イベントレポート

豊田自動織機、使用済みCFRPを再生したリサイクルCFRPスポイラーを展示

2023年10月26日~11月5日 開催

リサイクルCFRPの模様

 豊田自動織機は「ジャパンモビリティショー2023」(東京ビッグサイト:会期2023年10月26日~11月5日)において、電動車に不可欠な電動コンプレッサーや電装品に電源を供給するDC-DCコンバーターといった車載製品などを展示したほか、織り機関連としてCFRPのリサイクルシステムを展示した。

電動コンプレッサーやDC-DCコンバーターのグローバル供給体制を強化、電動コンプレッサーは2025年にグローバル1200万体制に

株式会社豊田自動織機 取締役社長の伊藤浩一氏

 ブースで行なわれたプレスブリーフィングでは、豊田自動織機 取締役社長の伊藤浩一氏が登壇「この四半世紀、当社はハイブリッド車の拡大に対応して製品群を着実に増やし、電動車向けの技術を培ってきた。この蓄積を活かし、急拡大するBEV向けの製品開発力を高め、一層の貢献を目指していく」とした。

 さらに、伊藤氏は新たな取組として、電動コンプレッサーやカーエレクトロニクス製品のグローバル供給体制を強化することを発表した。

 伊藤氏は「電動コンプレッサーについて、BEVでは冷房だけでなく暖房や電子機器の冷却も担い、役割が拡大していると指摘するとともに、豊田自動織機が「世界ナンバーワンを誇り、累計の生産台数は3000万台」とし、ドイツ・ザクセン州とアメリカ・ミシガン州の両拠点あわせて年間160万台の生産能力増強を行ない、グローバル供給体制を2023年の1000万台体制から2025年に1200万台体制へ引き上げるとした。

 さらに「DC-DCコンバーターやACインバーターは電動車の血液とも言える電力の変換機能を担うが、これらのカーエレクトロニクス製品は、いずれも世界トップシェアを誇っている」と説明、初めての海外生産となる工場をアメリカ・ジョージア州に新設し、2025年7月から生産を開始し、年間50万台生産し、今後も増強や生産品目の拡大を検討する。

 また、トヨタと共同開発したバイポーラ型ニッケル水素電池の搭載車種がトヨタで拡大していることを指摘、現在、生産能力拡大を行なっていることを発表した。

CFRPをリサイクル、再生したCFRPのスポイラーを展示

CFRPのリサイクルの展示ではスポイラーが展示

 織物の機械をてがける豊田自動織機ならではの展示として、炭素繊維複合材料(CFRP)のリサイクルシステムを展示、リサイクルしたCFRPを使ったスポイラーを展示した。

 使用済みのCFRP製品から再生した炭素繊維の紡績糸を製織・成形してリサイクルCFRPとしたもの。カーボン製品の布目がバージン素材とは若干異なっているが、同等の性能を持つものとなっている。取り出した紡績糸を製織するなど、織り機を手掛ける豊田自動織機ならでは技術が使われているという。さらに、性能評価や品質保証のツールも提供し、トータルでリサイクルCFRPの活用をサポートしていく。

リサイクルのシステム

軽量でCO2を抑えた樹脂ウインドウを装着したATVを展示

オフロード四輪バギーのレクサス仕様はレクサスのブースのほかに、豊田自動織機にもある

 ブース展示で目立つ車両はレクサス仕様のATV。豊田自動織機が担当した領域はフロントウインドウで、高耐候ハードコート付の透明ポリカーボネートで作成したものとなる。

 ガラスのかわりになるもので、軽量化や成形の自由度が高まることで、トータルで軽量化や、空力性能の向上が見込める。運転視界領域における対傷付き性能の要求企画であるUN-R43のクラスL規格に適合する。

 従来、ポリカーボネートには3層のコーティングが必要だったものが1コートで性能を満たすため、コーティングプロセスでのCO2削減ができるほか、すべての窓に樹脂ウインドウの適用が可能となるという。

 ブースでは、ガラスと樹脂ウインドウの比較として、自分の力でウインドウを持ち上げられるようにしてあり、樹脂ウインドウの軽量化を体感できるようになっている。

オフロード四輪バギーのレクサス仕様に搭載した樹脂ウインドウ
樹脂ウインドウの展示。ガラスと重さ比較ができる
豊田自動織機のブース
正田拓也