ルノー・ジャポンのメディア対抗カート大会でCar Watchチーム4位
日本GP前にF1ドライバー ビタリー・ペトロフ選手と直接対決

F1ドライバーが参加した「ワールドチャリティーカートカップbyルノー・ジャポン」にCar Watchチームが参戦

2010年10月5日開催



 ルノー・ジャポンは10月5日、F1ドライバーを招いてのメディア対抗チャリティーカートレース「ワールドチャリティーカートカップbyルノー・ジャポン」を開催した。今週末に日本GPを控えたルノー・F1チームのビタリー・ペトロフ選手とホーピン・タン選手が参加したこのイベントに、Car Watchチームも参戦してきたので、その模様をお届けする。

青木拓磨選手が「クルマは究極のバリアフリーだ」と言ったのに感銘を受けたと語るルノー・ジャポンCOO大極司氏

 ルノー・ジャポンCOOの大極司氏によれば、同社が下半身不随のレーシングドライバー 青木拓磨選手をサポートしていることから開催したものとのことで、体に障害を持つ方の社会参加を支援する活動の一環だと言う。

 場所は新東京サーキット(千葉県市原市)で、レンタルカートを使って行われる1時間耐久レース。各チーム4回以上のドライバー交代が課せられ、ピットインごとに駐車料金として300円、スピンをすると罰金として300円を募金する必要がある。さらにF1レギュレーションでのレース順位のポイント×100円の募金、さらにベストラップを出すと1000円の募金が求められる。速く走れば走るほど募金額が増えるというルールだ。

 加えて特別ルールとして、ドライバー交代の際には、走り終えたドライバーがピットレーンの一番出口寄りにある募金箱に駐車料金を入れたあと、その場でサイコロを振って出た罰ゲームをしなければ、次のドライバーにバトンタッチできない。

 この罰ゲームは、何もなしという目もあるのだが、腕立て伏せ5回や、風船を2つふくらませる、炭酸飲料のRedBull2本をストローで一気飲み、などが設定された。なかでも参加者を困惑させたのが、黒ひげ危機一髪に剣を15本刺すというもの。もちろん途中で黒ひげが飛んでしまえば最初からやり直し。この無限ループにはまったら、走って削ったタイムなど一瞬で藻屑となる。

特別ルールとして、ピットインごとに募金箱に300円募金するうえ、サイコロを振って出た目の罰ゲームをこなさなければならない

 Car Watchチームは、副編集長の田中真一郎に加え、イセッタオーナーとしておなじみののりたまこ女史、記者の安田剛氏と筆者、さらに助っ人ドライバーとして、元全日本ジムカーナ選手で、実は昔カートで全日本を狙ってたこともあるという森吉雄一氏の5人で参加。

 Car Watchを含め全10チームのメディアチームのほか、青木拓磨選手は、手だけで操作ができる専用のマシンで参戦。さらにSUPER GTに参戦する本山哲選手や安田裕信選手などによるプロドライバーチームも参加した。

Car Watchチームは5人で参戦全10媒体のメディアチームが集まったルノー・ジャポンがサポートする青木拓磨選手に加え、SUPER GTドライバーの本山哲選手、安田裕信選手も参加。一番右は全日本Jr.カートの白石優太選手
青木選手は手でアクセルやブレーキ操作ができる専用のカートで出走ハンドル裏のレバー、右がブレーキ、左がアクセルになる。握力でのブレーキはかなり力がいる上に、腕力だけで状態を支えるため、かなり腕が疲れると言う両足はベルトで固定する。長時間のレースの場合は上半身もベルトでシートに固定するのだと言う

 さらにルノー・F1チームのドライバー ビタリー・ペトロフ選手とホーピン・タン選手が参加。あいにくホーピン・タン選手は出走することができなかったが、ビタリー・ペトロフ選手は、どこかのメディアチームに助っ人として参加することとなった。

ルノー・F1チームのビタリー・ペトロフ選手。このサイズのカートは初めて乗ると言うサードドライバーのホーピン・タン選手。この日は出走しなかった将来F1ドライバーを目指すという白石選手と

