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テスラ、電気自動車SUV「モデル X」発表会
“ファルコンウィングドア”や“細菌兵器対応空調システム”など独創的な機構多数
2016年9月13日 14:09
- 2016年9月12日 開催
- 895万円~
テスラモーターズ ジャパンは9月12日、テスラにとって3車種目になるEV(電気自動車)のクロスオーバーSUV「モデル X」を日本国内で初公開し、同日から販売を開始した。テスラはモデル Xを「日本で販売される市販車として初めての100%電気自動車SUV(E-SUV)」としている。全車右ハンドル仕様で価格は895万円から。
モデル Xの特徴は、リアドアが上に開く「ファルコンウィングドア」を採用していることに加え、前席のルーフの一部までをフロントウィンドウとつながるガラスエリアにした「オールガラス パノラミック ウィンドシールド」、クルマのシートとしては初めての形状になる「モノポスト方式」の2列目シートを採用している点などだ。
モデル Xのボディサイズは5037×2070×1680mm(全長×全幅×全高)で最低地上高は186mm。ホイールベースは2965mmで車両重量は2468kgとなる。バッテリーとドライブユニットの保証は8年間距離無制限で、車両保証は4年、または8万kmとなっている。
グレードは5つ用意され、航続距離(各NEDC値)355kmの「60D」、航続距離417kmの「75D」、航続距離489kmの「90D」、モーター出力をアップした「P90D(航続距離467km)」と「P100D(航続距離542km)」というラインアップ。価格は895万円からとなっている。モデル Xのショールームでの展示は、東京の「テスラ青山」が9月16日、大阪の「テスラ心斎橋」が9月17日から開始される予定。
モデル Xの販売開始に合わせて行なわれたプレス発表会では、プレゼンテーションをテスラモーターズ ジャパン 代表取締役社長のニコラ・ヴィレジェ氏が担当した。まずヴィレジェ氏は、テスラの紹介から話題をスタートさせた。
「テスラのことをご存じの方もいると思いますが、テスラはエミッションのことをとても大事に考えている会社です。始まりはシリコンバレーのエンジニアが、電気自動車がガソリン車を超えられるところを証明したいと考えて2003年に設立されました」。
「テスラの電気自動車は“瞬時に強大なトルクとパワーを得られる性能を持っているにも関わらずゼロエミッション”という部分を誇りとしています。また、安全性についても世界で最も安全なクルマを目指し、さらにスタイリッシュで運転が楽しいというクルマに仕上げています。こういったクルマを作ることで、ガソリン車から電気自動車への移行を促して“持続可能なエネルギーへ、世界の移行を加速する“というテスラのミッションを達成したいと思っています」と解説した。
3車種目となったモデル Xは、車両のカテゴリーがSUVとなっている。このタイプのクルマは世界的にも人気が高いマーケットになっているので、そこに投入するモデル Xはテスラのビジネス戦略上とても重要なクルマとのこと。これについてヴィレジェ氏は「世界には多くのSUVがありますが、日本で市販される100%電気自動車というのはモデル Xだけです。また、SUVは一部のクルマ好きのユーザーだけでなく、家族のためにクルマに乗る人などにも好まれているので、そういった方々にテスラに乗っていただくことは、ゼロエミッションの世界へのシフトを加速させることにもなると思います」と語った。
続いてモデル Xの特徴について説明された。1つめはクルマへの乗り込みについて。施錠はキーレスエントリーで解除し、クルマに乗りこんだらブレーキペダルを踏むことでドアが閉まるが、このキーレスエントリー設定に関してはセンターコンソールに取り付けられた17インチタッチパネルで行なえるようになっている。次に鳥が翼を広げる動作のように開くファルコンウィングドア。このドアはただ上に開くというだけでなく、狭いスペースでも開閉できるようにダブルヒンジを採用しているのがポイントだという。この機構によってミニバンなどに採用されているスライドドアよりも、開閉時にスペースを必要としない構造になっていると説明された。これについては「狭いスペースでもドアの開け閉めが容易なので、小さいお子さんが乗り降りするときにも便利」とのこと。
また、ファルコンウィングドアが持つガラスエリアも広いのだが、モデル Xはフロントウィンドウにオールガラス パノラミック ウィンドシールドを採用しているので、より視界が広くなっている。それだけに、どのシートからでもよい視界が楽しめると解説された。
安全性についてでは、モデル Xはテスラ独自のプラットフォームをベースに作られており、バッテリーはフロア下に組み込まれている。そのため、SUVながら重心は極めて低く、車高が高くても横転などのリスクが軽減されるという。
また、フロントノーズにエンジンがないので、正面衝突時のエネルギーを吸収するクランプルゾーンを非常に長く設けることができることも利点だと説明された。さらにスライドではサイドインパクトに対しても強いというテスト結果が公開されている。
このほか、こだわりの空調システムについても説明された。モデル Xでは業界初となる「HEPAエアフィルトレーション システム」を採用していて、作動させることで車外の環境に関わらず、車内を病院の手術室と同レベルのクリーンな空気で満たすことができるという。それだけに、例えば花粉症の人などにとってモデル Xの車内は居心地のよい場所になるとのこと。
これに加え、HEPAエアフィルトレーション システムは外気導入と内気循環のほかにもう1つ「バイオウェポン ディフェンスモード」も搭載。これにより、細菌兵器などが使用された場合に車内に陽圧を発生させ、外部から空気が進入しないようにすることも可能となる。そんな装備が必要になるときは来てほしくないが、ここまで完璧に空気をコントロールできることは、アレルギー体質の人にとってはかなり魅力的と言えるだろう。
こうしたハイテク装備や自動運転を採用するモデル Xだけに、ECU関連データの定期的なアップデートは必須となる。これは4G LTEを利用したソフトウェアアップデートが可能にしている。ちなみに、最新バージョンとなる「バージョン8.0」のソフトウェアがまもなくリリースされる予定とのこと。内容は主に自動運転についてで、これまでカメラとレーダー、超音波センサーを使っているが、このアップデートではレーダーの性能を向上させる内容が含まれているとのことだった。