人とくるまのテクノロジー展 2019

ホンダ、3輪EVのパーソナルモビリティ「ESMO Concept」世界初公開

可搬式バッテリー「モバイルパワーパック」が基軸の最新電動化技術を紹介

2019年5月22日~24日 開催

入場料:無料(登録制)

ホンダブースで世界初公開された3輪EVのパーソナルモビリティ「ESMO Concept」と、再生可能エネルギーを有効活用するための最新電動化技術

 神奈川県横浜市のパシフィコ横浜・展示ホールで5月22日、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2019 横浜」が開幕。ブース番号 131の本田技研工業ブースでは、3輪EV(電気自動車)コミューターの「ESMO Concept」を世界初公開している。

 ESMO Conceptは最高速6km/hで高齢者向けの「シニアカー」に分類されるパーソナルモビリティだが、一方でシニアカーにありがちなネガティブなイメージを払拭するため、リア1輪の3輪スタイルや、ホンダがかつてラインアップしていたスクーター「ズーマー」をモチーフとした外観デザインなどで軽快さを表現。また、センターコンソール内にはUSB端子4個、AC 100V端子1個を内蔵し、停電時などの非常用電源としても活用できる実用性の高さも兼ね備えている。

「シニアカー」に分類されるESMO Conceptだが、バギーテイストのアクティブな外観デザインを採用する

 また、リアサスペンションには樹脂ブッシュを使い、ミラーは「モトコンポ」の純正品を流用してコストアップを抑制。JIS規格で求められる傾斜地での横転対策としてフロア側面後方にバーを備えるなど、市販化までしっかりと視野に収めた本格的なコンセプトモデルとなっている。

 ボディサイズは1200×600mm(全長×全幅)で、後輪にDCブラシレスインホイールモーターを内蔵。フロアのリッド内に可搬式バッテリー「モバイルパワーパック」1個が収納可能となっており、航続距離は約45kmを実現している。

ヘッドライト脇のホーン用スリットや専用タイヤのパターンなどで、3輪EVの3を意匠化。ボディの要所に設定されたリフレクターなども法規準拠となっている
フロアのリッド下に可搬式バッテリー「モバイルパワーパック」(写真はダミー)1個を収納可能
アクティブさを演出する3輪タイプとしつつ安定感を確保するため、リアタイヤは特別に用意した幅広タイプとなっている
リアタイヤがインホイールモーターとなっており、最高速は6km/h。約45kmの航続距離を実現する
最高速が6km/hということで、リアタイヤのサスペンションには樹脂ブッシュを使用。「少しでもコストを下げて車両価格を抑えられるよう、さまざまな面で工夫している」とのこと
ミラーは「モトコンポ」純正品を流用。ハンドルバーの両サイドがウインカーになっている
展示車ではハンドルバーの中央にスマートフォンを固定しているが、スマホなしでもグリップ部分に設定されたインジケーターだけで走行可能としている。また、スマホを使ってユーザー認証し、シェアリングサービスを行なうことも視野に入れている
センターコンソールのコンビニフックを回転させてロックを解除すると、リッド内に設置されたUSB端子などにアクセスできる。災害などで停電したときに活用できるようにして、購入時に家族を説得しやすくすることが狙いとのこと
そのままでもJISで定められた傾斜角度の安定性をクリア可能だが、万が一に備えて横転防止用のバーを装備する
ESMO Conceptのスペック表。車名のESMOはElectric Smart MObilityの略

 このほかにホンダブースでは、2018年11月からリースを開始した2輪EV「PCX エレクトリック」の車両展示を実施。PCX エレクトリックでも採用する可搬式バッテリーのモバイルパワーパックを中心に、太陽光や風力などで発電した再生可能エネルギーとしての電気を活用する最新電動化技術について紹介している。

2輪EV「PCX エレクトリック」とモバイルパワーパックを中心とした電力ソリューションを紹介
人気スクーターの「PCX」をベースにEV化したPCX エレクトリック
シート下にモバイルパワーパック2個を収納。PCX エレクトリックでは2個同時運用を基本としているという
最高出力4.2kW(5.7PS)/5500rpm、最大トルク18Nm(1.8kgfm)/500rpmを発生する「EF01M」型モーターで後輪を駆動
モバイルパワーパックの単体展示
モバイルパワーパックと充電器
市街地に設置して、使用済みのモバイルパワーパックを充電済みのモバイルパワーパックと交換する「Honda Mobile Power Pack Exchanger」
PCX エレクトリックで使用したモバイルパワーパックの交換を主目的としているので、1回に2個のモバイルパワーパックを同時交換
人感センサーによってリッドを開閉。使用済みのモバイルパワーパックをトレーに置くと充電済みのモバイルパワーパックと差し替えられる。充電の待ち時間がなくなるほか、バッテリーの状態をホンダが把握して、ユーザーが常にコンディション良好なモバイルパワーパックを利用できるようコントロールしている
本体下に4個のタイヤを備え、モバイルパワーパックに蓄えた電気をいろいろな場所で使えるようにする「Honda Mobile Power Pack Charge&Supply Concept」
本体上部に操作パネルとアウトレット、インレットを設定
展示品にはUSB端子と欧州などを中心に利用されているコンセントを計4個装着しているが、ボルトオンで交換可能となっている

 4輪関連では、「クラリティ PHEV」に搭載するハイブリッドシステムの要素技術についてもカットモデルやパネルを使って解説している。

「クラリティ PHEV」のフロア下にレイアウトされる「IPU(インテリジェントパワーユニット)」のカットモデル
角形銅線などを使った新型ステータで効率を高めたi-MMDのモーター部分
小型化によりエンジンルーム内にレイアウト可能となった「PCU(パワーコントロールユニット)」

編集部:佐久間 秀