各チームの思惑入り交じる予選
 練習のためのフリー走行のあと、予選が始まる。予選はタイムアタック形式だが、決勝では予選結果のリバースグリッド(1番遅いチームがポールポジションになる)となる上、割り当てられるピット位置も遅いほど募金箱に近くなる。

 そこでCar Watchチームは、カート経験の浅い田中、のりたまこ、安田の3名が予選に出走。大人げなく最遅タイムでポールポジションを狙いつつ、少しでも練習時間を稼ごうという作戦だ。

 なかでもずば抜けて速かったのは、本山チームで大人に混じって参戦していた全日本Jr.カート参戦中の白石優太選手。子供ながらの軽さも手伝い、唯一の51秒台。さらに青木チームが52秒台で続く。

のりたまこ、安田、田中の3名が予選を走る白石選手の速さは圧巻。カートに不慣れなペトロフ選手を抜いてしまった

 メディアチームは各チームともエースドライバーをそろえ、タイムは53~54秒台という中、Car Watchチームは56秒台。これならポールポジション間違いなしかと思ったが、なんとモータースポーツ専門誌であるオートスポーツチームが、さらに10秒以上遅いタイムでポールポジションを獲得。ある意味さすがと言うべきか。Car Watchチームは2番手グリッドとなった。

予選順位ゼッケンチームベストタイム
1位2T.Motoyama(本山チーム)51秒466
2位1takumaGP(青木チーム)52秒387
3位9デイトナ53秒070
4位5carマガジン53秒341
5位7エンジン54秒212
6位12ベストカー54秒446
7位10レスポンス55秒025
8位4EDGE55秒102
9位3webCG/CG55秒702
10位8エフロード56秒040
11位11Car Watch56秒226
12位6オートスポーツ66秒347

 さらに予選結果から、遅かった3チームにハンデとして、ペトロフ選手を加入させると言う。密かに期待を抱いたのだが、三味線を弾いているのがバレたのか、Car Watchは選ばれず、エッジ、レスポンス、ベストカーのチームにペトロフ選手が加わることとなった。

 さらに速かった青木チームには、極遅だという大極COOが、エンジンチームにはルノー・ジャポン マーケティングマネージャーのフレデリック・ブレン氏が加わることとなった。

勝てば高額寄付(罰金?)の決勝レース
 そして決勝。速く走れば走るほど高額募金が必要なので、チーム監督の田中はどこか勝ちたくなさげであったが、せめてポールポジションという作戦は見事オートスポーツに出し抜かれたので、ここは勝ちを狙いに行くことに。

 スタート直後は特に混戦が予想されるので、第一走者はエースの森吉氏に一任。かつてはカートで全日本を目指したことがあるという頼もしい助っ人だ。

 続いて安田、のりたまこ、田中の順で出走。しんがりはチーム内で2番手の筆者が務めることにした。先行逃げ切りで、あとはブロックし続けようという作戦だ。

 ちなみにおよそのラップタイムは森吉氏が53秒台半ば、この日がカート初体験だと言うペトロフ選手と同程度のタイムだ。

 続く筆者は54秒台中盤、残る3名は56秒台で、ウェイト的にも有利なのりたまこ女史が一つ頭が出ているというところ。他のチームもエースは速いものの、56秒台で走っている選手も多かったので、決して悪い条件ではないハズだ。

 いよいよ決勝スタート。さすがはオートスポーツチーム、スタートにエースドライバーを起用したらしく、森吉氏を持っても離されてしまう。一方追いついてきたのはエフロードチームでドライバーはやはり助っ人のGTドライバー松田秀士選手だ。

 松田・森吉対決はかなり切迫したレベルらしく、数周に渡って抜きつ抜かれつのバトルが繰り広げられた。これには他のチームからも歓声があがるほどで、途中田中監督からピットインの指示が出るも、森吉氏は完全無視で走行を続けた。

スターティングドライバーは元全日本ジムカーナ選手の森吉雄一氏いよいよ決勝スタート。オートスポーツチームを追う後方は団子状態に。これを抜け出せたのは大きい
森吉駆る11号車に松田秀士選手の乗る8号車が迫るついに松田選手が前に出た
GTドライバーとジムカーナドライバーの熱いバトルが数周にわたって繰り広げられた。これにはほかのチームも釘付け

