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先行車を追尾する「ARスカウターモード」搭載の新型「サイバーナビ」を試す
未来感あふれるスカウターモードを映像で紹介


 5月下旬に発売されたカロッツェリア(パイオニア)の新型「サイバーナビ」。7V型ワイドVGA液晶搭載モデルとして1DIN+1DINモデルのAVIC-VH09CS/AVIC-VH09、2DINモデルのAVIC-ZH09CS/AVIC-ZH09の4製品をラインアップする。

 この新型サイバーナビで話題となっているのが、新たに用意された「ARスカウターモード」。ARとはAugmented Realityの略で拡張現実のこと。VR(Virtual Reality:仮想現実)が仮想空間を描き出すのに対し、ARでは現実の映像などを元に新たな情報を加えている。新型サイバーナビのARスカウターモードでは、約31万画素のCMOSセンサーを搭載するクルーズスカウターユニットにより前方の状況を撮影・解析し、ナビゲーションルートを表示するほか、先行車を認識して推定車間距離を算出、適正な車間距離を保つことをサポートする機能を提供する。

 AVIC-VH09CS、AVIC-ZH09CSであれば標準でクルーズスカウターユニットがセットになっているためすぐにARスカウターモードと使うことができ、AVIC-VH09、AVIC-ZH09であれば別売のクルーズスカウターユニットを後付けすることでARスカウターモードを使うことができるようになる。

 本記事では、このARスカウターモードを映像を交えて紹介していく。 なお、映像については720pのHDモードで掲載してある。通信速度に余裕のある方は720pに切り替えて、高解像度映像でスカウターモードの動作を確認してほしい。

AVIC-VH09CS AVIC-ZH09CS クルーズスカウターユニット「ND-CS1」。右下がCMOSカメラ

新型サイバーナビはインターフェイスを一新
 試用したサイバーナビのデモカーに取り付けられていたのは、1DIN+1DINモデルAVIC-VH09CS。搭載車はスバル「レガシィ ツーリングワゴン」で、ARスカウターモード表示のために必要な実写映像を取り込むCMOSカメラはルームミラーの背後に取り付けられていた。

AVIC-VH09CSが取り付けられていたレガシィ ツーリングワゴン センターコンソール上部に収まる新型サイバーナビ CMOSカメラは、ルームミラーの背面に位置していた

 筐体をはじめ、メニュー画面やインターフェイスデザインを新型サイバーナビは一新。メニュー画面は「セントラルメニュー」と呼ばれるものになり、ナビゲーションメニューと、AVメニューが目的ごとに切り分けられている。

 ノーマルビュー、スカイビュー、ドライバーズビュー、ツインビュー、AVサイドビュー、ハイウェイモードの6つの画面モードが用意されている。この内、ARスカウターモードが表示されるのは、ドライバーズビューで、左側に実写映像と合成されたサブ画面が現れる。

起動画面・メニュー

セントラルメニューと名付けられた新インターフェイス。ナビゲーションメニューとAVメニューが分かりやすく整理されている

ビューの変更

ビュー変更画面。ARスカウターモードは、ドライバーズビューから利用できる ドライバーズビュー ノーマルビュー
ツインビュー AVサイドビュー。左にはiPod内の音楽リストを表示 ハイウェイモード

雨の中、ARスカウターモードで試走
 今回ARスカウターモードの試走に選んだシチュエーションは、昼の一般道と高速道路、そして夜の一般道と高速道路になる。また、試走日はあいにくの大雨となり、先行車の認識にはツライ状況となっているが、悪天候下での認識状況を確認することができた。

 このARスカウターモードの利点は、ルートナビゲーションが実車映像とともに行われることにある。そのため、まずはルート探索を行い目的地を設定をすることにした。この目的地検索も最大3つのワードによるマルチ検索のほか、通信機能を使ってのフリーワード検索が可能になるなど強化されているが、ここではサイバーナビらしく音声認識で設定。“自宅に帰る”という発話コマンドで、あらかじめ設定されていたパイオニア本社へ向かうルートを設定した。

ルート探索

 映像を見ていただければ分かると思うが、ルート設定は非常に高速に行われる。音声認識コマンド“自宅に帰る”では一発でルートが引かれ、目的地検索によるルート設定では推奨ルート、CO2排出量の少ないルートなど6ルート同時探索をすることもできる。ルートを設定できたら、ナビゲーションどおりに走り出せばOKだ。

文字入力による検索画面。予測変換も行われる ルート探索結果の表示もサイバーナビらしく、高速に仕上がっている 時間や料金など6つの異なる条件による探索結果を表示できる。CO2排出量の少ないルートの探索も可能

 ARスカウターモードによるナビゲーションは、これまでにない新しいカーナビの世界が始まったことを感じるもの。進むべき方向が上空に示され、曲がるべき交差点では画面内にフラッグが描かれる。また、周辺にあるランドマークは実写映像に重ね合わせて描かれ、仮想空間がカーナビ画面内に広がる。

 地図上に描かれたナビゲーションルートでは分かりにくかった進行方向も、実写映像とともに描かれているため極めて分かりやすい。2Dの地図上に描かれたルート、3Dで描かれたルートとこれまでカーナビは進化してきたわけだが、このARスカウターモードにより、また進化の階段を上ったと言えそうだ。

 

一般道(昼)

