まるも亜希子の「寄り道日和」

駐車場シェアサービスを利用してみました

駐車場シェアサービス「akippa」が取り組んでいる、駐車場の有効活用サービス「akippaマルシェ」では、こうした移動販売事業者の営業拠点にもなっているそう。いろんな場所で、いろんなお店が開かれるようになったらもっと街が賑やかになりそうですよね

 いよいよ2022年最後のコラムとなりました。皆さんはどんな1年でしたでしょうか? 実は私にとって2022年は、次から次へと困難が襲いかかってくる波瀾万丈な1年でした。そのたびにボロボロになりながら起き上がるものの、一難去ってまた一難とはこのことか、という感じで、おまけに最後の最後に自分がコロナに感染し、悪夢のような1年にふさわしいラストを飾ってしまいました(笑)。明くる年こそは、穏やかとまでは言いませんが、困難少なめの1年になってほしいなと願っております。

 さて、そんな中でも人やクルマやサービスとのいい出会いがたくさんあったのだけが救い。このコラムでもそのたびに皆さんにご紹介してきましたが、今年最後は「もっと早く使ってみればよかった!」と私自身が感じている、とても便利でお得で今までの悩みごとをスっと解消してくれる駐車場シェアサービスです。

 仕事でもプライベートでもクルマ移動が多い私にとって、出かける際にいちばん心配なのはいつも「駐車場が近くにあるかどうか」「空いてるかどうか」「料金が高くないかどうか」の3つ。台数が多い駐車場でも、何かイベントがあったりすると満車になってしまったり、駅から離れた場所や住宅街などでは見つかりにくいこともありますよね。

 そんな、駐車場にまつわる「困りごと」を解決するためにスタートしたという駐車場シェアサービスの「akippa(アキッパ)」は、店舗や個人の家、土日ほどは混雑しない平日の商業施設など、空いている時間、貸し出せる時間がある駐車場を登録する貸主と、駐車場を使いたいユーザーを駐車場予約アプリ「akippa」でつなぐシステムです。ユーザーは登録料や月額などの無駄な費用はいっさいかからず、使いたい日時に地図上から使いたい駐車場を探して15分単位、1日単位で予約し、決済はネット上で行なうというもの。当日は煩わしいお会計がないので小銭を用意する必要がなく、料金設定は相場よりも格安で、予約した時間内であれば何度でも出入り自由の場所も多くあります。なので、お出かけだけでなく、自宅に知人を招待した時に停める来客用の駐車場として使ったり、家具など大きな荷物を運び入れたい時、引越しの時といった、普段とはちがった使い方をする時の駐車場としても使えます。

 で、私は日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考会が横浜のランドマークタワーで開催された時にも、このakippaを利用してみました。ランドマークタワーの一般駐車場は平日でも料金の上限設定がなく、30分280円。この日は懇親会まで含めると6時間ほど利用する予定だったので、通常なら3360円かかる計算です。そこで、近くに格安の駐車場があったらいいな、くらいの気持ちでアプリを見てみると、まさにランドマークタワーの駐車場そのものが、1日1700円という超お得な料金で出ているではないですか! さっそく予約して、現地へ向かいました。

実際に横浜ランドマークタワーの駐車場をakippaで予約して使ってみました。入口では駐車券を取らずに、このように備え付けてある番号入力端末で、あらかじめアプリで発行された5ケタの暗証番号を入力すると、ゲートが開きます。帰りも同様の操作で、いろんなストレスから解放されて超便利でした

 akippaの利用者は、駐車場の入り口で駐車券を取らずに、備え付けてある番号入力端末に、あらかじめアプリで予約時に発行された暗証番号を入力すればOK。ゲートが開き、あとは空いている駐車枠に停めて、帰りにはまた出口で暗証番号を押せば、バーが開くようになっています。すごく簡単、というか駐車券を持ち歩かなくていいし、事前精算機で並ばなくていいし、コインを1枚ずつ入れたりしなくていいし、これまでのストレスがすべてフリーに! これは本当に、いいサービスだなと実感したのでした。

 もし、個人のお宅の駐車場を貸し出しているような場所だと、わかりにくいのかな? なんて不安に思う人もいると思いますが、アプリで写真を確認できたり、分かりづらい駐車場の現地にはakippaの看板もあるそうなので、どこに停めればいいのかわからないようなことはないとのこと。今はコロナ禍で会えていませんが、以前はよく、大田区に住む友達の家に遊びに行く時に駐車場がなくて困っていたので、ぜひ探して使ってみたいなと思いました。

2台分あるけど自分では1台しか使っていない個人宅の駐車場とか、平日の昼間はずっと空いている駐車場なども登録すれば貸し出すことができます。事前予約&決済だから、当日は行って停めるだけというのが簡単

 さて、この駐車場シェアサービスですが、取材してみるとただ単に駐車場の困りごとを解決するだけでなく、路上駐車や迷惑駐車、駐車場を探すクルマのせいで起こる渋滞や、通路を塞いでしまうといった社会問題の解決にもつながることがわかっているそう。また、最近はSNSで紹介されたなにげない景色がバズり、突然観光客が押し寄せてしまったり、鉄道ファンが勝手に私有地に駐車してしまったり、普段は人口が少ない地方に有名人が来る、ライブが行われる、といった期間だけクルマが集中するなど、駐車場不足によって引き起こされる問題も指摘されています。そんな問題解決への足がかりになればと、akippaではスポーツイベント時の駐車場確保への取り組みを、全国のサッカーチームなどと連携して推進しているということでした。

 さらに、駐車場を有効活用する取り組みの1つとして、いいなと思ったのが「akippaマルシェ」。コロナ禍によって利用が減っている駐車場と、営業時間短縮や密を避けた営業を模索して屋外出店を考えている飲食店、出店する場所がないという移動販売事業者をつなぐ取り組みです。駐車場を利用してキッチンカーの営業ができたり、野菜やハンドメイド作品などをガレージセール的に販売したりしたら、街が活気づきそうだし、ご近所の人たちもきっと嬉しいですよね。駐車場って実は、いろんな可能性を秘めた場所だったんだなぁと、気づかせてくれたakippaでした。

 そんなわけで、これからもこうしたカーライフにまつわる情報に敏感でいたいと思っています。読んだ人がちょっとお得な気持ちになれるコラムを目指します(笑)。それでは皆さま、1年間お付き合いくださりありがとうございました! どうぞよいお年をお迎えください。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。