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三菱自動車、2018年度決算説明会。売上高は14.7%増の2兆5146億円、純利益は23.5%増の1329億円で増収増益

2019年5月9日 開催

三菱自動車工業株式会社 取締役会長 CEO 益子修氏

 三菱自動車工業は5月9日、2018年度通期の決算内容を発表し、同日に1月から業務を開始した東京都港区の新本社で決算説明会を実施した。

 2018年度(2018年4月1日~2019年3月31日)における三菱自動車の販売台数は前年同期比14万3000台(14%)増の124万4000台、売上高は前年同期比3222億円(14.7%)増の2兆5146億円、営業利益は前年同期の982億円から136億円(13.9%)増の1118億円となり、営業利益率は同4.5%から4.4%となった。当期純利益は前年同期の1076億円から253億円(23.5%)増の1329億円で増収増益となっている。

 2019年度の通期業績見通しは、販売台数が2018年度比6万1000台(5%)増の130万5000台、売上高は同654億円(2.6%)増の2兆5800億円、営業利益は同218億円(19.5%)減の900億円、純利益は679億円(51.1%)減の650億円とした。

2018年度の三菱自動車決算概要
2019年度の通期業績見通し
三菱自動車工業株式会社 副社長執行役員(財務、経理担当)CFO 池谷光司氏

 決算内容については三菱自動車工業 副社長執行役員(財務、経理担当)CFO 池谷光司氏が説明を担当。販売台数の増加要因について、インドネシアで生産している「エクスパンダー」がフィリピン、タイ、ベトナムなどでも販売を開始し、アセアン地域で前年度比17%増の31万8000台を販売。日本市場では「エクリプス クロス」「アウトランダーPHEV」「デリカD:5」といったSUVモデルが販売を牽引し、前年度比7%増の10万5000台を販売。さらに年度末となる3月には新型軽ハイトワゴン「eKワゴン」「eKクロス」をリリースして回復基調を継続していると解説する。

 これに加えて主力地域であるオセアニア、注力地域である北米・中国などを含めた全地域の販売台数が前年度を上まわり、期初公表の通期見通しをおおむね達成している。

 また、池谷副社長はインドネシアで生産しているエクスパンダーについて、「先進国を中心に自動車需要が低迷する中、当社の販売を支えたモデル」と評価。2017年9月に販売を開始して以来、グローバルで累計13万台以上を販売する人気モデルに成長しているという。インドネシアの国内販売から周辺諸国への輸出、2月からスタートした日産自動車に対するOEM供給といった需要の高まりに応えるため、2020年度までにインドネシア工場の生産能力を増強する計画であると人気の高さをアピール。今後のモデルサイクルマネージメントが三菱自動車にとって重要な経営課題の1つになっていると語り、「地域戦略車として開発したエクスパンダーが、世界戦略車に昇格することに大きな意味があると考えています」と述べている。

2018年度に前年度比14万3000台(14%)増の124万4000台を販売
主力地域として販売や収益の拡大を目指すアセアン地域では「エクスパンダー」が躍進を続けている
日本市場では対前年比26%増の13万2000台を販売
中国の政情不安に影響されてオーストラリアの販売が低迷。2%減の10万台を販売
三菱自動車の戦略地域に位置付けられる北米・中国他。販売台数は3%増の34万4000台で、今後も販売ネットワークの強化、ブランド認知度の向上策などを続けていくという

 2018年度の営業利益変動要因としては、販売台数の増加や車種構成で580億円、コスト低減の努力で276億円の増収効果を得たが、三菱自動車の輸出拠点であるタイの通貨安、豪ドルの円高といった為替影響で395億円、販売費で120億円、開発研究費などで205億円の減収要因が出たことで、トータルでは前年度比136億円の増益となっている。

2018年度の営業利益変動要因
2019年度の販売台数見通し。2018年度から5%増の130万5000台を見込んでいる
2019年度の営業利益見通しの変動要因分析
4月1日から三菱自動車のCOOに就任したアシュワニ・グプタ氏

