「2011年 JAFモータースポーツ表彰式」開催
日本のモータースポーツチャンピオンが勢揃い

2011年シーズンのチャンピオンが勢揃い

2011年11月25日開催



 11月25日、JAF(日本自動車連盟)が管轄する、2011年シーズンの全日本選手権がかけられているモータースポーツイベントの上位入賞者を表彰する「2011年 JAFモータースポーツ表彰式」が都内ホテルで開催された。

 このJAFモータースポーツ表彰式は、JAF管轄のフォーミュラ・ニッポンや全日本F3選手権、全日本ラリー選手権だけでなく、JAF管轄外の国際イベントとなるSUPER GTに関してもあわせて表彰されるため、日本のモータースポーツの1年を締めくくる盛大なモノとなる。

 今年度はそうした日本のモータースポーツシーンだけでなく、ル・マン24時間で見事優勝したアンドレ・ロッテラー選手とブノワ・トレルイエ選手、FIA GT1選手権で見事チャンピオンを採ったミハエル・クルム選手の3人の外国人選手にも特別賞が贈られるなど、日本のモータースポーツの歴史に新しい1ページを刻む表彰式となった。

大震災の影響でさまざまな苦労があった今年のモータースポーツシーン
 冒頭で挨拶に立ったJAFの田中節夫会長は、「今年は3月に大震災があり、レースの予定が変更されたり、イベントそのものが中止になったりと多くの関係者が大変な思いをした。しかし、その中で関係者のご尽力により、(レースを)開催できたことに御礼申し上げたい」と挨拶。東日本大震災というに見舞われる中、イベントのオーガナイザー、スポンサー、ドライバー、オフィシャル、自動車メーカーなど、多くの関係者の努力で、モータースポーツイベントが開催できたことに謝意を示した。

 その後、各賞の表彰に移り、始めにJAFモータースポーツ名誉委員の表彰や、ダートトライアルやジムカーナ、全日本カートなどの表彰が行われ、その後全日本ラリー選手権の表彰が行われた。全日本ラリー選手権で総合優勝したのは勝田範彦選手(ドライバー)/足立さやか選手(ナビゲーター)の2人で、昨年に引き続きのタイトル獲得となった。

JAFモータースポーツ表彰式で挨拶をするJAFの田中節夫会長全日本ラリー選手権の総合優勝を果たした勝田範彦選手(ドライバー、左)/足立さやか選手(ナビゲーター、右)

ロッテラー、トレルイエ、クルム。日本のモータスポーツ発展に貢献した外国人選手に特別賞
 引き続き行われたモータースポーツ特別賞は、アンドレ・ロッテラー選手、ブノワ・トレルイエ選手、ミハエル・クルム選手の3人が受賞した。いずれの選手もJAFのモータースポーツライセンスを所持しており、ロッテラー選手とトレルイエ選手はル・マン24時間レースに優勝、クルム選手はFIA GT1選手権で見事世界チャンピオンを獲得したことが評価されての受賞となった。ただし、ロッテラー選手とトレルイエ選手は、いずれも帰国中で、代理としてトムスの館代表、ニスモの柿元総監督が表彰を受けることになった。

 クルム選手は、「FIA GT1選手権に挑戦するプロジェクトは2009年にスタートしたが、その時の目標は今年チャンピオンを獲得するというものだったが、結果的にそれを実現できたことは本当によかった。それが実現できたのも、日産、NISMOの仲間達、そして遠くから応援してくれた日本のファンのおかげだと思っており、お礼を述べたい」と、FIA GT1選手権でのタイトル獲得と、今回の特別賞を受賞した喜びを語っていた。

 また、ロッテラー選手はビデオレターで登場。「今年はル・マン24時間にも勝てたし、フォーミュラ・ニッポンのタイトルも獲れ、個人的によい年だった。感慨深いのは、JAFのライセンスを持って、日本の国旗を背負って世界で戦うことができ、非常につらい時期を過ごされていた日本の皆さんをサポートできたこと」と述べ、特別賞を受賞した喜びをあらわにした。

 全日本F3のタイトルはN(ナショナル)クラスが千代勝正選手、C(チャンピオンシップ)クラスがYUHIこと関口雄飛選手が獲得した。今年のF3はいずれのクラスもチャンピオン争いが最終戦にもつれ込む熱戦で、両選手は劇的な展開でチャンピオンを獲得している。

