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コンチネンタル、CNN認識をする第5世代カメラ技術など自動運転技術を解説する「TechRide 2018」
2020年のユーロNCAPを見据えたADASも
2018年11月14日 18:21
- 2018年10月23日 開催
コンチネンタル・オートモーティブは、2020年のユーロNCAPを見据えたADAS技術から、無人自動運転車の実現を目指す将来の技術までを公開する「TechRide 2018」を、千葉県にある同社 旭テストセンターにおいて10月23日に開催した。
TechRide 2018では、同施設に併設されたテストコースにテスト車両が用意され、ADAS技術、ブレーキ、タイヤ、V2NやITSといった領域で開発中の技術を紹介するデモンストレーションが実施された。
CNN(Convolutional Neural NetWork)ベースの認識を実装した第5世代の多機能カメラ
この日、同社が開発している第5世代多機能カメラが公開され、テスト車両にカメラを搭載して市街地を走行するデモが行なわれた。
この第5世代多機能カメラにはCNN(Convolutional Neural NetWork)ベースの認識が実装されており、その目的としては2020年からユーロNCAPで採用されるシナリオに対応するためという。
実際にテスト車両に同乗試乗すると、車内に設置されたモニターにはカメラがどのように周囲を認識をしているかを示す映像が映し出されており、白線が不鮮明な道路を走行する状況においても、道路幅を読み取って自車が走行するべきエリアを認識している様子を示していた。
5つのカメラを組み合わせる360度の近距離検知システム
このTechRide 2018のデモで1番印象に残ったのは、すでに発表されている多機能カメラ「MFC430」1台と周辺監視カメラ「SVC210」4台を組み合わせて実現する360度の近距離検知システム。テスト車両の車載モニターには、前後左右に搭載されたカメラの映像が合成され、クルマの真上から見ているような映像が映し出された。
クルマの真上から見ているような映像を実現する同様の機能は、駐車時のサポート機能としてすでに世の中にあるが、このシステムのポイントは走行中の白線認識に利用しているところ。フロントカメラのみで白線認識を行なっていると渋滞時など前方を走行する車両に接近した場合に、白線をロストしてしまうといった状況を、このシステムではカバーすることができる。
今回は、白線を認識していることを示すデモであったが、将来的にはこのカメラシステムに合わせて周辺にある物体が何であるかを認識させるディープラーニングを行なっていくことで、障害物検知も可能になるという。
スイッチ操作でクルマを非常停止させる緊急ブレーキテスト
量産車で普及が進む電動パーキングブレーキ機能を発展させて、ドライバーがブレーキを踏まなくてもスイッチ操作でクルマを非常停止させる機能を想定した、緊急ブレーキテストのデモも体験できた。
デモに使用するテスト車両には、後2輪に電動パーキングブレーキ機能を採用したドラムブレーキを装着。油圧を使用しない電動パーキングブレーキ機能を活用することにより、後2輪のドラムブレーキを作動させてクルマを停止させようというもの。
テストはウェット路面に50km/hの速度で進入。後2輪によるブレーキで車両が不安定な状態になるのにプラスして、さらに左右でμが違う路面をまたいでブレーキを掛けるというものであったが、巧みな制御でクルマをスピンさせることなく、直進を維持しながらクルマを停止させることができた。
重量級車種への装着で違いを見せる「プレミアムコンタクト6」
実際に自らがステアリングを握って体験できるデモンストレーションも用意されていた。純正装着タイヤとコンチネンタル「プレミアムコンタクト6」を装着した2台のマツダ「CX-5」を使用して、ウェット路面におけるフルブレーキングとドライ路面におけるダブルレーンチェンジを実施することができた。
ウェット路面のフルブレーキングでは、100km/hの速度からABSが効くまで一気にブレーキペダルを踏み込む。それぞれ2台を乗り比べてみると、ノーズダイブによりフロントタイヤが潰れた状況になると、プレミアムコンタクト6のほうにより制動力があるように感じた。
また、60km/hの速度で行なったダブルレーンチェンジにおいても、車体がロールしてタイヤが潰れた状況において、プレミアムコンタクト6のほうにグリップ力や安定感を感じることができた。
担当者によると、プレミアムコンタクト6は、ハイブリッドカーやEVなど重量級の車両における操縦安定性に関するテストで良好な結果を得ているといい、そうした重量級車種への採用拡大を狙いたいとのこと。
コンチネンタルの無人自動運転車も登場
このほかにも、無人運転車の開発力の拡張を目指して開発プラットフォームを日本へ持ち込んだ、無人ロボタクシーへの試乗、携帯電話の通信網を使って車車間、路車間通信などを実現させるC-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)、ADASカメラで検知した道路情報をクラウド経由で後続車に配信するITS技術「eHorizon Map and Events」、ブレーキ・バイ・ワイヤシステムのデモンストレーションを体験することができた。
今回デモンストレーションで体験した技術は、いずれも自動車の電動化、自動化、コネクティビティを進める上で必要となってくる要素技術であり、完全な無人自動運転車の登場を待たなくても、直近に発売するクルマに搭載していくことで安全性や利便性を高めていく技術でもあることを感じることができた。
自動運転車に取り組むのは必要な要素技術を提供するため
同イベントの説明会でコンチネンタル・ジャパン プレジデント バート・ヴォーフラム氏は、コンチネンタル・ジャパンの日本における活動について説明。現在、本拠地を神奈川県横浜市に置き、横浜、千葉県の旭、北海道の紋別、愛知県豊田市に研究開発拠点を設置。また、広島、浜松、宇都宮、東京、太田に営業拠点を置くなど、年々日本における事業を拡大していることを紹介。
ヴォーフラム氏は「日本においては1600人以上の従業員がおり、今年末までに1700人に拡大する見込みです」と、事業の拡大や売上の伸びに合わせて、毎年100人規模で採用を拡大してきたといい、最近の状況については「広島にも営業拠点を置いており、浜松の浜北ではエレクトリックブレーキシステムを製造しております」と紹介した。
今回紹介された技術を含め、同社の自動運転への取り組みについては「自動駐車」「高速道路上のレベル3自動運転」「無人自動運転」といった主に3つのプロジェクトを進行しているといい、ヴォーフラム氏は「自動運転車に取り組むのは、われわれが自動運転車を作ることでなく必要な要素技術を提供すること。われわれには5つの事業分野があり、自動運転車の実現に貢献することができます」と強調した。