 そんな2人の2位争いに割って入ったのが、本山チーム 白石選手だ。丁度この周でエフロードチームもピットインの指示が出て、森吉氏も後を追うようにピットイン。

 そしてピットインでの罰ゲーム。松田選手が引き当てたのはまさかの黒ひげ! 一方森吉氏は風船を2つふくらませるというもの。しかし風船2つは意外と時間が掛かり、ピットでのロスはほぼ同程度となった。

一足先にピットインした松田選手はまさかの黒ひげ危機一髪Car Watch森吉は風船を2つふくらませるというもの。地味に時間が掛かり逆転にはいたらなかった

 続いて安田、のりたまこと周回を続け、各チームともドライバー交代をするため、順位が激しく入れ替わったが、その中でもやはり本山チームと青木チームがどんどんと抜きに出て、この時点で2周差。さらにスタートドライバーに助っ人のペトロフ選手を起用したベストカーチームも上位に食い込んでいた。

 そして第4走者はチーム監督の田中。前の2人が短めの走行でバトンタッチしたため残りの走行時間は30分以上、10分以上はがんばってもらい、最後20分を筆者が走ることに。

2番走者はこの日がカート初体験の安田氏サイコロの目は3で罰ゲームなし
3番走者は全参加者中唯一の女性ドライバー のりたまこ女史。カート経験は浅いが意外と速かった罰ゲームはRedBull2本の一気飲み。ぬるくなった炭酸はきつそうだ
青木選手のマシンだけはエンジンの排気量が大きいので異常に速い。この日のファステストラップ49秒524をマークレスポンスチームを助っ人中のペトロフ選手。初めてのカートとは言えその体重を考えればかなりの速さ圧倒的速さの本山チーム白石選手。罰ゲームは黒ひげ危機一髪で、タイムロスかと思いきや、まさかの一発クリア。これには本山選手も大喜び
チーム監督 田中が4番走者。まだ30分以上あるため、がんばって走ってもらうことに

 田中監督が走り終えた時点でCar Watchチームは5位。青木、本山チームに3周差、ベストカーチームに2周差、そして同周回の目前にデイトナチームという順番。といっても他のチームはまだピットインを残しているので、このまま行けばもう少し上位には入れるはず。

 途中ライバルであるデイトナチームに抜かれたが、その直後にデイトナがピットイン。ベストカーチームなどもピットインを残していたものの2周差までは詰められず、結果は4位。トロフィーには手が届かなかったものの、本山チーム、青木チームを除いたメディアチームの中では2番手の順位なので、満足できる結果だろう。

最終走車は筆者が務めることに。残り20分、他のチームがピットに入れば順位は上がるはずデイトナチームに抜かれたが、直後にピットインしてくれたのでセーフ
無茶で謎なピットサインが続く。他チームに作戦を気づかれないための暗号だったりはしない他チームのピットのおかげで順位は上げたものの、3位には届かずチェッカー
優勝は本山チーム準優勝は青木チーム。アンカーの大極COOがあまりに遅く、本山チームに逆転を許した3位はベストカーチーム。ペトロフ選手の助っ人があったとは言え見事!!
最下位だったレスポンスチームには、サービスとしてペトロフ選手の駆るルーテシア・ルノー・スポールに同乗する権利が
決勝順位ゼッケンチーム周回
1位2T.Motoyama(本山チーム)58周
2位1takumaGP(青木チーム)58周
3位12ベストカー58周
4位11Car Watch57周
5位9デイトナ56周
6位5carマガジン56周
7位7エンジン56周
8位8エフロード55周
9位3webCG/CG55周
10位6オートスポーツ54周
11位4EDGE54周
12位10レスポンス53周

 カート経験の少ないメンバーで挑んだが、それは他のチームも同じだったらしく、結果的に参加者全員が楽しめるものとなった。それはルノー・ジャポンにとってもクルマを楽しむイベントとして狙ったところのようで、今回の各誌からの高評価に来年もぜひやりたいと語ってくれた。その際は今度こそ勝ちに行きたい。

最後はペトロフ選手とタン選手を交えての記念撮影。全員仕事を忘れての笑顔森吉雄一、松田秀士選手に負けましたの図

(瀬戸 学)
2010年 10月 7日