてストレートが設けられている、また、クローズドコースでの試乗なので、一般的なディーラーでの試乗では試すことができない動きも体験できるようになっていた。

 外周路での試乗は速度制限が30km/hと決められているが、この道は第2アクティブセーフティトレーニングパークより道幅が狭い。一般的な道路の1車線ぶんの幅である。そしてカーブも急なものが多くアップダウンもあるので、30km/hでもクルマの特徴は十分に掴めるだろう。

 そんなコースと数多くの試乗車が用意された「Modulo体感試乗会」。ここからは試乗した参加者の声を紹介していこう。

試乗前のコースでは、ホンダアクセスが製作したコンセプトカー「T880」がデモラン。走る姿が見られる機会は滅多にない
第2アクティブセーフティトレーニングパークでの試乗は、標準車との違いを掴みやすくするためステップワゴン、フリードともにまず標準車に乗ってからModulo Xに乗り換える方法が取られた
ステップワゴン Modulo Xに試乗した小笠原さん

 ホンダ「インスパイア」とアバルト「595」を所有する小笠原さんからは「最初に乗った標準車もとてもよくできていると感じました。エンジンが1.5リッターとは思えないし、ボディ剛性もしっかりしているような印象を受けました。そしてModulo Xですが、こちらに乗って感じたのはコーナーのよさです。コーナーに入るときやコーナリング中の粘りがあります。標準車で感じたアンダーステアは感じられませんでした」というコメント。

 かなりのクルマ好きのようなので、自身のクルマ選びのポイントについても伺ったところ「クルマのタイプごとに求めるものは違いますが、私の場合、ステップワゴンModulo Xですと家族のためのクルマになります。そう考えると標準車でもいいのですが、Modulo Xが持つより高いストリート性能は家族と乗るクルマにも合うと思いますよ」ということだった。

ステップワゴン Modulo Xに試乗した松本さん

 2年前に開催されたステップワゴン Modulo X試乗会にも参加されていた松本さんは、再びステップワゴン Modulo Xへ試乗した。「前回は標準車との乗り比べはなかったんですね。ボクは標準車に乗ったことがなかったので、今回、標準車との乗り比べは参考になりました。ボク自身、ワンボックス車はハンドルを切っても車体の動きの遅れが大きくてハンドル操作との一体感がないというイメージを持っていますが、標準車のステップワゴンはやっぱりそうでした。それに対してModulo Xはハンドル操作との一体感があり、ロールも少なめでカーブの進入ではスムーズにノーズが入ってくれます。あとシートですが、Modulo Xは硬く感じたので標準車のほうがボクの感覚には合う感じです」とのこと。

 助手席に乗られた奥様からはModulo Xについて「軽やかに走る印象でした」というコメントをいただいた。

ステップワゴン Modulo Xに試乗した上保さん

「アコード ユーロ R」に乗る上保さん。エンジンもパワフルでスポーティなクルマだが、そういったクルマのオーナーがステップワゴンModulo Xに乗るとどう感じるのか? その感想を聞いたところ「思っていたよりもよく走るし、乗っていて楽しいと感じた」とのこと。さらに「これはミニバンにしてはということでなく、ユーロ Rと比較しても十分楽しいという感じです」という高評価だ。試乗コースではスラロームが気持ちよく走れたという。

 では、反対に気になるところがないかを聞くと「パドルシフトが付いていたので興味本位で操作しましたが、操作に対するレスポンスが遅く感じました」とのこと。走りがいいクルマになってくるとそういう部分も気にする人はいるだろうから、これも貴重な意見である。そして「コーナーでの走りがもっと試したかったので、もっとスピードが出せたらよかったですね」とひと言。

ステップワゴン Modulo Xに試乗した正見さん(左)と鹿毛さん(右)

 正見さんは「CR-Z」にお乗りというスポーツカー好きな方で、今回は友人の鹿毛さんと一緒に参加。さて、クルマの印象だが、標準車とModulo Xを乗り比べてどう感じたか?の問いには「とにかくスムーズさを感じました。ハンドルの操舵感の重さはないし、エンジンの特性はアクセルに足を乗せるだけでクルマが進んでいくという感覚。CR-Zはこれほどトルク感がないので、同じように加速するにはもっと踏み込む感じです。大きなクルマに乗っているという感じはしませんでした」ということ。

 次に今ひとつと思う点を挙げてもらったところ「普通に乗るならいいんですが、走り感が欲しい人にはエンジン特性がスムーズ過ぎるのでここが気になるところです」ということだった。ちなみに走っていて楽しかったところを聞くと「スラロームを抜けた立ち上がりかな」というマニアックな答えをいただいた。

