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日産、クロスオーバーEV「ニッサン アリア コンセプト」世界初公開。“近い将来”の市販化を予告
「ツインモーター4輪制御システム」採用
2019年10月23日 10:15
- 2019年10月23日 発表
日産自動車は10月23日、東京 お台場臨海副都心エリアで開催される「第46回 東京モーターショー 2019」(一般公開日:10月25日~11月4日)の会場で、ツインモーターを搭載したEV(電気自動車)のクロスオーバーコンセプトカー「ニッサン アリア コンセプト」を世界初公開した。
“近い将来”の生産を視野に入れているというニッサン アリア コンセプトは、「自動車業界が大きな変革期を迎える中、日産ブランドを再定義し、日産を新しい時代へと導く」モデルと位置付けられたコンセプトカー。クルマの電動化や知能化によって交通事故や交通渋滞、排出ガスによる大気汚染などの諸問題を解決し、あらゆる人にシームレスな移動体験を提供することを目指す日産のビジョン「ニッサン インテリジェント モビリティ」を実現。多くの先進技術を搭載した高級感のある広々としたインテリア、EVならではのピュアでクリーンなエクステリアによって日産ブランドの新しいデザインを提示するという。
車名に使われたアリアは「古来より敬意と賞賛のイメージを呼び起こす言葉」とされ、日産が考えるEVの将来ビジョンを表現している。
クロスオーバースタイルのボディに「スリーク」「シームレス」「シック」というキーワードで特徴を与え、発光によってより力強さを得た「Vモーショングリル」、特徴的な“ブレード型”のリアコンビネーションランプなどによってこれまでの常識にとらわれない新しさを表現。“近い将来に登場する量産モデル”のコンセプトを示唆している。
フロントでは幅の広いフロントフェンダーを備え、フロントマスクに超極薄LEDヘッドライトを採用。ガソリン車のフロントグリルにあたる位置に設定したフロントシールドには発光する日産エンブレムを装着するなど、日産の新しいデザインランゲージの要素をちりばめている。フロントシールドには交通状況を判断するために必要なレーダーやセンサー類が融合されているほか、フロントマスクの「Vモーションシグネチャー」が発光することに合わせ、フロントシールド内に組み込まれた幾何学模様が薄く浮かび上がるような演出も行なわれる。
専用タイヤと組み合わされる5本スポークの21インチ大径アルミホイールを装着するほか、低くスリークなルーフラインでサイドビューを特徴付ける。このルーフラインから強い傾斜でCピラーが形作られ、ボディの両サイドまで伸びて回りこむようデザインされたリアコンビネーションランプと広がり感を演出したリアフェンダー、高い位置に設定されたリアウイングによって力強さを強調している。
ボディカラーには見る距離によってさまざまな表情に変化する「彗星ブルー」を採用。離れた位置から見るとマットブルーだが、距離が近付くと塗料に含まれる大きめなガラスフレークが効果を発揮。「夜空を輝きながら流れる彗星のような無数の光の屈折」で外観のイメージを変化させる。
このほかにも外観では、ルーフラインとアルミホイールのアクセントとして“日産EVの未来を象徴するような新しいカラー”となるカッパーを使用。カッパーは夜明けと共に新しい1日を迎える日の出の太陽の色であり、これによって“新時代の幕開け”を象徴。また、古くから続く工芸品で銅を使ってきた日本の伝統に対しての敬意も表わしているという。
ニッサン アリア コンセプトのボディサイズは4600×1920×1630mm(全長×全幅×全高。全幅はドアミラーを除く)。
インテリアでは外観でキーワードとする3要素から、精巧な技術を持つ日本の職人芸と技術が日常生活の中で自然に融合した「シームレス」にフォーカス。ダッシュボードとドアパネルをシームレスに連続させて一体感を高めたインパネからは、スタートボタンと12.3インチディスプレイモニターの操作ノブ、エアコン操作ノブ以外のボタンやスイッチなどを排除。システムの起動後はインパネにハプティック(触感)操作ボタンを柔らかな光で表示する。
駆動用バッテリーを最適配置してフラット化したフロアには、超極薄フレームを採用したシートを設置。シート表皮では背面と座面にパーフォレーテッドレザーを使い、表皮に開けられた穴から鮮やかなカッパーカラーのファブリックを覗かせ、美しさや深みを高めている。
先進装備では、スマートフォンで設定した目的地を車載ナビと共有する「ドア ツー ドア ナビゲーション」を採用。スマホとカーナビを連動させてドライバーを最終目的地までシームレスに案内する。
ドライバーが接近してきたことを検知すると、ニッサン アリア コンセプトはウェルカムライトを点灯させ、ロックを自動的に解除。スマホに保存されたドライバーの好みに応じて、シート位置やエアコンなどの設定を調整する。また、ドライバーのスケジュール管理ソフトを同期させると、出発時刻を予測し、空調のコントロールなどを事前に行なって快適な状態で出発できるよう準備してくれる。
ドライバーが乗車すると「VPA(ヴァーチャル パーソナル アシスタント)」が起動して案内を開始。VPAが駐車場や走行中に必要な情報を提供してくれるので、ドライバーは自分で情報を検索する必要がなく、運転に専念できるようになるという。また、走行中に自動的に充電スポットを探す「スマート ルート プランナー」の機能も備え、目的地に到着するまでの充電計画をドライバーに提示。充電スポットに近づくと充電リッドが自動で解錠され、鮮明な色によって充電状況が表示される。
目的地に到着してからは、スマホや専用デバイスなどで操作できる「プロパイロット リモートパーキング」を使った自動駐車が利用可能。ドライバーも車外に出てからリモート操作で駐車できるので、狭い駐車スペースでも利用できる。カーナビやユーザーインターフェイスのグラフィック、車両の走行キャラクター制御などのソフトをアップデートする「FOTA(ファームウェア オーバー ジ エアー)に対応。通信によって各種データを常に最新の状態に更新できるようにしている。
また、ニッサン アリア コンセプトでは日産の先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を採用。高速道路の本線で同一車線内でのハンズオフ機能を利用でき、ルート走行中の車線変更と分岐、追い越し時の車線変更の支援などを行なう。プロパイロット 2.0の作動中にはインテリアの照明の色を変え、ハンズオフ機能が利用可能なシーンではキャビンをリラックスできる雰囲気に演出する。
パワートレーンでは車両の前後に高出力のモーターを配置し、前輪と後輪をそれぞれ駆動する「ツインモーター4WD制御システム」を採用。緻密なトルクコントロールを瞬時に行なえるモーターを利用することで高次元の加速性能を実現することに加え、モーターとブレーキ、ステアリングなどを統合制御することで滑りやすい路面でも優れたトラクション性能を発揮。「GT-R」に搭載されている「ATTESA E-TS」、「エクストレイル」に搭載されている「インテリジェント4×4」といった日産が誇る4WD技術の開発ノウハウをベースとして開発されたツインモーター4WD制御システムにより、ドライバーの操作に応じた最適な駆動力コントロール、ブレーキ制御が行なわれ、ドライバーの思いどおりのドライビングを実現する。
このほか、ニッサン アリア コンセプトは日産のV2G(Vehicle to Grid)ソリューションである「Nissan Energy(ニッサン エナジー)」に対応。駆動用バッテリーに蓄えた電気を住宅やオフィスビル、電力網などに供給して、移動だけにとどまらないEVの新しい魅力として社会を支えるクルマになるという。