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コンチネンタル、「Tech Ride」で高速道路での自動運転技術を公開
テストコースで試乗会を実施
2016年11月27日 00:00
- 2016年9月14日 開催
コンチネンタル・ジャパンは、2018年~2020年の実用化に向けて開発を進めている同社の技術を体験できる試乗会「Tech Ride」を同社テストコースにおいて実施した。
テストコースでは、高速道路上での自動運転機能「トラフィック・ジャム・アシスト」「レーン・キープ・アシスト」、自動運転車両に求められる「ヒューマン・マシン・インターフェース」を再現したコンセプト車両などを体験する機会を得たのでその様子をお伝えする。
単眼カメラ、フロントレーダー、ブレーキシステムの追加で実現する自動運転機能
まずは、既に量産化されている単眼カメラとフロントのレーダーという2つのセンサー部品を主に使いながら自動運転機能を実現させた「トラフィック・ジャム・アシスト」「レーン・キープ・アシスト」機能のデモを体験した。
テストコースを走行するテスト車は、白線を認識するとドライバーがステアリングを握らなくてもレーンキープをする。
このテスト車は三菱自動車工業の「アウトランダー」をベースにしたもの。自動運転機能を実現するために新たに装着している部品は、コンチネンタル製の単眼カメラ、フロントレーダー、ブレーキシステムという主に3つの部品。そのほかの部品については、ステアリングを制御するブログラムはコンチネンタル独自のものとなるが、電動パワーステアリングは純正のままとのこと。
テストコースの周回路で同乗試乗した印象は、カメラが白線を認識するのが速く、レーンキープを開始するとドライバーがステアリングから手を離してもふらつきもなく直進性もよい。
ただし、レーンキープを維持できるコーナーの大きさは、白線を認識する単眼カメラの画角や純正パワーステアリングが持つトルクによりステアリングの舵角が制限される。なので、新東名高速など緩やかな直線が長く続く高速道路において有効な自動運転機能と感じた。
また、このテスト車のデモでは、カメラの画像認識技術を活用しテスト車の走行ラインをコントロールする様子も示された。前走車を追従するシーンでは、前走車をカメラが認識して、前走車と同じ走行ラインをテスト車がトレースして走るデモが行なわれた。
2020年の実用化を想定した「高度自動運転向けHMIコンセプト」
続いて、2020年の実用化を想定している「高度自動運転向けHMIコンセプト」の体験。自動運転区間と非自動運転区間が混在する高速道路での走行を想定した、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)の提案となる。
このHMIの特徴は、ステアリングコラムの部分にカメラを設置してドライバー席に座る人の表情をとらえていること。テスト車は2020年の実用化を目指したもので、自動運転区間と非自動運転区間が混在する状況を想定している。
テスト車は、自動運転区間に入るとダッシュボード全面に設置されたブルーのLEDが点灯して、自動走行していることを視覚的に表現している。また、自動運転区間からドライバーによる運転に切り替わる場面では、きちんとドライバーが前を向いているかなどを判別して、横を向いているような場合ではLEDを活用しながらドライバーに前を見てステアリングを握るように促す。
商品性の高い技術がコンチネンタルの強み
今回テストコースで試乗することができた技術は、既に市販化されているものから、2018年~2020年の実用化を目指して開発を進めているもの。このほかにも「電動パーキングブレーキ」「リモート駐車機能」「自転車認識機能付き自動ブレーキ」などを体験することができた。
そのなかで、ドラム式ブレーキで実現させた「電動パーキングブレーキ機能」は、軽自動車やコンパクトカーに向けて開発を進めているもの。電動パーキングブレーキは、インテリア設計の自由度を高めるなどクルマに付加価値を与える技術となり、これまで上級モデルに採用されていた装備である。同社は普及価格帯のモデルで採用の多いドラムブレーキでその機能を実現させた。
同社によれば、開発中のこれらの技術は大量生産をして世界中の市場で使えるもので、かつ自動車メーカーが求めるスペックに対してマッチングのよいものでなければならないという。さらに、その機能についても費用対効果のいいものでなければならず、その商品性の高さが同社の強みという。
現地で行なわれたプレゼンテーションでは、現在、同社のビジネスの3分の1は日本の企業との取引で占めているといい、日本における従業員数も約1400人と、2015年の1300人から急速に人員を増やしていることが示された。
さらに、これまでにあった日本の4つの研究開発施設に加えて、新しく研究開発センターを愛知県豊田市に構えて、今後、市場でのニーズが高まっていく先進安全技術などを中心に、日本の自動車メーカーとの開発体制を強化していく方針だ。