ニュース

ケータハムカーズ、スズキ製エンジン搭載の軽規格スポーツカー「セブン 160」4月1日発売

軽自動車で最高出力80PS。小林可夢偉選手も“運転して楽しいクルマ”と絶賛

英ケータハムカーズ 取締役CCO デビット・リドリー氏(左)と小林可夢偉選手(右)が「セブン 160」と並びフォトセッション
2014年4月1日発売

395万640円

 ケータハムカーズジャパンは3月10日、駐日英国大使館で記者会見を開催。同社のエントリーレベルモデルとなる「セブン 160」を4月1日に発売することを明らかにした。消費税8%を加えた車両価格は395万640円となる。

 イギリスのスポーツカーメーカーである英ケータハムカーズは、かつてロータス・カーズ(現在はグループ・ロータス)が生産、販売していた「セブン」のブランド名で知られるオープンカーの生産、販売権を引き継いだ自動車メーカー。マレーシアのLCC(格安航空会社)であるAirAsisの創業者として知られるトニー・フェルナンデス氏が2011年に買収し、同氏が所有しているF1チーム「ケータハムF1チーム」と合わせて「ケータハム・グループ」を構成している。

 今回発表されたセブン 160は、ボディーサイズなどの仕様は2013年11月に同社から発表された「セブン 130」とほぼ同じ。スズキ製の0.66リッター 直列3気筒ターボエンジンを搭載して日本の軽自動車規格に準拠しており、エンジン出力がセブン 130から向上している部分が違いとなる。

 発表会には、同じケータハム・グループのF1チームであるケータハムF1チーム所属のF1ドライバー 小林可夢偉選手も出席しており、「乗っていて笑顔になってしまうような、シンプルで楽しいクルマ」と、前週にシルバーストーンサーキットで試乗した感想を語っている。

小林選手とリドリー氏の手で除幕セレモニーが行われた
セブン 160のコックピットに座る小林選手

コーリン・チャップマンの思想に基づいて作られたケータハム「セブン 160」

 ケータハムカーズは、1973年に英国で設立された自動車メーカーで、少量生産のスポーツカーメーカーとして知られている。同社の主力製品であるセブンは、元々はロータス・カーズが販売していたオープンタイプのスポーツカーであり、世界中で熱心なファンを集めている「ロータス・セブン」がベースになっている。ロータス・カーズがこのクルマの生産を中止するときにその資産を引き継いだのがケータハムカーズで、その後は同社独自のスポーツカー“ケータハム・セブン”として生産、販売するようになり、現在に至っている。

 そのケータハムカーズを2011年に買収したのが、マレーシアのLCCであるAirAsiaの創業者でもあるトニー・フェルナンデス氏。フェルナンデス氏は、その前年(2010年)から「チーム・ロータス(グループ・ロータスとは別ブランドで保有されていたF1チーム名)」の名称で、F1世界選手権に自前のチームで参戦していたが、それまで「ルノーF1チーム」だったチームが、グループ・ロータスのスポンサードを受けるようになって「ロータス・レーシング」に改称すると、2チームが“ロータス”を名乗ることになり係争となった。そこでフェルナンデス氏はケータハムカーズを買収し、F1チームの方もチーム・ロータスから「ケータハムF1チーム」へと改称したのだ。

 これにより、ケータハムカーズとケータハムF1チームは同じケータハム・グループの企業として活動することになっている。今回の発表会は、その量産車部門であるケータハムカーズの発表会として行われた。

 今回発表されたセブン 160は、2013年11月に発表されたセブン 130とほぼ同じ仕様だが、名称はセブン 160に改められている。これは、元々セブン 130が本国でセブン 160という名称だったことに合わせたほか、エンジンスペックが若干変更されており、セブン 130では47kW(64PS)/5500rpmだった最高出力が、セブン 160では58.8kW(80PS)/5500rpmにパワーアップされた。これに合わせて価格も改定されており、セブン 130では消費税5%を含む349万6500円だったものが、セブン 160では消費税8%を加えた395万640円に変更されている。また、すでにセブン 130をオーダーしている購入者は、希望すればセブン 160の仕様にスイッチすることも可能になっているとのこと。

ケータハムのニューモデル セブン 160。日本の軽自動車規格に準拠して作られているので、ナンバープレートも黄色になっている

 セブン 160の特徴は、やはり日本の軽自動車の規格に収まるように設計されていることだ。このため税金などの負担が軽く、スポーツカーながら維持費を安くあげることができる。軽自動車のスポーツカーと言えば、スズキのカプチーノや本田技研工業のビートなどが軽量で運転の楽しいクルマとして人気を集めたが、このセブン 160も、価格レンジこそ異なるものの、そうした車両に近いコンセプトということができるだろう。

 エンジンは0.66リッターの直列3気筒ターボエンジン。5速MTのギヤボックスなどを含むパワートレーンはスズキからOEM供給されており、非常にコンパクトにまとまっていることも大きな特徴となっている。車重は480kgと軽量で100km/hに達するまでの時間は6.9秒。最高速は160km/hとなっている。

ケータハムカーズ 取締役CCO デビット・リドリー氏

 発表会でプレゼンテーションを行ったケータハムカーズ 取締役CCO(最高コマーシャル責任者)のデビット・リドリー氏は「我々のセブンには複数の製品ラインナップを持っているが、“セブン 620R”などのハイエンド向けだけでなく、日常の足にもなるようなモデルが求められると考えていた。それを実現したのがセブン 160だ」と述べ、乗る楽しみだけでなく、実際に日常の足としても楽しめるエントリー向けとしてセブン 160を開発したと説明した。

