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ロバーツのヤマハYZR500とスペンサーのホンダNS500も見られる日本レース写真家協会「JRPA50周年写真展」始まる

東京 品川のCANON GALLERY Sで3月17日まで

2021年2月9日~3月17日 開催

入場無料

1983年にケニー・ロバーツ選手が駆ったヤマハ YZR500(右)と1984年にフレディ・スペンサー選手が駆ったホンダ NS500(左)。どちらも本物、とくにYZR500(OW70)は特別に整備し直したものとのこと

 JRPA(日本レース写真家協会)は2月9日~3月17日、東京 品川にあるCANON GALLERY Sにおいて同協会の設立50周年を記念する写真展「JRPA 50周年写真展」を開催している。入場料などは無料。

 同写真展にはJRPA所属のカメラマンによる、1971年のJRPA設立以降に撮影されたモータースポーツ写真が展示されているほか、特別展示として1983年にケニー・ロバーツ選手が駆ったヤマハ YZR500、1984年にフレディ・スペンサー選手が駆ったホンダ NS500という2台のロードレース世界選手権用マシンが展示されるなど見どころ多数で開催されている。

JRPA結成50周年を記念する50周年写真展、モータースポーツの歴史を感じられる

日本レース写真家協会 JRPA50周年写真展、1970年代、1980年代、1990年代……と各時代ごとに展示される

 JRPAは、日本の2輪、4輪のモータースポーツを撮影するカメラマンから構成されている協会で、日本を代表するレースカメラマンが所属している。同会のWebサイトによれば、現在現役として所属しているのは59名で、そのほかにも特別会員(現役のカメラマンではないが名誉会員として所属している会員)などから構成されている。

 そのJRPAが設立されたのは1971年。2021年は50年という節目の年にあたる。JRPAが毎年シーズンオフに行なっている写真展では、JRPAの会員であるカメラマンが前のシーズンに撮影した写真が展示され公開されている。しかし、2021年はJRPA創設50周年のため特別展を実施。1971年~2020年までの50年間の写真となり、2輪、4輪、洋の東西を問わない各種モータースポーツの写真が展示される豪華な企画展となっている。

 展示は「1971年~1979年」「1980年~1989年」「1990年~1999年」「2000年~2009年」「2010年~現在」という5つのゾーンに別れ、その時代のモータースポーツの歴史で象徴的なシーンを切り取っていた。

1971年~1979年

富士GCが30度バンクを走る

 1970年代のモータースポーツは、オイルショックで自動車メーカーのワークス活動が縮小されたため、プライベーターのレーシングチームが勃興した時代でもある。F1でもコスワース・エンジンを利用して、ロータス、マクラーレン、ティレル、ブラバムなどのプライベートチームが強くなっていった時代だ。日本でもプライベートレーシングチームの最高峰レースとして富士GC(グランチャンピオン)が人気を集めていた。

 今回の企画展でも、今は「遺跡」として公園化されている富士スピードウェイの30度バンクを駆け抜けるGCカーの写真、1976年と1977年の2回行なわれた日本でのF1レースの写真などが展示されている。

1980年~1989年

1987年の佐川急便カラーの長谷見昌弘選手(当時)とレイトンハウスカラーの星野一義選手(当時)のバトル

 1980年代のモータースポーツは、自動車メーカーのワークス活動が全盛となった時代だ。ポルシェ、ジャガー、メルセデス、トヨタ、日産などによるグループCカーや、ホンダF1の黄金期と言える第2期F1などがこの時代に該当する。今回の写真展でもそうしたグループCカーや第2期ホンダF1を彩る写真などが展示されている。

 富士GCの1987年の佐川急便カラーの長谷見昌弘選手(当時)とレイトンハウスカラーの星野一義選手(当時)の激しいバトルを撮影しているのは、後にF1カメラマンとしてモータースポーツファンにはおなじみの金子博カメラマン。金子カメラマン=F1というF1ファンにとっては金子カメラマンの国内レースの写真は意外に、そして新鮮に感じるのではないだろうか。そして、この時代の2輪写真を撮影しているのは、現在でもF1カメラマンとしてF1ファンにはおなじみの熱田護カメラマン。そうした、ファンにとってはおなじみのカメラマンの昔の写真を楽しめるというのも本写真展の魅力と言える。