ステップワゴン Modulo Xに試乗した大槻さん

 先代のステップワゴンを所有しているという大槻さんには、現在お乗りのステップワゴンとの比較もしていただいた。「ウチのクルマと標準車を乗り比べたらステップワゴンの進化を感じました。エンジンの回りもよくクルマが軽く感じます。コーナーでの安定度も上がっていますね」とのこと。そして、Modulo Xだが「標準車でもいい印象でしたけど、Modulo Xは全然違いますね。試乗前の説明でベンチマークにゴルフ GTIを選んでいると言っていましたけど、実際に乗るとすごいです。スラロームの区間ではけっこう気合いを入れて走ってみたのですが、全然不安定さがない、いい動きでした」ととてもいい印象だったようだ。

 そして普段から前のモデルのステップワゴンに乗っている奥さまの意見では「ウチのクルマは背が高いためか振られる感じがします。新しい型も標準車は同じような感覚でしたが、Modulo Xはそれがないので気持ちよく感じます」と、オーナーならではの捉え方。この意見が参考になる人は多いだろう。

ステップワゴン Modulo Xに試乗した戸部さん

 愛車は「MINI ジョンクーパーワークス」という戸部さん。ステップワゴンに乗るのは今回が初めてとのこと。そんな先入観なしで乗り比べた印象はどうだったかと聞いてみると「歴然たる差がありました」とのこと。具体的には「試乗コースではカーブ区間とスラローム、これらのポイントではクルマがロールしますが、ここでその傾き具合に大きな差があり、Modulo Xの乗り味は安定感を感じます。また、それは安心感にもつながるので、落ち着いて乗っていられるぶん、安全性も高くなるのではと思いました」という感想。

 また、MINIは剛性感もあるクルマなのでその部分も比較されたようだが「Modulo Xは剛性感も高いクルマということが実感できました」とのことだった。シートのフィーリングも「標準車よりModulo Xのほうが適度な固さがあり、疲れにくいのでは」という意見だった。

多くの方がModulo Xのコーナリングのよさをあげていたが、それは写真に写る走りにも現われていた。ステップワゴンではModulo X(白色、写真右)のほうが姿勢が安定しているのが分かる
フリード Modulo Xに試乗した大塚さん

 愛車はトヨタ自動車「グランドハイエース」とダイハツ工業「ムーヴ」いう大塚さん。お知り合いにステップワゴンに乗っている人がいるため、ステップワゴンの運転は体験済み。そこで今回はフリード Modulo Xに試乗したという。標準車のフリードもいいと感じたとのことだが、そのあとフリード Modulo Xに乗ってみたところ「重心が低く感じられて安定感が高いと思いました。コースにはスラロームをする区間もあるのですがそこも無理なくスムーズに曲がれますね」とのことだ。「20年も前のクルマ(グランドハイエース)と比べて言うのもなんですけど(笑)、フリード Modulo Xはいいクルマだと思います」という評価だった。

「では、グランドハイエースからの乗り換えは検討しますか?」と伺ったところ「乗り換えはないですね、すいません」とのお答え。まあ、クルマのタイプがあまりにも違うので当然の答えではある。

フリード Modulo Xに試乗した池谷さん

「S2000」にお乗りでフリード Modulo Xに試乗された池谷さんご夫婦。フリードには初めて乗るとのことで、印象は「標準車も予想以上にちゃんと曲がると感じました。ただModulo Xはそれ以上によく、しっとりとした乗り味で安定しているため、自然と速度が上がっちゃいます」とのこと。

「今回のコースでとくに気持ちよく走れた部分はどこでしょう?」と伺うと「スラロームですね。ハンドルを切ればクルマがスッと向きを変えてくれるのが気持ちよく、ついついペースが上がるのでクルマのロールは少ないのに身体の揺れは標準車より大きくなってしまいました。それくらい曲がりはいいので、バケットシートを入れたくなるくらいのクルマです」と答えていただいた。ちなみに標準車でスラロームを走ったときはどうだったかというと「身体が揺すられるのと同じくらいクルマも揺すられました」とのこと。

フリード Modulo Xに試乗した遠藤さん

 スズキ「スイフトスポーツ」が愛車という遠藤さん。試乗したフリード Modulo Xはスイフトスポーツとは方向性の違うクルマだが「ジャンルではなくクルマに乗ることが好きなので」ということだった。では、印象だが「標準車と比べるとコーナーなどでステアリングの修正がいらない感じはありましたね。乗り心地については試乗コースの路面がいいので標準車との違いは分かりませんでした」とのこと。

 次に、気になる点はどこかということを聞くと、しばらく考えたあと「ないですね」のお答えだ。スイフトスポーツというスポーティなクルマのオーナーから見てもフリード Modulo Xは十分スポーティと感じるようだ。遠藤さんはホンダディーラーでステップワゴンなど試乗しているとのことだが、Modulo Xは試乗できるところがあまりないので今回乗る機会があったことを楽しんでいただいたようだ。