 Cクラスのチャンピオンである関口雄飛選手は、先週行われたマカオGPでの活躍を評価され、RSC MuckeチームからGP3のテストに参加しており、欠席となっていた。なお、GP3はGP2の下位カテゴリーに位置づけられており、F1がヨーロッパで行われる場合には同時に開催されており、今やF3よりもF1に近いカテゴリーとされている。2日間のテストのうち2日目の朝にクラッシュしてしまったため結果こそ残らなかったものの、速さは見せられたようで、ぜひとも来年はGP3に参戦して欲しいものだ。

 なお、NクラスのチームタイトルはNDDP Racing、CクラスのチームタイトルはThreeBond Racing、エンジンチューナーは株式会社トムスが獲得した。

左からロッテラー選手の代理のトムス 館代表、トレルイエ選手の代理のNISMO 柿元総監督、そしてミハエル・クルム選手。クルム選手は今年のFIA GT1選手権にNISSAN GT-Rで見事チャンピオンに輝いている全日本F3選手権 Nクラス。チャンピオンの千代勝正選手

いずれも初タイトルとなったSUPER GTとフォーミュラ・ニッポン
 続いて表彰されたのはSUPER GTで、GT300クラスチャンピオンの谷口信輝選手/番場琢選手、GT500クラスチャンピオンの柳田真孝選手/ロニー・クインタレッリ選手のペア。

 GT300の谷口信輝選手/番場琢選手は、チームチャンピオンでもあるGSR&Studio with Team Ukyoで、初音ミクBMW Z4を走らせ、見事チャンピオンを獲得した。Good Smile Racingは、数年前からSUPER GTに参戦し続け、痛車+個人スポンサーという新しいビジネスモデルをSUPER GTに持ち込んだのだが、昨年までは常に後ろからの順番を数えたほうが早いぐらいのところを走っていた。

 今シーズンは片山右京氏とのコラボレーションや、トップドライバーの谷口選手を獲得し、今シーズンのレギュレーションがFIA GT3規格の車両に有利だったということも追い風になって、BMW Z4でのタイトル獲得となった。ドライバーの2人ともGT300のタイトルは初で、2人にとっては次の段階への、大きなステップアップになったと言ってよいだろう。

 GT500の柳田真孝選手/ロニー・クインタレッリ選手は、今シーズンよりGT500にステップアップしたMOLAに所属し、S Road MOLA GT-Rを走らせた。今シーズンのMOLAは、ミシュランタイヤをチョイスしたことが大当たりし、第4戦で初優勝を飾ったほか、全戦で入賞するなど堅実なレース展開で見事チャンピオンに輝いた。

 クインタレッリ選手、柳田選手ともGT500のタイトルは初めてだが、特に柳田選手は、1度GT300へステップダウンして、昨年GT300のタイトルを獲得。今年は再度GT500へステップアップしたばかりだっただけに大きな喜びをかみしめているようだった。なお、GT300とGT500のタイトルを2年連続で獲得したドライバーは柳田選手が史上初となる快挙だ。

 最後に表彰されたのは全日本選手権フォーミュラ・ニッポン。チャンピオンはアンドレ・ロッテラー選手、チームはトムス、ベストメカニック賞はペトロナスチームトムスの柏原チーフメカニックが獲得と、3部門ともトムスが獲得することになった。2003年からフォーミュラ・ニッポンに参戦しているロッテラー選手は、今年で8年目を迎えるベテランの域に達しつつある選手で、7レースして5勝、2位1回、欠場1回という圧倒的な結果でシリーズを席巻し、見事念願のチャンピオンに輝いた。

 ロッテラー選手は、2006年と2009年にSUPER GT/GT500のチャンピオンに輝いており、かねてより本人の希望だった両タイトルの獲得を実現したことになる(同世代の外国人ドライバーでは、すでにブノワ・トレルイエ選手とロイック・デュバル選手が実現している……)。

 ロッテラー選手はビデオレターの中で「これまで、このフォーミュラ・ニッポンのタイトルを獲ることが最大の目標だったのでそれが実現してよかった。フォーミュラ・ニッポンは非常に競争が激しい選手権だったので、そのタイトルがとれたことの意味は重いと思う」と述べ、日本のレースで最高格式となるフォーミュラ・ニッポンのタイトルがとれた喜びを爆発させていた。

SUPER GT/GT300のチャンピオンは谷口信輝選手/番場琢選手GSR&Studio with Team Ukyoの大橋監督
SUPER GT/GT500のチャンピオンは柳田真孝選手/ロニー・クインタレッリ選手MOLAの大駅監督フォーミュラ・ニッポンのチャンピオン、アンドレ・ロッテラー選手はビデオで登場

(笠原一輝)
2011年 11月 27日