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ホンダ、新型「ヴェゼル」技術説明会 新しくなったパワートレーンなど開発陣が紹介

2021年4月23日 発売

227万9200円~329万8900円

4月23日に発売される本田技研工業の新型「ヴェゼル」。パワートレーンやダイナミクス性能などについて開発陣が解説

 本田技研工業は、4月23日に発売する新型「ヴェゼル」の技術説明会を開催。2月18日のワールドプレミア時には公表されていなかった車両スペックや、ダイナミクス性能などについて解説した。

 新型ヴェゼルは、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を主軸としたグレード展開とし、エントリーとなるシンプルかつベーシックなグレードとしてガソリンの「G」、ハイブリッドの「e:HEV X」を用意。また、先代でも一番売れ筋だったという「Z」は「e:HEV Z」となり、ハンズフリーパワーテールゲートを標準装備するなど、最も魅力的なグレードとなっているとのこと。さらに、アクティブで遊び心を加えた世界観を表現した「e:HEV PLaY」を新グレードとして用意し、計4グレードの展開となる。価格はガソリンモデルが227万9200円~249万9200円、e:HEVモデルが265万8700円~329万8900円。

グレード展開

 新型ヴェゼルの訴求展開では、e:HEVの走りの楽しさを表現した「世界に、あたらしい気分を。」というメッセージとともに、新型ヴェゼルのe:HEVの魅力を発信。そのメッセージをより多く広めていくため、さまざまなバックボーンを持つアンバサダー「Good Groover」とともに、TV-CMやデジタル動画、SNSなどで積極的な訴求を展開していくとした。

訴求展開

開発に「M・M思想」を取り入れ、ライフスタイルを“AMP UP”するモデル

 技術説明会ではまず、本田技研工業 商品企画担当の池田裕介氏が、日本のSUV市場を踏まえた上での新型ヴェゼルの位置付けを紹介。現在、日本のSUV市場は小型SUVを中心に台数・市場全体における比率ともに右肩上がりに拡大しており、2020年には年間71万台、登録車市場の中で29%を占める市場規模まで成長。ミニバンを超えて2番目に大きいセグメントとなっており、ホンダとしても非常に重要なセグメントであると捉えているという。

本田技研工業株式会社 商品企画担当 池田裕介氏

 そのSUV市場の中で先代ヴェゼルは2013年12月から発売を開始し、1代にして累計45万台を販売。2014年、2015年、2016年、2019年の4度、SUV販売台数No.1を獲得するとともに、ハイブリッド比率が55%と高く、ホンダ全体としての電動化にも貢献。現在、登録車市場におけるハイブリッド比率はホンダがNo.1になっているとした。

 池田氏は「新型ヴェゼルでは、伸びゆくSUV市場でのプレゼンスをさらに拡大していくとともに、ホンダとして掲げております2030年に四輪車販売の3分の2を電動化していくという目標に向けて、この新型ヴェゼルで大きく貢献していきたい」と考えを述べ、新型ヴェゼルに期待を見せた。

新型ヴェゼルの位置付け

 続けて、本田技研工業 開発責任者の岡部宏二郎氏が新型ヴェゼルの概要について紹介。開発が始まる前、「世界中のお客さまにクルマを選んでいただくため、ホンダらしさに立ち返り、それでいてしっかり今の時代のニーズを捉えたクルマにする必要がある」と考え、日常の質の向上を大切にする“ジェネレーションC”をターゲットユーザーに設定。「信頼」「美しさ」「気軽な愉しさ」の3つの価値を満たしつつ、新型ヴェゼルを使うことで体験が生まれ、日常がもっと豊かになるようなクルマを作ろうと開発してきたという。

本田技研工業株式会社 開発責任者 岡部宏二郎氏

 グランドコンセプトは「AMP UP YOUR LIFE.」で、岡部氏は「クルマの機能・性能を3つのテーマに紐付けて1台分に高次元で融合し、このクルマをパートナーにしていただいたお客さまのライフスタイルがよりAMP UP、増幅することを強く願っております」と想いを語った。

 また、ホンダのもの作りの特徴・歴史として、ユニークな「M・M思想」(マン・マキシマム/メカ・ミニマム思想)に基づく技術があると考えていると話し、岡部氏は「このユニークな技術でブランドアイデンティティのデザイン、ダイナミクス、HMIといったものを独自に捉え、そこに時代のニーズの“コト作り”を付加するような商品作りをしていこうと考えていました」と、開発で心掛けたことを紹介した。

