【2013ジュネーブショー】

マクラーレン、F1テクノロジー満載の「P1」市販モデルを初披露

マクラーレンP1
2013年3月7日~17日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

 マクラーレンは、昨年のパリモーターショーで初公開したコンセプトカー「P1」の市販モデルを、ジュネーブでワールドプレミアした。

 パリで初公開したコンセプトカーからは、冷却性能の向上とダウンフォースの最適化を図ることを目的とした、フロントバンパー下部のダクトを追加したのみの小変更となっている。僅かな変更のみで市販化に至ったのは、パリモーターショー後にカスタマーなどの意見を聞いた結果と言い、コンセプトカーのスタイリングを崩さない結果にまとまったようだ。

 注目すべきポイントは、F1で培ったノウハウを多くの部分で採用していること。シャシーは、F1のモノコックで使われるカーボン成形と同様の手法を用いる。ルーフなどを含めても、その重量はわずか90kg。剛性も圧倒的に高く、最高品質のチタンに比べ5倍の剛性値を保持していると言う。また、F1で使用されるKERSのようなIPAS(インスタント・パワー・アシスト・システム)やDRS(ドラッグ・リダクション・システム)なども使われている。IPASはモーターのアシストにより加速力の向上を、DRSはドラッグの低下によりパフォーマンスアップを図る。

 搭載エンジンは、同社の「MP4-12C」でも使われている90度V型8気筒DOHC 3.8リッターガソリンツインターボ「M838T」を改良したもの。これに電気モーターをセットし、エンジンとモーターを合わせた最高出力は916PS、最大トルクは900Nm。最高速は350km/hでリミッターが作動し、0-100km/hの加速時間は3秒以下、0-200km/hは7秒以下、0-300km/hは17秒以下という圧倒的な性能を発揮する。ちなみにモーターだけの「Eモード」というゼロエミッション走行も可能で、その場合は10km程度のEV走行が可能となる。

 組み合わせるトランスミッションは、7速のデュアルクラッチミッション。12Cにも使用されているタイプだが、P1のためにマネージメントや冷却性能を向上させている。

 なおマクラーレンP1の生産台数は375台と発表されており、価格は英国では86万6000ポンドとなっている。

マクラーレンP1のボディーサイズは4588×1946×1188mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2670mm。車両重量は1395kg
可動式のリアウイングはモードによって高さが自動で調整される
タイヤはピレリがP1専用に製作したPゼロ・コルサを履く。サイズはフロント245/35 R19、リア315/30 R20。ブレーキも専用開発を行ったカーボンセラミックディスクブレーキ。こちらもF1でパートナーとして開発している曙ブレーキ工業製
ブラックを基調としたインテリア。カーボンの加飾がスポーティさを高めている
1993年に発売されたマクラーレン初のロードカー「マクラーレンF1」。展示されていたのは限定モデルの「マクラーレンF1 XP LM」

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。