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NVIDIAのAIを搭載した完全自動運転の都市型ロボタクシー「ZOOX」
2020年12月19日 09:30
- 2020年12月17日(現地時間)発表
米国の半導体メーカーNVIDIAは12月17日(現地時間)、パートナーシップを2017年に結んだ自律走行モビリティカンパニーZooxがロボタクシー「ZOOX」を公開したことをブログで紹介した。
Zooxはアマゾンが2020年6月に買収した企業で、NVIDIAのスタートアップ企業がAIおよびデータサイエンスを使って、さまざまな革新をもたらすための支援を行なうインセプションプログラムにも参画している。
そのZooxが、都市部での日常使いのモビリティとして、NVIDIAの技術を採用したレベル5のロボタクシーとしては初となる双方向性機能を装備し、次世代型インテリジェンス輸送に具体性を持った展望を示す1台「ZOOX」を発表した。
ロボタクシーは、移動手段を変革させる存在と見られていて、UBSの専門家は「このような車両は、2030年までに世界中で2兆ドルの市場を生みだし、日常の移動コストを80%以上も削減する」と推定している。また、価格設定も手が届きやすいロボタクシーは、都市部におけるクルマの所有率を下げるだろうと見られ、直近の調査によると、アメリカで運転をしている6500人のうち半数近くが、ロボタクシーが普及してきたらクルマを手放すだろうと回答しているという。
前進も後退も自在な自動運転車両ZOOX
既存の乗用車が運転手にフォーカスしているのとは異なり、ZOOXは乗客のために設計され、開発段階からセンサーや大容量バッテリーなどは、EV(電気自動車)の自動運転モビリティを前提として設計。また、四輪すべてが駆動、操舵するので、縦列駐車しにくい窮屈な路肩にもスムーズな駐車を可能とし、乗客の快適性と乗降安全性を両立している。
さらに、ZOOXは双方向性で、どちらが前か後ろかという決まりがなく、前進して私道に乗り入れたあと、そのまま方向転換せずに道路に戻ることも可能。思いがけず道路が閉鎖された場合でも、進行方向を変えるだけ、あるいは四輪駆動を使って向きを変えられ、従来のUターンといった方向転換を不要としている。
車内の座席はキャリッジシートになっていて、周辺がよく見えるのはもちろん、乗客同士がコミュニケーションを取るのにも最適。各シートはすべて同じ大きさで、どの席がよいということもなく、同じクオリティの乗り心地が提供される。キャリッジシートであるため通路スペースも広くなり、乗客同士がいちいち立ちあがったり身をよじったりすることなく通り抜けられるという。また、シートにはエアバッグも完備する。
ロボタクシーでレベル5の自律運転を実現
NVIDIAはデータセンターから車両までをカバーする集中型アーキテクチャで「ソフトウェア デファインド カー」の開発のための、唯一のエンドtoエンドのプラットフォームを提供。
ロボタクシーでレベル5の自律運転を実現するためには、常に新しい機能を継続的に追加していくための十分なキャパシティを持つ演算性能が必要で、NVIDIAは学習と検証のためのインフラストラクチャから車内でのコンピューティングに至るまで、レベル5までのパフォーマンスを可能にするという。
また、このような車両は、データセンターにおいて開発、改善されたディープ ニューラル ネットワークをOTAで受信することで、継続的にアップデートすることも可能としている。
NVIDIAのプラットフォームは、オープンかつモジュラー方式なので、ロボタクシーを導入した企業がカスタム、例えばZooxの対称的なレイアウトや、車両の隅々まで見渡せる270度の視界が得られるカメラ、レーダー、Lidarといった新設計の装置にも適応できるように設定しておくことも可能とし、大量に搭載されたセンサーからのデータを分析するために必要とされる数のプロセッサも使用でき、システムおよびアルゴリズムの多様性や冗長性を利用して安全性も確保しているという。
ZOOXについて
搭載する133kWhのバッテリーによりZOOXは1日中稼働できるうえ、車両のバッテリーは非接触充電システムを採用し、効率的でスケーラブルなフリート充電を実現。搭載されるデュアルモーターは、必要な場所に電力を供給しながら、余裕をもって目的地に到着できるよう自動で制御。また、4輪ステアリング(4WS)により、回転半径8.6mを実現し、後進することなく、もっとも狭いカーブサイドスペースに駐車することも可能とした。さらに、アクティブサスペンションを搭載し、誰にとっても快適な乗り心地を提供する。
動画には開発者のインタビューや、実際に乗車した状態でサンフランシスコの市街地を走行している模様が収められている。