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ヘンケル、スズキの新型「ハスラー」で高減衰フォーム「TEROSON HDF」軽自動車世界初採用
重量増を抑えつつ静粛性を向上。完全自動ライン化にも対応
2020年1月31日 07:00
- 2020年1月29日 発表
ヘンケルジャパンは、スズキが1月20日に発売した新型軽クロスオーバーワゴン「ハスラー」に同社の高減衰フォーム「TEROSON HDF(テロソン ハイダンピングフォーム)」が採用されたと発表した。TEROSON HDFが軽自動車の量産ラインで採用されるのは世界初。
TEROSON HDFは、車体構造体の伝搬振動を効果的に減衰させて車内のノイズを低減する内装材。エンジンなどのこもり音やロードノイズ、雨音などの騒音は、ルーフなどの車体構造体を振動させながら車内に伝わるメカニズムとなっており、制振材は「振動している構造体」と「静止している構造体」の間に設置され、素材内部でせん断応力を熱エネルギーに変換して振動を抑える。
TEROSON HDFはせん断応力を熱エネルギーに変換する効率が非常に高く、優れた振動減衰性能を発揮。また、クルマが一般的に使用される環境温度で常に振動減衰性能を発揮できる点も他の制振材と異なる特徴としている。
ハスラーの量産ラインでTEROSON HDFはルーフの制振材として採用。車体溶接の工程で自動塗布機を使ってルーフ用ビームに塗布され、車体塗装工程内の電着乾燥時の熱により硬化、発泡を伴いつつ接着する。
現代の自動車生産では一般的に、ルーフとルーフ用ビームの接着に合成ゴムなどを主成分とする「マスチック接着剤」が使用されている。マスチック接着剤はルーフの振動を抑制する効果も備えているが、必要に応じてアスファルトゴムなどによる制振パッドなどが併用される。
TEROSON HDFは優れた制振性能を持ち、マスチック接着剤と制振パッドなどを併用した場合と同等以上の性能を発揮。制振パッドなどが不要になることで車体が軽量化され、燃費の向上が期待できる。
このほか、TEROSON HDFはヒケ(成形収縮)や塗装工程での材料流出を防ぐため、発泡倍率や粘度を独自のエンジニアリングサービスで最適化しており、完全自動ラインでの塗布に対応。特定の周波数帯を中心に振動減衰性能を効率化させることも可能となっており、新型ハスラーでの採用品は、人間が聴き取れる周波数帯である20Hz~1万5000Hzで最も効率的に振動を減衰させるようカスタマイズされている。