まるも亜希子の「寄り道日和」

外出自粛を乗り切るために夫が仕入れたもの

2001年に刊行された「レストアガレージ251(にこいち)」(次原隆二著)は、女好きだけど腕は一流の主人公・夢次郎のもとにやってくる、廃車寸前のボロ車とそこで交差する数々の人生たちが、笑いと涙を誘う物語。よぉ~く見ていると、現役で活躍するクルマ業界のカメラマンさんの名前とか、「おっ」と思える発見もあって楽しいですよ(笑)。左上にチラッと映っている大量のDVDも、夫が外出自粛を乗り切るために仕入れた懐かしいものなのですが……。それはまた別の機会にでもご紹介しますね

 おうち時間を少しでも楽しもうと、緊急事態宣言が出てからSNS上ではいろんなイベント(?)が流行っていますね。歌を唄うものとか、幼少期の写真を24時間限定で投稿しなければいけない、なんて罰ゲームみたいなものもありましたが(笑)。

 そんな中で、私がバトンをいただいてすごく嬉しかったのは、「7日間ブックカバーチャレンジ」です。これは、読書文化の普及に貢献するために行なうチャレンジで、自分の好きな本を1日1冊、7日間投稿するというもの。投稿の際に、毎日1人のSNS友達を招待してこのチャレンジに参加してもらうというルールで、私も参加させていただきました。

 幼いころから本が大好きで、今でも1か月に数冊は本を読まないと落ち着かない活字中毒のような私。クルマの唯一の欠点は、「運転しながら本が読めないことだ」といつも冗談で言っているくらいなので(笑)、これを機に少しでも本のよさが見直されたらいいな、と思いました。

 すでに私の好きな7冊はFacebookに投稿済みなのですが、今回はその中でクルマに関連する本をぜひ皆さんにもご紹介させてください。

1990年に刊行された「雨の日には車をみがいて」(五木寛之著)は、この表紙のイラストにも惹かれて手に取った1冊です。青春恋愛小説ですが、登場するクルマはどれもレア。この文庫版では解説を故・徳大寺有恒さんが書かれているのも、クルマ好きには響くのではないかと思います

 1冊目は、五木寛之著「雨の日には車をみがいて」です。これをたまたま手に取ったのは、自分が将来クルマに携わる仕事をするなんて夢にも思っていない学生のころ。1つのストーリーが異なるクルマごとのエピソードで語られるのですが、登場するクルマがまぁレアなんです。シムカ1000とかシトロエン・2CV、ボルボ・122Sアマゾンなどなど、当時の私にはまったく想像できないものばかり。それでも、読んでいくとなんとなくそのクルマの持つ味わいのようなものが伝わってきたり、「クルマってこんな風に、人の気持ちとシンクロするものなんだな」と心に沁みたのを覚えています。

実はこの「定本・本田宗一郎伝 飽くなき挑戦 大いなる勇気」(中部博著)は、最初に集英社から刊行されたあと、さらに取材を重ねてより深くリアルに書き直されたものが三樹書房から刊行されており、私がオススメするのは後者です。こんな世の中だからこそ、本田宗一郎さんの言葉がより心に沁みるかもしれないですね

 そして2冊目は、中部博著「定本 本田宗一郎伝 飽くなき挑戦 大いなる勇気」。これは単なる偉人伝ではないんです。「もうダメだ」とくじけそうになったり、他人と比べて自分の境遇を恨みそうになったり、目標があっても何から始めたらいいかわからなかったり、そんな時に読みたい本。徹底した取材と事実に基づいた詳細なデータと表現力によって描き出された「本田宗一郎」という人物が、心の中で生き生きと動いて語りかけてくるのです。人間臭くて、でもそれが本当に魅力的で。きっと「よし、がんばってみるか」と前を向く元気をくれると思います。

 さて、この2冊が私のオススメなのですが、実はこの投稿が終わってから自宅に何やら大きなダンボールが届いて、開けてみたら大量のマンガ。あまりマンガを読まない私はちょっと引いてしまったのですが、なんとこれは夫からのオススメでした(笑)。

 夫が子どものころに読んで大ファンになったという「よろしくメカドック」は、私でも知っているくらい有名ですが、次原隆二先生の作品「レストアガレージ251」、全33巻! これは初めてです。

 娘から「なんで大人なのにマンガ読むの?」と突っ込まれつつ、せっかくなんで1巻から読んでみると、いやもう一瞬でグイグイと引き込まれてしまい、時おり涙しながら一気に読破。クルマ好きにはたまらないレアなクルマとそのウンチク、コメディのようでいて深イイ話がズラリで、早々に私もファンになってしまいました。これは33巻まであっという間に読んでしまいそうです。マンガ派の皆さんは、ぜひ! 私はこれから3巻を手に取りながら、まだまだステイホームを楽しみたいと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z(現在も所有)など。