中央右、31号車の平忠彦選手の世界GP250参戦写真が熱田護カメラマン撮影によるもの。左下のNR500を駆る片山敬済選手の写真は金子博カメラマン

1990年~1999年

小林稔カメラマン撮影による1990年全日本F3000のスタートシーン

 1990年代のモータースポーツは、バブル景気に沸く前半と、バブルが弾けてそこから徐々に復活していく時期になるだろう。JRPA会長の小林稔カメラマンが撮影した1990年全日本F3000のスタートシーンには、色とりどりのマシンが写っており、バブル景気を象徴する一枚と言っていい。小林カメラマンによると、シャッターを押したときには気がつかなかったそうだが、トップで1コーナーに入る星野一義選手(当時)のバイザーが空いており、現像(当時はフィルムカメラで撮影)してみてびっくりしたそうだ。ぜひ会場で確認してみてほしい。

 ほかにも、日本車としてル・マン24時間レースに初めて優勝したマツダ 787B、WRCのトヨタ・セリカ、F1でのセナ、プロスト、マンセルなどの写真などが展示されており、日本の自動車メーカーが世界のレースで活躍した時代を振り返ることが可能だ。

2000年~2009年

 2000年代のモータースポーツは、2001年の佐藤琢磨選手のF3のマカオGP制覇など、日本人ドライバーの壁を打ち破って新しい段階へと突入した時代と言える。その頂点は、BAR・ホンダで2004年のアメリカGPにおける3位表彰台。その後は、日本発のF1チームであるSuper Aguriの挑戦があったり、ブリヂストンが1997年からF1参戦を続けるなどF1の世界が日本人にとっても遠い話ではなくなった時代とも言える。

 WRCの日本ラウンドが北海道を舞台に開催されていたのもこの時代で、ペーター・ソルベグル選手が操るスバル インプレッサが大活躍したのも記憶に新しいところだ。

2010年~

記憶に新しい2010年代、佐藤琢磨選手のインディ500優勝やトヨタのル・マン24時間3連覇などの活躍が展示されている

 2010年代は、2008年に発生したリーマンショックによる自動車メーカーのモータースポーツ活動の一時撤退から徐々に復活していく時期にあたる。トヨタはル・マン24時間挑戦を再開し、2016年に残り数分でリタイアするなどの悲劇を乗り越えて、2018年~2020年には初優勝から3連覇を達成して見せた。

 そして、2017年には佐藤琢磨選手がインディ500に初優勝し、2020年には2勝目を記録。日本人ドライバーの「見えない壁」を突き破ってくれたのも記憶に新しいところだ。そうした佐藤琢磨選手の写真ももちろん展示されている。

ヤマハ YZR500、ホンダ NS500という2台のロードレーサーを展示、入場してすぐのQRコード読み取りはお忘れなく

 展示会場の中央部には、1983年にケニー・ロバーツ選手が駆ったヤマハ YZR500、1984年にフレディ・スペンサー選手が駆ったホンダ NS500という2台のロードレース世界選手権用マシンが展示されている。今から40年近く前のマシンだが、レプリカではなく本物。間近で見られる貴重な機会なので、ぜひ細部を確認してほしい。

 なお、写真展の会場となるCANON GALLERY Sに入ると、すぐ左手にQRコードがついている説明があるのを見逃さないようにしたい。このQRコードをスマートフォンなどで読み取ると、特別なURLが表示され、今回展示されている写真の説明が確認できる。手元で写真の情報を確認しながら写真展を楽しむことができるので、必ずこのQRコードを読み込んでから写真展を楽しみたい。

 なお、その注意書きには、写真の撮影やSNSへの投稿は許可されていると書かれており、写真を正面からコピーできる状態のクオリティで撮影する形でなければSNSに投稿することもできる。

スマートフォンでメモ代わりに撮影中の筆者。こんな感じならOK

開催概要

開催会場

CANON GALLERY S
東京都港区港南2-16-6
JR品川駅港南口より徒歩約8分
京浜急行品川駅より徒歩約10分

開催日程

2021年2月9日(火)~3月17日(水)
10時~17時30分(日曜・祝日は休館日)

入場料

無料