 また、「この160はコリン・チャップマンが目指したセブンのオリジナルコンセプトである“パワーだけでなく、軽量で乗っていて楽しいクルマ”を実現するものだ」と語り、エンジンの排気量などは小さくても、車両トータルとして軽量さを実現し、かつスポーツカーらしいハンドリングを実現するという部分で、ロータス・カーズの創始者であり、オリジナルのセブンを開発した故コリン・チャップマン氏の理想を実現したモデルだと強調した。

セブン 160主要諸元
全長×全幅×全高[mm] 3100×1470×1090
ホイールベース[mm] 2225
前後トレッド[mm] 1220/1301
最低地上高[mm] 100
エンジン スズキ製 直列3気筒 0.66リッター ターボ
最高出力 58.8kW(80PS)/5500rpm
最大トルク 107Nm(10.9kgm)/3400rpm
最高速 160km/h
0-100km加速 6.9秒
トランスミッション 5速MT
サスペンション形式(前/後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
主ブレーキ形式(前/後) ディスク/ドラム
タイヤサイズ 155/65 R14
ホイールサイズ 4.5J×14
フロントノーズのエンジンルーム部。エンジンはスズキ製の直列3気筒 0.66リッター ターボで、最高出力は58.8kW(80PS)/5500rpm、最大トルクは107Nm(10.9kgm)/3400rpm
大きく開いたフロントグリル内にラジエターが格納されている
シンプルでアナログテイストなデザインのコクピット
ミッションは5速マニュアルのみが設定されている
左側面に出されたマフラー
フロントノーズ先端に装着されるケータハムのメーカーロゴ
タイヤは前後ともにAVONのZF5を採用。タイヤサイズは155/65 R14
ダブルウィッシュボーンの特徴的なフロントサスペンション
リア右側に設定されたガソリン給油口
古典的なロングノーズ・ショートデッキスタイルを踏襲
全幅は1470mmと軽自動車規格内に収められている

「ドライバーが制御するクルマ」と小林可夢偉選手

記者会見でセブン 160のインプレッションを語る小林選手

 発表会にはゲストとして、ケータハム・グループのF1部門であるケータハムF1チームから2014年のF1世界選手権に参戦する小林可夢偉選手と、その小林選手も出走する第15戦 日本GPの舞台となる鈴鹿サーキットを運営するモビリティランド 取締役社長 曽田浩氏が登壇した。

 今週末にF1開幕戦を控える小林選手だが、忙しいスケジュールを縫って、先週イギリスGPの会場ともなるシルバーストーンサーキットで今回発表されたセブン 160、さらにハイエンド向けとなるセブン 620Rをテストドライブさせたという。小林選手は「サーキットではヘルメットをかぶって走ったが、その中で思わず笑ってしまうような楽しいクルマ。現代の自動車は電子制御も多くて、ドライバーがクルマを制御するというよりは、クルマがドライバーを制御するようなモデルが多いのだが、このセブンは笑っちゃうぐらいそういうモノが付いていないので、ドライバーの思ったとおりにドライブできる」と述べ、セブン 160が乗って楽しいクルマだと説明した。

 詰めかけた報道関係者からは「このクルマでどこを走りたいですか?」という質問が出たが、小林選手は「どこの道でも走っていて楽しいと思う。それよりも、このクルマを楽しいといって一緒に乗ってくれる女の子が必要かな? そんな女の子が隣にいれば、どんな道でもいいです」とジョークを交えながら答えて笑いを誘っていた。

 また、今週末に開幕戦が迫っているF1オーストラリアGPに向けて、ケータハムF1チームでも採用しているルノーエンジンを搭載したチームの苦戦が伝えられていることを受けて出た、「開幕戦では完走することがキーになりそうだが?」という質問に対しては、「ほかのチームも含めて開幕戦でリタイアが続出するとは思っていない。F1のレベルは高いので、他チームも開幕戦までに問題を解決してくると思っている」と述べた。ルノー勢では最も走行する機会があったケータハムF1チームだが、それでも決して楽な戦いにはならないだろうという厳しい見通しを明らかにした。

モビリティランド 取締役社長 曽田浩氏

 また、モビリティランドの曽田社長は「2012年の小林選手の表彰台獲得で鈴鹿は大いに盛り上がった。今年もカーナンバー10がそうした活躍を見せてくれることに期待したい」と述べ、小林選手の活躍に大いに期待しているとした。さらに曽田社長は「すでに昨日から“可夢偉応援席”を先行して販売しており、売れ行きは好調だ。また、今年は可夢偉応援グッズを来場者全員に配布する予定になっており、鈴鹿を緑色に染めたいと思っている」と述べ、今年のF1日本GPに来場した来場者全員に小林可夢偉選手を応援するグッズを配布するという計画を明らかにした。

 なお、鈴鹿でのF1日本GPは10月3日〜5日の3日間行われる予定で、観戦券は鈴鹿サーキットのWebサイト(http://www.suzukacircuit.jp/f1/)などで販売されている。よい席を確保したい人は早めにチェックすることをおすすめする。

(笠原一輝)