ランチア車ユーザーのイベント「ランチア・ランチ2009」開催
多数のデルタに、日本初上陸のガンマ・クーペやS4も登場

2009年12月5日、6日
静岡県裾野市 富士教育研修所



 ランチア・クラブ・ジャパン主催によるランチア車ユーザー・ミーティング「ランチア・ランチ」が、12月5日と6日の両日、静岡県裾野市の富士教育研修所で開催された。

 このイベントはランチア車オーナーの親睦を図るために開催されるもので、“ランチ”という名前が付いているが、前日のツーリングからあわせて2日間にわたるイベント。

  2009年の今年はデルタが30周年、テーマが25周年、デドラ20周年、リブラ10周年など、最近のランチアの主要車種が登場してから節目の年にもあたる。イベントのメインとなる12月6日は、芝生のグラウンドに自慢の愛車を並べ、文字どおり贅沢なランチを囲みながら歓談や情報を交換する場。各地から80台を超えるランチア車が集まった。

多数のランチア車が集まった富士山も眺めることができる会場の富士教育研修所開会宣言をするランチア・クラブ・ジャパン会長の佐藤義彦氏

 

現行デルタのユーザーも会場に乗り付けた

最も多いクルマは「デルタ」
 集合したランチア車の中で最も多数派となる旧型デルタは、約40台が集合した。このデルタは、WRCで活躍したことや、生産時期が日本のバブル期と重なったことから、多数が輸入された。一見同じデルタではあるが、会場にはFFの「HF ターボ」から、最終の「エボルツィオーネII」までさまざまなデルタが集まり、年代や仕様の違いを見比べることができた。

 なかにはグループB時代のWRCに参戦した「デルタS4」まで揃い、オーナーによる改造も含めると、多種多様なデルタを目の当たりにできた。

 デルタはその後、2代目、現行の3代目へと進化しているが、今回は2代目の参加はなく、3代目は数台集まった。新型デルタの輸入と販売を行っているガレーヂ伊太利屋も試乗車を1台持ち込み、業者ブースとして参加し、新型デルタの説明を行なっていた。

ランチに集まった「デルタ」デルタのスポーツモデルも年代によってさまざまFFのハイパワーモデル「HF ターボ」
「HF 4WD」(左)と、WRCに出場、進化した「HF インテグラーレ」(右)はブリスターフェンダーで見分けられる最終の「エボルツィオーネII」は、オーナーによってさまざまなデコレーションが施されている日本向けの最終ロットとなる「コレツィオーネ」
グループB時代のWRCに参戦した「デルタS4」。エンジンがリア・ミッドシップ配置される通常のデルタとは全く別のモデル
フレームを隠すためにドア下がせり上がっている独特のボディ。ドアにはWRCドライバーのミキ・ビアシオンのサインがある
3代目となる新型デルタは販売店が新車を展示した。これは新登場の「1.8 TURBO 16V」で458万円
全長4520mmのコンパクトなハッチバックだが、レザー内装の高級車であることがわかる

「テーマ」はフェラーリエンジンの「8.32」が集結
 次いで十数台が集まり、次に多いクルマは「テーマ」。1984年に登場し、モデル中期はマツダが輸入代理店だったこともあり、日本でもたいへんよく見かけたランチア車の1つ。今回集まったのは最上位モデルとなるフェラーリエンジンを搭載した特別なグレード「8.32」がメイン。普通の高級セダンにフェラーリのエンジンを押し込んだ特異なクルマだけに、維持の苦労話に花が咲く。

 テーマは十数台の参加があったが、同時期に国内で多く見られた1クラス下のセダン「デドラ」の参加はなく、その後継の「リブラ」が1台参加したのみ。テーマの後継車では、その後の世代となる「カッパ」の姿はなかったが、現行モデルの「テージス」が参加、ランチア本来の高級車という性格を存分に示し、独特のオーラを放っていた。