ターゲットユーザー
グランドコンセプト
ホンダのものづくり

 そのM・M思想の技術に基づくパッケージの強みに関して、今回の開発では「美しいプロポーションと、圧倒的な室内の空間に取り組んだ」と言い、全長は先代モデル同等の4330mmをキープしながら、後席の足まわりや膝まわりを先代モデルに対して35mm拡大して全席で快適な空間を実現。この広さに関しては、ひとクラス上のSUVに匹敵するような広さになっているとのこと。

 ものづくりの進化においては、パワートレーンのハイブリッドシステムを2モーターに刷新。電子プラットフォームにおいても、ドメインアーキ構造を採用してサイバーセキュリティを強化。車体のプラットフォームに関しては骨格を改良し、最新のユニットを採用したと、概要を紹介した。

乗る人すべてが快適で使える空間
新型ヴェゼルのものづくり進化

e:HEV技術をさらにブラッシュアップ。ガソリンモデルは新開発1.5リッターエンジンに

 パワートレーンについては、本田技研工業 四輪事業本部 ものづくりセンター パワーユニット開発責任者 チーフエンジニアの明本禧洙氏が紹介。パワートレーンのラインアップは、1.5リッターアトキンソンエンジンと電気式CVTを組み合わせたe:HEVと、新開発の1.5リッターポート噴射エンジンとCVTを組み合わせたガソリンの2種類を用意。WLTCモードでの燃費性能は、e:HEV(2WD)がカテゴリートップクラスの25.0km/L、ガソリン(2WD)が17.0km/Lとなっており、明本氏は「『世界に、あたらしい気分を。』をキャッチフレーズとしたe:HEVは、その特徴である高効率2モーターシステムがもたらす圧倒的な燃費性能に加え、新型ヴェゼルではならではの走りの進化で運転する楽しさがAMP UPするような仕上がりとなっております」と紹介した。

本田技研工業株式会社 四輪事業本部 ものづくりセンター パワーユニット開発責任者 チーフエンジニア 明本禧洙氏

 ホンダ独自のe:HEVは、「EVモード」「ハイブリッドモード」「エンジンモード」の3つのモードを最も効率がよくなるように使い分けて走行。新型ヴェゼルでは特に静粛性とモータードライブのシームレスな走りを併せ持つことで生まれる電動感をさらに高めているという。

パワートレーンラインアップ
e:HEV
e:HEVの走行性能

 e:HEVのシステムは「フィット」で採用している小型e:HEV骨格をベースに、SUV化に応じてIPUのバッテリー容量、エンジンの出力をアップするとともに、電気式CVTのローレシオ化を実施して走りのよさが引き出された。また、ヴェゼルの荷室のユーティリティ性、荷室スペースの最大化を損なうことなく、サイズアップしたバッテリーを工夫して搭載することで、よりフラットな荷室空間とした。

 e:HEV要素技術の進化については、荷室のユーティリティスペースを最大化するために、従来はIPU内に設置されていたPCUをエンジンルームに移設し、PCUの空きスペースにバッテリーを追加するとともに、低床化したIPUを荷室に工夫して搭載。従来の1モーターでは集中巻ステーターを採用していたが、2モーターでは高電圧でコンパクトに収まるセグメント巻線ステーターを採用。さらに、一体成型ワイヤーはホンダ独自の薄皮膜を採用し、出力密度を高めた。

 e:HEVの走りにおいては、運転する楽しみをさらに進化させるために、しなやかで扱いやすい「ノーマル」、俊敏でダイレクトな「スポーツ」、滑らかな高速クルーズができる「ECON」の3つのドライブモードを設定。アクセルオフ時の減速感は使い慣れたDレンジの減速感に近付け、Bレンジではより強くしっかりした減速感に仕上げられているという。これにより、ワインディングなどではブレーキ操作を減らし、ワンペダルで楽しく安全にドライブできるようになっているとのこと。加えて、ステアリングに装着された減速セレクターで、好みの減速感を4段階から選べるようになっている。

 また、e:HEV リアルタイムAWDの特徴では、プロペラシャフトを採用して小型ハイブリッド車クラストップのリア駆動力を高い速度域まで伝達可能とした。さらにリニア制御をより高応答に進化させたうえで、モータードライブのシームレスな駆動力とAHA(アジャイルハンドリングアシスト)などの車両技術の進化を協調させ、飛躍的に運動性能を向上。特に雪上、ウエットなどの滑りやすい路面では、抜群のライントレース性を実現したとのこと。

e:HEVのシステム
e:HEV要素技術の進化
e:HEVの走りの進化
e:HEV×リアルタイムAWD

 ガソリンモデルの特徴については、エントリーとして誰でも扱いやすく満足できるように、静粛性に優れた新開発の1.5リッターポート噴射エンジンを採用。CVTは低フリクション技術を採用し、走りでは加速時のステップアップシフトや、ブレーキ操作に連動したダウンシフト制御などにより、軽快安心な減速を得られるように仕上げられている。

