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デンソーや16の自動車メーカーが「未来のテクノロジー」を披露する「CES Asia」。6月11日~13日に上海で開催

2018年のCES Asiaでの未来の自動車のコックピットの展示例

 毎年1月上旬に米国 ネバダ州ラスベガス市で開催されている世界最大のデジタル関連トレードショーである「CES」(シーイーエス)を主催しているのがCTA(the Consumer Technology Association、全米民生技術協会)だ。

 そのCTAの関係者が5月下旬に来日し、6月11日~13日にCESのアジア版イベントとして中国 上海市で開催予定の「CES Asia」(シーイーエス アジア)について説明を行なった。その中でCTAの関係者は、2019年のショーには日産自動車やデンソーといった日本の自動車産業のキープレーヤーが初参加すると説明し、以前から参加している本田技研工業やアウディなども含め、計16の自動車メーカーが参加すると説明した。

1月のCESから6か月空けて開催されるCES Asia

左からCTA 国際セールス部門担当 バイスプレジデント ブライアン・ムーン氏、CTA グローバルイベントコミュニケーション担当 シニアディレクター ジェイミー・カプラン氏、CTA リサーチ担当 バイスプレジデント スティーブ・コーニグ氏

 CTAとは、元々は米国の家電メーカーの業界団体(創世記にはラジオメーカーの業界団体)だった。現在では家電に限らずより幅広い業界をカバーするようになっており、いわゆるデジタル技術全般をカバーする業界団体になっている。

 CTAの最も有名な活動としては、1月にCTAが主催して行なっているテクノロジーイベントのCESがある。CESも元々は白物家電の展示会(このため、かつてCESはConsumer Electronics Show=家電ショーの略だとされた。現在は単にCESとだけ呼ばれている)として成長したが、1990年代に白物家電からデジタル全般へと幅を広げることを決めて成功。MicrosoftやIntelに代表されるようなIT企業が参加するようになり、さらに大きな展示会へと成長することになった。2010年代には自動車のデジタル化を話題として取り上げるようになり、今ではCESの中で最大のトピックが自動車になるほど成長している。

 CTAがそのCESのアジア版としてここ数年開催しているのがCES Asiaだ。CES Asiaは6月11日~13日の3日間にわたり、中国 上海市にあるShanghai New International Expo Centre(上海新国際博覧中心)において行なわれるトレードショーになっている。

 CTA グローバルイベントコミュニケーション担当 シニアディレクターのジェイミー・カプラン氏によれば「われわれがCES Asiaをこのタイミングに設定しているのは、1月にラスベガスで行なっているCESからちょうど6か月が経過し、参加する企業が新しい製品を発表する場として有益であるという意味がある」と述べ、CES Asiaを開くタイミングとしてふさわしいと説明した。

同時期に開催される特定分野向けのCOMPUTEXやMWC上海と差別化

2018年のCES Asiaの展示会場

 なぜこのタイミングが重要なのかと言うと、5月下旬~6月にかけてはアジアでテクノロジー関連の大きなトレードショーが3つ、かなり近いタイミングで行なわれるからだ。1つがこのCES Asiaであり、もう1つが5月28日~6月1日に台湾 台北市で行なわれるCOMPUTEX TAIPEI、さらに6月26日~28日に同じく上海市で行なわれるMWC上海がそれに該当する。

 この点に関してCTA リサーチ担当 バイスプレジデント スティーブ・コーニグ氏は「COMPUTEX TAIPEIはPCやコンポーネントにフォーカスしたイベントになる。同じくMWC上海も通信に特化したイベントになる。それに対してCES Asiaはそれらも含むより広い内容、つまりデジタル全体をカバーした内容になっており、出展者にとってそこが魅力となっている」と説明する。

AIを活用したロボットのデモ

 コーニグ氏によれば、CES Asiaがフォーカスしているのは本家イベントのCESと同じように、自動運転を含む自動車、5G、AI、VR/AR、そしてスタートアップ、ロボットなどといった内容で、いずれも幅広い分野だという。コーニグ氏は「5Gは経済の仕組みそのものを変えていく。例えばCESでデモしていた大林組、KDDI、NECによる建機の遠隔操作は非常によい例で、これらの企業の組み合わせは従来は見られなかったものだ」と述べ、既存の産業とIT、通信などが一緒にイノベーションに取り組んでいく。そうした取り組みの発表の場としてCESが選ばれていると説明した。

日産自動車、デンソー、ジャパンディスプレイといった日本の自動車産業のキープレーヤーも参加

2018年のCES Asiaで行なわれた本田技研工業のプレスカンファレンス

 CTA 国際セールス部門担当 バイスプレジデントのブライアン・ムーン氏によれば、このCES Asiaで最も大きな話題は、ラスベガスで行なわれている本家CESと同じく自動車関連だという。ムーン氏は「CES AsiaでもラスベガスのCESと同じ考え方でブースなどが設置されている。自動車向けに2つのホールを割り当てており、ホールの外ではレベル3やレベル4の自動運転車の展示やデモを行なっている。特に今年は日産自動車が初めて参加するし、同じようにティアワンの部品メーカーであるデンソーも参加する。また、日本のディスプレイパネルメーカーであるジャパンディスプレイも自動車向けに展示を行なう」と述べ、日本の自動車産業のキープレーヤーがCES Asiaに参加すると強調した。

2018年のCES Asiaで行なわれたキャデラックのプレスカンファレンス

 そのように、自動車メーカーやティアワンの部品メーカーなどが参加する理由について「自動車メーカーにしろ、ティアワンの部品メーカーにしろ、求めているのはプラットフォームだ。彼らは単に自動車を展示したいわけではなく、テクノロジーを展示したり、自動車ではない産業との協業を求めている。CESはそのプラットフォームとして彼らに選ばれているのだ」とムーン氏は述べ、自動車メーカーやティアワンの部品メーカーは、自動車というよりも技術的なことを発表する場としてCES Asiaを選んでいると話した。

ホンダはHonda Xceleratorの取り組みをプレスカンファレンスで説明

 ホンダもスタートアップ企業を対象にした「Honda Xcelerator(エクセラレーター)」という、有望なスタートアップ企業などに資金援助や共同開発を行なうプログラムを実施しており、1月に開催されたCESや2018年のCES Asiaでその成果を説明するなどしている。自動車メーカーがこれまでの枠にとらわれない活動を行なう場として、CESが利用されているのだ。

16の自動車メーカーが参加し、新しいテクノロジーをプレゼンする場として活用

 ムーン氏によれば、CES Asiaでの自動車メーカーの展示は、これまでの自動車ショーのように完成車を展示するだけということではなく、新しい形での展示が多くなる見通しだと言う。「自動車メーカーのアウディはCES Asiaの最初の年に参加した後、今年初めて復帰する。VRのスタートアップと協力してリアシートに座った乗客にドライバーの体験をVRで提供するデモを行なう。自動車メーカーがITのスタートアップと協力して、新しいユーザー体験を提供する事例の1つになると思う」とのことで、ラスベガスでのCESと同じように、従来の自動車ショーでの自動車メーカーの展示とはひと味もふた味も違ったものになりそうだ。

 なお、ムーン氏によれば、日産、ホンダ、アウディ、メルセデス・ベンツ、ヒュンダイ、KIA、ポールスター(VOLVOのEVブランド)、フォルクスワーゲンなど16の自動車メーカーがCES Asiaに参加する予定とのことだ。