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三菱自動車、新CEOの加藤隆雄氏が記者会見。スモール・バット・ビューティフルな企業として着実な成長を目指す

アライアンスは益子修氏が引き続き担当

2019年5月20日 開催

三菱自動車工業株式会社の新CEOとなる加藤隆雄氏(現PT Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia 取締役社長)(写真右)と、CEOを退任して取締役会長 執行役となる益子修氏(現取締役会長 CEO)(写真左)

 三菱自動車工業は5月20日、5月17日に発表した役員人事に関する記者会見を開催。新たに同社CEOに就任する加藤隆雄氏(現PT Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia 取締役社長)と、CEOを退任することになる益子修氏(現取締役会長 CEO)が出席して、新体制の狙いについて話した。

 同社は5月17日開催の取締役会において、現在インドネシアの生産拠点「PT Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia(MMKI)」の取締役社長を務める加藤隆雄氏が新たに執行役CEOとして就任する役員人事を決定。一方、取締役会長 CEOの益子修氏は、CEO職を退任して新たに取締役会長 執行役となる。

 また、新体制では「代表執行役」の職について、益子氏、加藤氏に加えて、新たに執行役COOになる現COO グプタ・アシュワニ氏、執行役副社長になる現副社長執行役員 CFO 池谷光司氏、執行役副社長になる現副社長執行役員 安藤剛史氏という計5名で担当する体制となる。

益子氏はCEO職を退任するも、代表執行役としてアライアンスを担当

取締役会長 CEOの益子修氏がCEO職を退任して、新たに取締役会長執行役に就任

 記者会見に登壇した益子氏からは、このタイミングでの新体制発表について説明され、「ガバナンス強化」「業績回復」「若返り」といった3つの理由を挙げた。

 1つ目のガバナンス強化について、益子氏は「現在、私が会長兼CEOを務めていますが、指名委員会等設置会社への移行にあたり、ガバナンス強化を実効性あるものとするため、会長とCEOを分けることで監督と執行を分離することが望ましいと考えました」と説明した。

 2つ目の理由に関して、益子氏は「業績が順調に回復軌道に乗ってきたことが挙げられます。2016年4月に燃費不正問題が発覚、10月には日産自動車との資本提携を行ない、その後信頼回復と業績の回復に努めてきましたが、2017年度、2018年度についてはしっかりとした業績を残し、着実に会社はよくなっています。為替や米中関係の緊張激化もあり、2019年度は厳しい経営環境が続いていますが、目標達成に向けた基盤づくりはできており、CEO交代の環境が整ったと判断いたしました」と述べた。

 3つ目の理由について、益子氏は「本年度は2020年度からの新中期経営方針を策定するタイミングであり、着実に持続的成長を目指す大方針を踏まえた新中計の策定については、その実行に責任を負う次のリーダーに委ねたいと考えています。自動車業界は大きな変革期にあり、CASEに代表される新技術の開発、新規ビジネスを巡る競争が本格化してまいります。こうした流れに対して、これまでの常識にとらわれず、柔軟な考え方を持った若い世代のリーダーに引っ張ってもらうことが必要と考えました」と説明した。

 新体制で益子氏はCEO職を退任する一方で、アライアンスに関しては引き続き益子氏が担当するという。

 益子氏は「監督と執行の両面に与える影響が大きいことから、私が引き続き会長として、代表執行役を兼務して責任を持って担当します。取締役会長としては、指名委員会等設置会社としての新しい体制のなかで、取締役会メンバーとともにガバナンスや内部統制を有効に機能させることに取り組んでまいります。また、会社の基本方針の決定は取締役会に責任があり、取締役会長として取締役会メンバーとともに取り組んでまいります」と説明した。

 加藤氏を新CEOに選んだ理由について、益子氏は「CEOの職責を誰に引き継ぐかについて、私としては2016年12月の臨時株主総会以降、常に考えてきました。執行役員やその他の幹部を広くリストアップして、適正を慎重に検討した結果です。加藤氏がCEOとしてふさわしいと判断したのは、自動車メーカーの根幹を成すものづくりに関する知見と誠実な人柄からベストと判断したものです」と述べた。

 会見の最後に、益子氏は「三菱自動車としては、三菱自動車らしさを追求するために、アライアンス活用と集中戦略で競争力を磨き、スモール・バット・ビューティフルな企業として、着実な成長を遂げていくという方向性については、加藤CEOになってもブレることなく、さらに加速化させていってもらいたい」との期待感を述べた。

新CEOの加藤氏。スモール・バット・ビューティフルな企業として着実な成長を目指す

三菱自動車工業株式会社の新CEOとなる加藤隆雄氏(現PT Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia 取締役社長)

 益子氏に続いて登壇した新CEOの加藤氏からは「益子CEOから今回のお話があった際には、大変驚いたのが正直な気持ちでございます」との感想を述べた。

 続けて加藤氏は「MMKIは、当社ではタイに次ぐ規模の海外生産拠点となっています。その会社の社長を務めており経営の大変さは多少なりとも経験しております。しかしながら、三菱自動車本体の経営の舵取りをするとなると、これは重さもまったく異なるものでございます。本件を伝えられると大変身が引き締まる思いとともに、三菱自動車全社員のために全身全霊をかけて、CEOとして職務をまっとうすることを、あらためて決意した次第であります」との感想を話した。

 また、将来に向けて加藤氏は「今後は益子CEOが掲げられた三菱自動車らしさを追求するために、アライアンス活用と集中戦略で競争力を磨き、スモール・バット・ビューティフルな企業として着実な成長を遂げていく方向性をよりいっそう強固なものにしていくのが、私に求められる最大のミッションであると認識しています」と述べ、「今年度は2020年度からスタートする次期中期経営計画を策定するタイミングで、リーダーシップを持って策定ならび実行にあたってまいりたいと考えています。また、これまで海外でさまざまな経験をしていますが、こういった経験を活かしつつ、周囲の皆さまからのサポートをいただきながら、CEOとして謙虚に職務に向かってまいりたい」との意気込みを話した。