 このほかに説明会では、4月1日から三菱自動車のCOOに就任したアシュワニ・グプタ氏があいさつを行なった。この中でアシュワニ・グプタ氏は巨大市場となった中国のグローバルにおける影響について触れ「以前では、私たちは多くの困難を事前に予想することができていました。予想の正確性も比較的高く、事前にある程度の準備ができました。現在は不確実性が高まり、いつ何が起きて、どのような影響がどれぐらい続くのかを予想することが困難です。私たちは息つく暇なく、計画と実行のPDCAサイクルを細かくフォローし続けていく必要に迫られています」。

「三菱自動車を見てみましょう。私たちは業界では比較的小さな規模の会社です。小さいことは必ずしも制約ではありません。私たちは柔軟で抵抗力があります。私たちの強みに集中することで、困難な状況を生き抜くため、さらに成長するために素早く動くことができます。これが益子CEOも申し上げている『スモール バット ビューティフル』という言葉の意味合いです。今後私は『販売の強化』『コスト競争力の強化』『投資の優先順位』の3つをつうじて事業の強化を目指します」とコメントしている。

「『アライアンスに属してさえいれば安泰』という幻想を捨て、当社自身が強くならなければなりません」と益子会長

質疑応答で自身の思いを語る益子会長

 説明会の後半には質疑応答が行なわれ、かつて三菱自動車の代表取締役会長も務めていたカルロス・ゴーン氏に関連する一連の流れで取り上げられるようになったルノーと日産の経営統合について、三菱自動車工業 取締役会長 CEOである益子修氏に見解が求められた。これに対して益子会長は、まず「経営統合について、私はゴーン前会長からも、現在のルノーの幹部からもまったく話を聞いておりませんので、コメントする立場にありません」「三菱自動車の筆頭株主は日産自動車であり、第2位の株主は三菱グループ3社で、この中でも経営統合について具体的に話をしたことはありません」と前置き。

 これに続き、アライアンスの考え方についての再確認として、「アライアンスはあくまでも3社がお互いの弱点を克服し、1社ではできないことを力を合わせて実現するためのツールであり、経営統合が目的であるとは思っておりません。3社がお互いを尊重してウィンウィンの考え方を持ち、独立した経営、ブランド、マーケティングを維持することで3社がそれぞれの企業価値を高めていくことに意味があると思います。今、3社にとって重要なことは、自動車産業を取り巻く厳しい時代をどう乗り切っていくか。短期的には不透明感の強い2019年度をどのように経営していくかに集中して取り組むことであり、経営統合が3社に建設的な結果をもたらすとは非常に考えにくい」と説明。

「ルノーと日産で、アライアンスの狙いや目的について冷静に話し合ってもらうしかありませんが、外から見ていて感じるのは、相手が嫌がるようなことを無理に押しつけるようなことは、決してあってはならないということです。無理を押し通した延長線上に、幸せな未来があるとは思えません。社員や個人株主の気持ちも十分に汲む必要があります。多くのステークホルダーが喜んで受け入れられる環境がなければ、弊害の方が多くなって上手くいかないことは目に見えているのだろうと思っています」。

「自動車ビジネスの構造変化に対応していくために、アライアンスの力を有効活用していくことが規模の小さい当社にとって重要な意味を持っているということも明らかです。一方で、『アライアンスに属してさえいれば安泰』という幻想を捨て、当社自身が強くならなければなりません」とコメントしている。

 このほかに益子会長は質疑応答の中で、先だっての連休中に5年ぶりに渡米し、シリコンバレーやサンフランシスコなどに滞在したエピソードを紹介。AppleやGoogleの本社にも足を運び、移動の足にはすべてUberを利用したこと、支払いレジの存在しない「Amazon Go」を利用したことなどを語り、5年前と比べても自分の中で強い影響を受けたと明かした。そこで益子会長は「もの作りの力だけでは将来を迎えられない」「量産技術が万能薬ではない」と強く感じ、若い世代の価値観の変化やライフスタイルの変化に、企業としてどのように向き合っていくのか、答えを探していかなければならないだろうと思いを口にした。