メタセコイヤ並木の落ち葉を被っても、当時のフラッグシップセダンの威厳を感じさせる「テーマ」今年はテーマ登場から25周年後期に追加されたワゴンモデル。セダンのデザインはジウジアーロだが、ワゴン部分のデザインはピニンファリーナ
「8.32」フェラーリのV8エンジンが搭載されたモデル。外見では8.32のバッヂや専用のフロントグリル、ピンストライプ、収納式のリアスポイラーが特徴
現在のランチアのフラッグシップモデルは「テージス」。独特のオーラを放つ

コンパクトなイプシロンからミニバンまで
 国内でよく見かけるランチア車のコンパクトなら「イプシロン」も参加が見られた。イプシロンは全長4m未満のコンパクトカーだが、初代モデルではアルカンターラの内装や豊富な内外装のカラーバリエーションなど、コンパクトカー=大衆車の殻を打ち破ったモデル。

 イプシロンは初代と現行の2代目モデル、さらに同じプラットフォームを使い少し大きな5ドアモデルの「ムーザ」も揃った。

初代イプシロン(Y)は3台が参加した2代目「イプシロン」は現在のランチア共通のデザインとなる高級コンパクトカー。参加した車両は前期型
5ドアハッチバックの「ムーザ」。オーナーによれば実用的で手放せないコンパクトカーだという
ミニバンの「ゼータ(Z)」。スタッフ車として活躍し、今回のイベントで最も働いたクルマ。PSAとフィアットグループに兄弟車がある。エンジンはPSA製。フロントシートは回転機構、リアシートは取り外せる機構を持つ

クラシックは「アウレリア」まで
 1980年以降の比較的現代的なクルマのほか、会場にはさらに古いランチア車も集まった。スーパーカー世代にはおなじみの「ストラトス」、ラリーで活躍したその名もずばりの「ラリー」。会場で最も古いと思われるランチア車は「アウレリア」で、パレードや試乗走行に参加するほどのコンディションだった。

 国内に1台といわれる「ガンマ」のクーペも登場、オーナーの厚意のもと、パレードなどにも参加し、来場者の目を楽しませた。

ランチア「アウレリア」。パレードや試乗走行に参加した「フラミニア」GT。トランスアクスルレイアウトで、東名高速を現代のクルマと変わらない速度で自走してきたというカロッツェリア・ザガートによるフラミニア・スポルト
「フルヴィア」はクーペ、ベルリーナ(セダン)、ザガートによるスポルトが揃った
「ストラトス」は特徴的なショートホイールベースを間近で見ることができ、パレードランや試乗にも登場した「ラリー」の市販バージョン
「ラリー037」のWRCバージョン
ランチア・ベータのセダンバージョン「トレビ」。運転席からは各種情報が見えながら、助手席からは全く見えない特徴的な形状のダッシュボード
日本に1台とされる「ガンマ」クーペ。オーナーによれば最近国内に持ち込んだとのこと。パレードランや試乗走行にも登場した
Lの模様が織り込まれたオリジナルのシート水平対向の2.5リットルエンジンをフロントに搭載し前輪を駆動する

パレードランや試乗走行を行って閉幕
 親睦を深めるイベントではあるが、クルマのイベントならば走行も楽しみたいもの。ランチの後はパレードランや、一部オーナーの厚意による「ランチア タクシー」と題した試乗走行も行われた。

 パレードランは会場となる富士教育研修所内のメタセコイヤ並木で行われ、わずかの距離であるが、エンジン音を響かせて貴重なクルマが走る様は来場者を楽しませた。

 最後に来場者向けに抽選会などが開かれ、15時すぎにはイベントが終了、各ランチア車はそれぞれの帰途についた。

パレードランは年代などによって分けられ、落ち葉が舞い上がる並木道を隊列を組んで走行した
オーナーの厚意により貴重なクルマも試乗走行が行われた

(正田拓也)
2009年 12月 8日