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ホンダ、新型「オデッセイ」「オデッセイ アブソルート」発表会

過去に縛られない“オデッセイDNA”で超低床プラットフォームと両側スライドドアを獲得

5代目となる新型「オデッセイ アブソルート」とホンダの伊東孝紳代表取締役社長
2013年10月31日開催

 本田技研工業は10月31日、フルモデルチェンジして11月1日から発売する新型「オデッセイ」「オデッセイ アブソルート」の発表会を東京・青山にある同社本社ビルで実施した。

 新型「オデッセイ」「オデッセイ アブソルート」の詳細については関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131031_621054.html)を参照していただきたい。

アンベールされる新型「オデッセイ アブソルート」
新型「オデッセイ」
新型「オデッセイ アブソルート」

 オデッセイはホンダのLクラスミニバンとして1994年に初代モデルを発売。同時期にデビューしたCR-Vやステップワゴンなどとともに、同社が進めていたクリエイティブ・ムーバー(生活創造車)シリーズの1台として位置付けられ、当時のミニバンの多くが商用車派生で実用性を重視した車両だったのに対し、オデッセイは乗用車のアコードをベースに開発され、ベース車譲りの走行性能に加え、内外装のテイストも乗用車感覚をイメージさせるものだったことで一躍ヒット車種となり、これまでにシリーズ累計の国内販売台数が105万台を超えるホンダの主力モデルとなっている。

新しい価値の創造にチャレンジし続けることがオデッセイのDNA

「人々をワクワクドキドキさせ、幸せにする商品を提供し続けることがホンダの存在意義であり、ホンダらしさ」と語る伊東孝紳氏

 発表会で冒頭に挨拶した本田技研工業 代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏は、発売から20年で重ねてきたオデッセイの歴史について解説。初代モデルは乗用車の安定した走行性能と高いユーティリティを同時に実現し、多人数乗用車の革命として国内市場にミニバンブームを巻き起こし、それ以来、快適な移動空間の理想を求め続けてミニバンの既成概念に固執することなく常に新しい可能性のチャレンジしてきたと語り、新しい価値の創造にチャレンジし続けることがオデッセイのDNAであると表現している。

 また、5代目となる新型オデッセイを「定評ある“乗用価値”に磨きをかけながら、歴代モデルを超える“ユーティリティ価値”を徹底追求しました。走り、居住性、使い勝手、燃費、安全性、デザインと全てを格段に進化させ、これまでミニバンを経験してきた人の期待を大きく超える移動空間を実現しています」と解説し、オデッセイの車名のモチーフとなったギリシャの叙事詩「Odyssea(オデュッセイア)」を引き合いに出し、「長い冒険旅行」という意味を持つこのクルマが、家族や仲間と楽しく快適な旅行が楽しめるモデルになっていると紹介した。

「5代目オデッセイも時代に合わせて大きく進化しました」と語る本田技術研究所 四輪R&Dセンターの中川真人氏

 車両の詳細については開発責任者を努めた本田技術研究所 四輪R&Dセンターの中川真人氏が担当。新型オデッセイの開発テーマが「新価値ミニバン」であり、ミニバンの2大価値である「ユーティリティ価値」と「乗用価値」を高次元でベストバランスにすることを目指して開発。ユーティリティ価値については広々とした空間を中心に、乗降性、シートアレンジなどと定め、オデッセイで評価が高い走行性能と両立させていくためには革新的なパッケージが必要になり、このために開発されたのが「超低床プラットフォーム」であると説明する。この新しいプラットフォームにより、広さと同時に使い勝手や上質感も手に入れ、低重心を維持するサスペンションや新型ダンパーによって高い走行性能も実現しているとアピールしている。