フリード Modulo Xに試乗した山根さん

 山根さんは普段はマツダ「プレマシー」にお乗りで、コントラバスという楽器の奏者でもあるので楽器の運搬にもクルマを使うとのこと。そういった方がフリード Modulo Xに乗るとどう感じるかというと「スラロームの区間では速度一定でステアリングを操作していってもスムーズに走り抜けました」とのこと。そして楽器の運搬に関しての意見としては「コントラバスはずいぶん大きな楽器ですので荷室が広くフラットになるのもいいですね。また、楽器に振動を与えることもよくないのですが、そういった面でも滑らかな走りで問題ないと感じました」と演奏家という面から感じた独特な意見もいただいた。

 では、最後に「耳のいい方」ということで音についての意見も聞いてみると「アクセルを踏みこむと音は大きくなりますが、助手席の人との会話を遮るようなこともなく、静かなクルマだと感じました」とのことだった。

フリード Modulo Xはスポーティカー並みのフィーリングということ。写真からクルマの姿勢を見ても「攻め込んでいる」のは分かる。わずか2周の試乗だが、その短時間でもドライバーに「ここまでさせてしまう」くらい乗りやすいクルマなのだ
標準車(写真左、ナンバーが825)との比較。傾き具合から走り(たくなる気持ち)の違いが分かる

外周路でModuloパーツを装着した車両に試乗。しかし、ここで雪が……

 フリード Modulo X、ステップワゴン Modulo Xへの試乗の感想についてはここまでとして、次は外周路でのModuloパーツ装着車の試乗だが、なんとこの時点で春の雪が本格的に降り始めた。さらに霧のようなものも出て来て視界もわるくなってきた。ここでホンダアクセスは参加者の帰路の安全を考慮し、予定より早めに体感試乗会を終了させる決断を行なった。これは適切な判断ではあったが、早めに終了したため外周路の試乗に関するコメントは2組のみになった。この点はご了承いただきたい。

午前にModulo Xに乗った組は、午後、外周路を使うModulo仕様車の試乗会へ移動。ただ、午後になると雪が激しくなってきたため、途中で中止となった
S660 Modulo仕様に試乗した山崎さん(奥)

 日産自動車「ノート NISMO」にお乗りの山崎さん。今回はS660のMT車の試乗が目的で参加したとのこと。S660の試乗ではどのあたりを主にチェックしようと思っていたのかを聞いてみると「小柄なスポーツカーということで乗り心地は気になっていました。しかし、予想より乗り心地もよくショックアブソーバーのストローク不足もないような感じでした。安定感もありますね。あと、アクセルの踏み込みに対してエンジンの反応がよく、スピードも乗るので乗りやすいクルマですね」とのこと。

 S660は運転席の居住性を気にする人も多いのでその点を聞いてみると「シートポジションは予想以上に低くて最初はびっくりしました。でも、乗りにくさは感じません。あと、軽自動車のミッドシップ車ということで室内に入ってくる音はうるさいと予想していましたが、これが意外と静かと言えるレベルでした」とS660試乗は期待以上だったようだ。

フィット Modulo仕様に試乗した岡崎龍一さん(左)、岡崎柾さん(右)

 現在は2012年式のアウディ「A3」にお乗りとのことだが、そのA3は今後息子さんに譲る予定なので、ご自身が乗る次のクルマを検討中。希望は実用性もあるクルマということだったので、今回の試乗ではS660などスポーツカーが選べるなか、フィットとグレイスを試乗車に選んだという(グレイスの試乗は天候悪化のため中止になった)。

 その感想だが「エンジンのピックアップはいいと思います。足まわりに関してはちょっと硬く感じました。とくに外周路はところどころ路面が荒れている部分があって、そこではゴツゴツを感じました。もし、自分でこの仕様のフィットを購入するとしたらタイヤの銘柄を替えて、タイヤでソフトさを出していければと思いました」とのこと。クルマを購入したらどこかにフラっと出かけたいということなので、走りと乗り味の面を重点的にチェックされていたようだ。

外周路を走るジェイド RS Modulo仕様
外周路を走るグレイス Modulo仕様
外周路を走るフィット Modulo仕様
外周路を走るS660 Modulo仕様(MT車)
外周路を走るS660 Modulo仕様(CVT車)

 以上で「Modulo体感試乗会」のレポートは終了。あいにくの天気で早めの終了になってしまったが、ほとんどの試乗は行なうことができたので参加された方は楽しんでもらえたと思う。参加された皆さん、寒い中ありがとうございました。