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日産、航続距離600km以上を可能にしたバイオエタノールで発電する新燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」

自動車の動力源にSOFC(固体酸化物形燃料電池)を搭載するのは世界初

2016年6月14日 発表

バイオエタノールを燃料として発電する新しい燃料電池システムを車両に搭載する「e-Bio Fuel-Cell」を発表

 日産自動車は6月14日、バイオエタノールと酸素の反応で発電するSOFC(固体酸化物形燃料電池)を世界で初めて車両に搭載する新しい燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を発表した。SOFCは、燃料にバイオエタノールを使用することで水素と比べて取り扱いがしやすく、高い発電効率からガソリン車並みとなる航続距離600km以上の実現が可能という。

 同社が発表したe-Bio Fuel-Cellは、エタノールの他、天然ガス等の燃料と酸素との反応を利用して発電するSOFCを発電装置としたシステムで、自動車の動力源として世界で初めて車両に搭載する試みとなる。

 e-Bio Fuel-Cellは、車両のタンクに補給されたバイオエタノール(100%エタノールまたはエタノール混合水)から、SOFCによって発電した電力を車載バッテリーへ供給してモーターで駆動。電動駆動ならではの静粛性やリニアな発進、加速など、電気自動車(EV)と同等の性能を提供できるとする。

 同社によると、e-Bio Fuel-Cellはエタノール混合水を燃料に使用することにより、インフラへの大きな投資を必要としないことを特徴とし、ブラジルなどガソリンスタンドで100%エタノールの供給インフラ環境が整っている国において、大きな将来性を秘めているとしている。

 また、走行時に排出されるCO2が、バイオエタノールの原料となるさとうきびの成長過程で吸収するCO2と相殺されることにより、大気中のCO2の増加をゼロに近づけることができる「カーボン・ニュートラル・サイクル」が実現するとしている。

新しい燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を紹介するプレゼンテーション資料