日下部保雄の悠悠閑閑

疎開してきたネコたちの葛藤とヤリス

ウメとモモ。たぶん、前にいるのがウメだと思う。そっくりなので分かりません

 ネコが疎開してきた。次男夫婦に第二子が誕生し、次男と長女がしばらくウチに同居することになった。久しぶりの次男との生活だ。で、我が家は孫娘とネコを加えて、別の意味でニューノーマルに突入した。疎開してきたネコは以前紹介したことのあるウメとモモの姉妹だ。おかげで我が家のネコ密度は一気に上昇した。

 甘えん坊で気の強いムクは大騒ぎである。自分より大きなウメ、モモに向かってフーフー! シャーシャー! 背中を丸めて怒っていたが、翌日にはそのトーンが落ちた。次第にお互いの距離も近づいている。まだムクの耳には警戒警報が鳴り響いているようだが、友好条約を結べるのが遠い話でないことを祈る。それに今まで甘え放題だったムクが夜一人でしょんぼりとしているのは、どうも見るに忍びない。

やさぐれムク

 一方、ウメとモモは毛色も同じなので、同時に見ても識別不明。仔猫の頃は全く分からなかったが、最近は体形が変わってきたので少し見分けることができるようになった。尻尾の短いのがウメで好奇心旺盛、長いのがモモで用心深い。どちらも片方がいないと心配してウロウロ探しまわるほど仲がいい。その優しいモモとウメも、今のところはムクの威嚇には辟易している様子だ。現在は棚の上やクローゼットの中など、自分たちで居所を見つけてトラブルを回避しているところがいじらしい。当面この1匹対2匹の駆け引きは続きそうである。

モモです。扉の向こうにはムクがいて、そろそろと後ずさりをしたいところでムズムズしてます

 と言うわけで我が家はネコのインフレ状態で、視界のどこかにネコがいます。

我関せずのトバ。時々ムクのダッシュに付き合ってやってます

 ところで、しなやかなネコの動きに触発されたからではないが、新型コロナウイルス禍で乗りそびれていたヤリスに改めて乗ってみた。借り出したのはガソリンの1.5リッター。それも上級グレードのZだ。

ヤリス。1.5リッターガソリンのZグレード

 価格は素の状態で192万6000円。これにアルミホイールやHUD、ブラインドスポットモニターなどの予防安全装備、パノラミックビューモニター、T-Connect対応ナビ、TV、カメラ型ドライブレコーダー(今や必需品)、ETC、フロアマット、トノーカバーなどを入れると、総額247万6000円となる。ザクっと自分なら付けたいものを拾っても25万円ぐらいのオプションが欲しくなり、ヤリスのガソリンエンジン車も上級グレードの乗り出しは200万円を軽く超える。

 さて4隅にタイヤを置いて踏ん張ったスタイルは性格を表しているようで頼もしい。実際にハンドルを握って感じるのは骨太さである。重心位置を下げた新しいプラットフォームの効果は街中でも好印象だ。ハンドルを切った時の反応が早く、タイヤが路面を接地しているのが伝わってくる。試乗コースは市街地と首都高速。遠出する機会を逸してしまったが、それでも十分に楽しかった。

ヤリスのハンドル。スイッチだらけで、時折ハンドルを回すと手のひらで押してしまうのか、何かが変わります。もう少し必要順位に応じてスイッチの形状や配置を変えたいです

 3気筒の1.5リッターエンジンは燃費だけでなく、パフォーマンスもなかなか。アクセルを踏み込んだ時は吸気音が心くすぐる元気のいいエンジンだ。それだけに3気筒特有の振動も体に感じられる。静振性を考えると4気筒だが、3気筒の軽快な回転フィールや好燃費は魅力的。ヤリスにはマッチしたパワーユニットだ。

 トランスミッションはギヤ付きのCVTで、ドライブモードをスポーツにすると低いレシオをキープするので、いつでも加速できるスタンバイ状態になる。スポーツモードは自分には使うチャンスはあまりなかったが、必要に応じて性格分けが明快なノーマル、Ecoと使い分けることができる。

ドライブモードのスイッチ。それぞれのモードごとにメリハリが効いており、特にスポーツモードは走りが変わります。個人的にはあまり使わないけど

 乗り心地は硬め。後席に乗ることはできなかったが、突き上げ感はありそうだ。後席の広さは自分のドライビングポジションに合わせると、レッグスペースは握りこぶし1つ分ぐらいでギリギリの感じだ。

ヤリスのリアシート。昭和生まれの身長169cmのおっさん(オレ)がドラポジを取った時の後席。バックレストと膝の間に拳が1個入ります

 ヤリスは期待に背かず、コンパクトカーらしくキビキビしてドライバーズカーとしても楽しかった。脅威の燃費を誇るハイブリッドは人気で、こちらは少し距離を乗ってみたい。

 ちなみにヤリスの6月の販売台数は1万台を超えて登録車の2位につける。このコロナ禍の時代でもトヨタは強い。

 そういえばホンダのデザイナーは人に優しい柴犬をイメージしてフィットを作ったと言っていた。ヤリスと正反対の性格を持つフィット。動物つながりでこちらももう一度試乗してみよう。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。