 

雨の中、先行車を認識中。画面中央には認識した先行車との距離が表示される 交差点停止時の信号認識。赤信号に四角い赤枠が表示されている。画面中央上部には信号アイコンを表示 先行車の発進を認識すると、先行車の動きにあわせ画面下部に緑のグラデーションを表示
曲がるべき交差点ではフラッグをAR表示。画面上部にも矢印が表示される ランドマークは、3DでAR表示される。画面左側に寿司店が描かれている

 昼の一般道映像で注目していただきたいのが、雨の中の先行車認識状態と、交差点での信号認識や先行車発進時の表示。先行車を認識すると認識音(消音も可能)とともにターゲットスコープが絞り込まれ、画面中央部に車間距離を表示。交差点で停止すると赤信号を認識し、赤い四角い枠が信号上に描かれる。また、先行車発信時には画面下部に緑のグラデーションが現れ、先行車が進んだことを知らせてくれる。

 

高速道路(昼)

 

 高速道路では、走行速度が高くなるため雨が一般道に比べ強くなっている。この映像での注目点は、車線認識表示。ARスカウターモードでは、高速道路走行時には車線を認識し、認識している個所については黄色で表示。車線変更時など、車線が車両に近づくと紫色に変化する。これにより、高速走行時のふらつきなどを、画面で警告してくれるわけだ。

 雨の降りが激しいためか、ワイパーがCMOSカメラの前方を横切る際に先行車認識が外れるようなこともあった。これは、カメラの取付位置を工夫することで軽減できる部分だろう。

 

一般道(夜)

 

 

高速道路(夜)

 

 

夜間表示は未来的な風景となる。この一連の画面はターゲットスコープが絞り込まれる様子。スコープが絞り込まれた段階で車間距離表示が行われる
高速道路では車線の認識表示が行われる。左が車線内の状態で両側とも黄色く表示。右が車線変更中で、車体と接する車線が紫色になる
ハイコントラストな状態となるためか、夜間の認識状態は昼間より優れているという印象を受けた。画面は赤信号認識中 青信号を認識し、発進警告 夜間のランドマーク表示は、やや浮いた感じで表示される

 夜間においてもARスカウターモードは快適なナビゲーション環境を提供してくれる。昼と夜で提供する機能に差はない。驚いたのは雨の夜間という最悪条件にもかかわらず、昼よりも高い先行車認識精度を示したことだ。また、映像を見てもらえれば分かるとおり、実際の風景よりも明るく描画されており、これはCMOSカメラの感度が優れていることを示している。

 まわりのクルマが跳ね上げる水しぶき、激しく変化する明るさや道路の状況にかかわらず、前方に先行車が現れればターゲットスコープが表示され先行車認識を行う。先行車との走行車線が変われば、次の先行車の認識に移る。その動作は素早く、認識音をONにしている状態では画面表示とあいまって未来的な風景がカーナビの中に広がる。

 昼間の一般道/高速道路、夜の一般道/高速道路とARスカウターモードでナビゲーションを行いながら走ってみたが、実写映像と合成されたルート指示は分かりやすいため、一瞬視線を移動するだけで進むべき方向を理解できる。その箱庭的な映像に注目が集まりがちなARスカウターモードだが、ルートを素早く認識できるため、走行時の安全性も高くなるだろう。

 この新型サイバーナビには、地図にない道路でも走行すれば地図上に道路を自動生成する「ロードクリエイター」機能が新搭載された。この機能を試すために各所を走ってみたが、そのような道路は1日走り回っただけでは見付からず、改めてサイバーナビの搭載地図の新しさを実感した次第。

 試しにと思い当日(5月29日)15時に開通したばかりの圏央道 白岡菖蒲IC(インターチェンジ)を15時40分ごろ利用してみたが、高速道路の開通などはあらかじめ本体内に搭載されている地図か開通日に反映されており、スムーズなルート案内が行われる結果に。マップチャージ機能により3年間無料(2011年5月〜2014年4月までを予定)の毎月地図更新も行われるため、カーナビで最も大切な地図機能はさすがの仕上がりと言える。

試走当日開通した圏央道 白岡菖蒲IC〜東北自動車道 久喜白岡JCT(ジャンクション)を走行してみた。地図にはすでに反映されており、ルート案内も行われた

 また、同社独自のプローブ情報をもとにした、約70万kmの「スマートループ渋滞情報」を利用可能で、AVIC-VH09CS、AVIC-ZH09CSであれば購入から3年間無料でNTTドコモのFOMA回線を利用する「データ通信ユニット ND-DC1」による通信機能が提供される(AVIC-VH09、AVIC-ZH09は別途購入が必要)。

 AV機能に関しても、4×4の12セグ/ワンセグチューナーによるフルセグ地デジ視聴環境、80GB HDDによるミュージックサーバー機能、iPhone/iPodやUSBメモリーの接続機能など、同社の持つカーナビ、AV技術がすべて注ぎ込まれている。

 今回は話題のARスカウターモードに絞った形で記事をお届けしたが、新型サイバーナビは基本機能を含め多くの点で改良が行われている。その上でAR技術を採り入れ、ナビゲーションの新たな指針を示した新型サイバーナビは、現在手に入る最高のカーナビ環境であることは間違いないだろう。

(編集部:谷川 潔)
2011年 6月 29日