ガソリンモデルのパワートレーンの特徴

 ダイナミクス性能については、走りの進化を最大限に体感できるように、運転操作にクルマが遅れることなく意のまま反応する気持ちよさを目指したという。

 明本氏いわく「シャシー性能の母体」というボディ剛性については、ハンドリングの応答性と安全性に重要な要素であるタイヤ設置点剛性を先代モデルから20%、ボディねじり剛性を15%向上。また、サスペンション性能を最大限に引き出すと同時にスムーズに動かすため、ダンパー取付部剛性も15%向上させた。さらに、超高張力鋼板の使用比率を高めることで、ウェイトアップにつながらない配慮もされている。

 シャシー性能については、フロントサスペンションの低フリクション化とステアリングシステムの剛性アップ、さらに、リアサスペンションの液封コンプラブッシュを改善。具体的には、乗り心地向上のためにコンプラブッシュのゴム硬度を下げようとすると、単に下げただけではブッシュの横剛性も下がり、操安性能に課題が出てしまうため、新型ヴェゼルではコンプラブッシュの端部にフランジを追加。ブッシュ容量も上げることでブッシュの横剛性を確保しつつ、ハンドリングと乗り心地を同時に向上させた。

ダイナミクス性能の狙い
ボディ剛性
シャシー

 e:HEVの加速エンジン音は、変動感がなく整理された音の実現を狙い、トランスマウント構造を剛性確保に有利な樹脂成形のマウントホルダーに変更し、車体締結部を3点に増やすことで性能改善を図った。さらにトルクロックマウントのブッシュにも工夫を加えており、ブッシュのゴム足形状とゴム硬度を見直すことで、ハンドリングとNVHの改善を両立。これら振動伝達を改善するとともに、車体防音材の適正化を行ない、静粛性の高いキャビンを実現した。

 NVHのもう1つの性能であるロードノイズは、路面の切り替わりで感じる音の変化の抑制を目指し、各部の音響感度を改めて解析することで、車台各部の固有値の最適化が図られた。具体的には、周波数ごとに部品の剛性アップや制振材の拡大など固有値の改善を行ない、音圧変化の少ない快適なキャビンを実現させている。

NVH 加速エンジン音
NVH ロードノイズ

「Honda SENSING」は全車標準装備。コネクテッド面ではホンダ初の「自動地図更新サービス」採用

 安全機能については、本田技研工業 四輪ものづくりセンター 車体設計開発責任者 チーフエンジニアの井橋祥共氏が紹介。全車標準装備となる安全運転支援システム「Honda SENSING」は、先代ヴェゼルのものに対して、「後方誤発進抑制機能」「近距離衝突軽減ブレーキ」「オートハイビーム」といった機能を追加。広角単眼カメラと高速画像処理チップ、前後ソナーセンサーを採用することでシステム機能を向上させ、より高度な運転支援を可能とした。また、カメラにはヒーターを装備することで曇りを防止し、Honda SENSINGが機能する環境をより広げている。

本田技研工業株式会社 四輪事業本部 ものづくりセンター 車体設計開発責任者 チーフエンジニア 井橋祥共氏

 そのほかの安全装備では、大きく感じるSUVというボディタイプに対して、より安心して運転できるように「マルチビューカメラ」を用意。上級グレードに標準装備される「ブラインドスポットインフォメーション」は、検知エリアを従来の3mから25mへ拡大することで、より安心感を高めた。さらに、「後方出庫サポート機能」も装備することで、リアワイドカメラと相まって駐車場の入出庫でより安心して運転できるようになっている。

Honda SENSING
Honda SENSING 進化点
そのほかの安全装備

 コネクティビティでは、ユーザーの生活スタイルをよりスマートに、また移動や移動先で楽しめるよう、「デジタルキー」「車内Wi-Fi」といった機能を「Honda e」から拡大。さらにホンダ初のサービスとなる「自動地図更新サービス」では、初回申し込みから12か月間の無料期間を用意して提供。井橋氏いわく「いつでもどこでも繋がっている感覚で、安心・ストレスフリーなカーライフをお送りいただけるようになっております」とのこと。

 コネクトの基本性能を制御するシステムは、車両側にオプションで用意されているディスプレーとテレマティクスコントロールユニット、Bluetoothユニットで構成され、それらがキャリア回線を通じてホンダのサーバーと通信することでサービスを提供する仕組み。車両制御はスマートフォンを用いることで、空調やパワーウィンドウ、ドアのロック/アンロックなどが可能となる。ディスプレーに関しては、よく使う機能を安心・安全・簡単に操作できるよう、ショートカットの設定やスイッチサイズ、アイコン配置を吟味して設定し、使い勝手のよいインターフェイスに仕上げられた。