「新価値ミニバン」という開発テーマを新開発の「超低床プラットフォーム」を使うことで実現

ハイブリッドモデルの登場は「少しお時間を下さい」

 発表会の終盤では参加した記者との質疑応答も実施。このなかで従来までオデッセイのアイデンティティとなってきたリア側のヒンジドアを新たにスライドドアに変更した理由について質問され、伊東社長は「結果的にヒンジドアがアイデンティティになってきた事実は否定できないが、これまでオデッセイを販売するなかで“ヒンジドアだと駐車場で困る”という意見を多く耳にしていて、このクルマは小さな子どもを乗せて利用するシーンも多く、もっとお客様にすばらしい乗用価値があると感じてもらうためにスライドドアを採用することを決めています。一般的にはスライドドアにすると重量が重くなったりコストが高くなりますが、それらを克服して、どうしたらオデッセイが本来持つ走りの俊敏さを維持できるかに技術陣はチャレンジしています。結果的には目標の走りを持つクルマになったと自負しています」と回答している。また、ハイブリッドシステムの採用がないことについては、「この超低床設計でハイブリッドが成立するか、一生懸命に考えているところです。少しお時間を下さい」とコメントした。

質疑応答で集まった記者からの質問に応じるホンダの首脳陣
ヒンジドアからスライドドアへの変更は「ユーザーの使い勝手を優先して、かつオデッセイらしい走りも確立している」と説明する伊東社長
本田技研工業 専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏は「オデッセイのシティブレーキアクティブシステムはもの足りないと言われることもありますが、これは廉価でご提供できるのがよいところです。これによって多くのお客様にお求めいただける価格設定にして、これ以上を求める人にはCMBSを設定するという考えです」と5代目オデッセイの先進安全技術について説明
導光タイプのLEDポジションランプを全車で採用。LEDヘッドライトはアブソルート全車とオデッセイ G EXに標準装備する
オデッセイ アブソルート EXの2WD(FF)に標準装備する18インチアルミホイール。タイヤサイズは225/45 R18
オデッセイ G EXに標準装備する16インチアルミホイール。タイヤサイズは215/60 R16
オデッセイ Bに標準装備する16インチスチールホイール+フルホイールキャップ。タイヤサイズは215/60 R16
オデッセイに搭載するK24W型の直列4気筒DOHC 2.4リッターエンジン。最高出力が129kW(175PS)/6200rpm、最大トルクが225Nm(23.0kgm)/4000rpm
オデッセイ アブソルートも同じK24W型だが、直列4気筒DOHC 2.4リッターの直噴エンジンを採用。FFと4WDで出力が異なり、FFはオデッセイから11kW(15PS)/12Nm(1.2kgm)アップ、4WDは同7kW(10PS)/10Nm(1.0kgm)アップとなる
エンジンとミッションを紹介する展示用モデル。ミッションは今回から全車CVTになった
オデッセイのインパネとメーター
インターナビ・リンク+リンクアップフリーはEXグレードで標準装備
センターコンソールの「リフトアップトレイ」はBグレード以外に標準装備
インターナビ・リンク+リンクアップフリーの装着車はHDMI端子やUSB端子×2も装備する
両側スライドドアとなり、広い開口スペースと低いフロア高で乗降性が大幅に向上している
8人乗り仕様のセカンドシート。シートバックが座面まで倒れて水平になる
7人乗り仕様に装着される「プレミアムクレードルシート」。740mmのロングスライド機構も特徴的な機能だ
オデッセイの内装色はアイボリ、オデッセイ アブソルートの内装色はブラックとなる
EXグレードには本革シートもオプション設定
サードシートは全車ベンチタイプの3人乗り
通常のラゲッジ容量は330L。サードシートはシートバックを前方に倒してから後方に引き上げてフロアスペースに収納する
新車発表会の会場で目にするのは珍しいフューエルタンクの展示用モデル。新開発の「超低床プラットフォーム」を実現する最大のポイントになっているとのこと。次の技術的課題はタンク内から燃料を吸い上げるポンプの薄型化。この白いパーツがさらに薄くなると、さらなる低床化を実現できるとのこと
全車で採用するザックス製の振幅感応型ダンパー。ストローク量に応じて減衰力を変え、小さなストロークでは低い減衰力で振動を吸収、大きなストロークでは高い減衰力を発生して車両姿勢を安定させる働きを持つ
リアドアのスライドドア化によって新設定された「サイドリフトアップシート車」。2列目の左サイドにモーター駆動で回転&昇降を行う電動シートを装着。超低床プラットフォームの低いフロアが車いすとシートのスムーズな移動をサポートする
駐車場のスペースを使い、新装備の「スマートパーキングアシストシステム」のデモンストレーションも行われていた

(編集部:佐久間 秀)