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スバル「XV ハイブリッド」の生産ラインを見る
本工場、大泉工場、矢島工場の群馬製作所3拠点を公開
(2013/6/24 11:50)
スバル(富士重工業)は、6月24日に発売した同社初のハイブリッド車「XV ハイブリッド」の生産ラインがあるスバル群馬製作所を報道陣向けに一部公開した。
スバル群馬製作所は、群馬県太田市にある同社の自家用車を中心とした生産拠点。本工場と、その周辺にある矢島工場、大泉工場、そして北工場の4つの拠点で構成されている。今回見学ができたのは北工場を除く3個所。戦前の中島飛行機時代からの敷地を引き継いだ歴史のある工場で最新車両が生産される。
現在、スバル群馬製作所で作られている車両は、レガシィ、インプレッサ、フォレスター、エクシーガ、スバルBRZ、トヨタ86の6車種。そのうち、本工場ではインプレッサ(XV)、BRZを、矢島工場ではレガシィ、インプレッサ(XV)、フォレスター、エクシーガを生産している。エンジンやトランスミッションは大泉工場でまとめて生産されている。
生産車種が一部重複しているのは各工場の負荷を軽減するためで、たとえばフォレスターの受注が多い場合、矢島工場のインプレッサの生産量を減らしてフォレスターを増産したとしても本工場ではそのままインプレッサを生産し続けることができ、柔軟に対応できるという。
矢島工場
最初に見学をしたのは矢島工場の第5トリム課と呼ばれる場所で、同工場内ではフォレスターとインプレッサの組立を担当している部署だ。ここでXV ハイブリッドの組立も行われている。スバルでは工場のラインは混成ラインとなっており、1つのラインに1種類の車種ではなく、複数の車種が同一のラインで流れてくるようになっている。
そうした流れのなかで作業する際にミスを軽減する仕組みとして「部品指示ポカヨケシステム」というものが導入されている。これは車両ごとに必要な部品情報を無線LANで共有し、目の前に来た車両にどのパーツを付ければよいかが作業者に一目で分かるようになっているもの。車両にはあらかじめその仕様データを納めた端末が取り付けられており、車両が作業エリアに入ってくると、必要なパーツが入っている棚のランプが点灯し、どれを取り付ければよいかが一目で分かるようになっている。
ここでは、XV ハイブリッドにハイブリッド走行用のバッテリーを取り付ける様子や、エンジンを取り付ける様子を見学することができた。
大泉工場
大泉工場ではエンジンやトランスミッションの製造工程を見学した。まずはダイカスト工場でアルミインゴットからエンジンケースやシリンダーブロックなどをアルミ鋳造によって生産する工程だ。ここではアルミのインゴットを急速溶解炉を使い、摂氏760度の温度で加熱、溶解させる。これをダイカストマシンを使って高圧で鋳込み、冷却。その後機械を使って大まかに湯道(バリ)を取り除く。その後は人間による手作業で細かいバリや液漏れの有無などをチェックし、微調整していく。
次はトランスミッション系の製作工程。ディファレンシャルギアに使われるハイポイドギアの製作の様子や、ラッピング研磨の様子を見学できた。ハイポイドギアはグリーソン製の歯車製造機によって作られる。製造されたギアはラッピング研磨過程で一組にされ、組み合わせた状態で回転させながら研磨が行われる。この組み合わせはそのまま完成車まで変更されることはない。
ラッピング後は最終チェックとなるが、ここでもやはり、最終的なチェックは人間が行う。実際に組み合わせた状態でギアを回転させ、噛み合い具合や異常音などの有無を熟練工がその目と耳でチェックする。同様のチェックを行うための機械もあるが、時間がかかり、結局は人間の手によって行うほうが速いのだそうだ。
最後はエンジンの組立行程を見学した。基本的にはこちらでも車両の組立時と同様に「部品指示ポカヨケシステム」が使用されている。エンジンパーツがラインで流れてくると、パーツが入った棚にあるランプが点灯して、組み込みが必要なパーツを作業員に指示してくれる。ここでは使ったパーツの数や作業員が行ったネジ締めの回数などもカウントしており、すべての作業履歴が蓄積されてるという。
完成したハイブリッドエンジンは、実際にガソリンを入れて点火をするファイアリングチェックとモーター部分の動作を個別にチェックして、矢島工場に出荷され、それぞれの車両に搭載されていく。
本工場
本工場では実際のラインは見学できなかったが、戦前からほぼそのままの状態で残っている「本工場 本館」や、戦前の飛行機工場をそのまま流用した建物など、歴史的な価値のある建物を見学することができた。また、大泉工場内の資料館ではスバルの歴代エンジンも展示されていたのでその一部も紹介する。