 HondaConnectの主要機能となる自動地図更新サービスは、自車位置の周辺や目的地周辺に対して、地図更新有無の確認から地図更新までをConnectのシステムが自動的に通信し、ディーラーに行かずとも更新ができるというもの。また、車内Wi-Fiは自宅やオフィスのような通信環境を車内で再現し、動画鑑賞、オンラインゲーム、リモートワークも可能。デジタルキーはスマートフォンが車両の鍵のかわりとなり、PINコードで承認することでエンジンをかけられる。アプリセンターは、車内をより快適・便利にしていくため、よりユーザーニーズの高い音楽系や周辺検索アプリを拡充し、新型ヴェゼルからアプリ配信をさらに充実していくとした。

HondaConnect

ホンダアクセス純正アクセサリー、無限パーツも設定

 新型ヴェゼルに設定されるホンダアクセスの純正アクセサリーについては、ホンダアクセス 純正アクセサリー 商品企画担当の土井一史氏が紹介。今回は、多様なニーズに応じて自分流に表現できるように、“SELF EXPRESSION”をコンセプトにアクセサリーを開発。

株式会社ホンダアクセス 純正アクセサリー 商品企画担当 土井一史氏

 エクステリアアイテムでは、クーペスタイルをさらに強調して車両の上級感を高める「アーバンスタイル」、カッパーブラウンの差し色でさりげないおしゃれ感を演出できる「カジュアルスタイル」の2つのスタイルを設定。土井氏は「カジュアルスタイル、アーバンスタイルともに、こだわりのあるお客さまをターゲットとし、他人とは違うちょっとしたプレミアム感を持たせられるようにデザインしております」と特徴を述べた。なお、個々のアイテムは個別に購入できるため、好みに応じてコーディネート可能とのこと。

 今回初公開となるインテリアアイテムでは、ホワイトとブルーのLEDセンターコンソールイルミネーションを用意。車両の特徴的なデザインでもあるセンターコンソールをより強調するとともに、端部にあしらわれたヴェゼルロゴで所有感も高めている。

 HondaConnectにも一部対応するナビゲーションは、7インチ、8インチの汎用に加えて、新型ヴェゼル専用の9インチを開発。車両インテリアにマッチした形状で使い勝手や満足度を高めたほか、CD/DVDのメディア再生にも対応する。

 そのほかにもSUVらしい使い方を最大限サポートするアイテムとして、スノーボードや釣り具といった長尺物を積む際に汚れを防ぐシートバックトレーや、夜間の荷物の積み下ろし時の視認性を高めるLEDテールゲートライトも設定した。また、合皮製のシートカバーも用意されている。

グランドコンセプト
エクステリアスタイリング
インテリアアイテム

 新型ヴェゼル用無限パーツについては、M-TEC 広報課 野田和宏氏が紹介。スポーツスタイルをコンセプトに、新型ヴェゼルを所有する人に無限らしいスポーティさとプレミアム感を提供するこだわりを込めたパーツをラインアップ。

株式会社M-TEC 広報課 野田和宏氏

 エクステリアは張り出し感のある力強い印象を演出し、ダイナミックな無限らしいスポーティさを表現。フロントマスクをより精悍に引き締めるフロントガーニッシュをはじめ、フロントロアグリル開口部を大きく強調し、フロントバンパーをよりダイナミックに演出するフロントアンダースポイラー、フロントフェンダーからボディ中央へ、そしてボディ中央からリアフェンダーへと流れる2本のキャラクターラインが彫りの深い造詣を生み、力強さを表現したサイドガーニッシュなど、さまざまなパーツが用意されている。

 リアには、存在感を発揮しスポーティさを強調するウイングスポイラー、ルーフエンドを延長して他車との違いを上質に演出するルーフスポイラーの2タイプを設定。さらにスポーティさを演出するテールゲートガーニッシュや、優れた排気高熱と優れた消音性能、エキゾーストサウンドにこだわったチタン製デュアルフィニッシャーを採用したスポーツサイレンサーも設定される。

 そのほかにも、躍動感あふれるデザインの新作18インチアルミホイールや逆流防止のゴムブレードを配し、窓開口部から外気侵入を防ぎ換気効率を高めるベンチレーテッドバイザー、各種インテリアパーツもラインアップされる。

無限パーツのコンセプト
フロントのエクステリアデザイン
リアのエクステリアデザイン
その他無限パーツ