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ボルボ、欧州の大手バッテリメーカー「ノースボルト」と合弁会社設立 開発と生産で提携

2021年6月21日(現地時間) 発表

カーボンニュートラル実現と同時に業界のリードを狙うボルボ

 ボルボ・カー・グループは6月21日(現地時間)、スウェーデンの大手バッテリメーカーであるノースボルトと合弁会社を設立し、次世代のBEV(電気自動車)であるボルボとポールスターの車両に搭載するための、よりサステナブルなバッテリの開発と生産を行なう予定であると発表した。合わせて、その第一歩として、スウェーデンに研究開発センターを設立し、2022年に操業を開始する予定も発表した。

 このセンターは、両社のバッテリに関する専門知識を基に、ボルボ車およびポールスター車に搭載する、次世代の最先端バッテリセルと車両統合技術の開発を目的としている。また、この合弁会社は、年間最大50GWhの生産能力を持つギガファクトリーを欧州に新設し、2026年の生産開始を予定しているという。さらに、この計画の一環として、ボルボ・カー・グループは、2024年からスウェーデンのスケレフテアにある既存のノースボルト・エットのバッテリ工場から年間15GWhのバッテリセルを調達することも検討している。

すでに発表されているバッテリ供給契約と合わせて、ノースボルトとのパートナーシップはボルボ・カーズの電動化計画を推進するヨーロッパでの必要量のバッテリセルを確保したことになる。ボルボ・カーズは、この10年の半ばまでに総販売量の50%のBEVを販売し、2030年にはBEVのみを販売することを掲げている

 現在、ボルボ・カー・グループのBEV用バッテリの生産は、自動車のライフサイクル全体のCO2排出量の大部分を占めているが、ボルボ・カー・グループは、持続可能なバッテリ生産のリーダーであるノースボルトと協力し、ヨーロッパの製造施設の近くでバッテリを生産することで、将来の自動車のためのバッテリの調達と生産に起因する環境負荷を削減できるとしている。

 ボルボ・カー・グループの最高経営責任者であるホーカン・サムエルソン氏は「ノースボルトと協力することで、われわれが電気自動車に移行するために、高品質でより持続可能なバッテリセルの供給を確保することができます。ノースボルトと密接に協業することで、当社の社内開発能力を強化することもできます」と述べている。

 100%クリーンエネルギーで稼働することが計画されている新ギガファクトリーでは、約3000人の雇用が見込まれているが、新工場の場所はまだ決まっていない。また、この合弁会社で開発されたバッテリセルを搭載する最初のクルマは、ボルボ・カーズのベストセラーモデル「XC60」のBEVになる予定だとしている。

 ノースボルトの共同設立者兼CEOであるピーター・カールソン氏は「ボルボ・カーズとポールスターは、電動化への移行において業界をリードする企業であり、世界で最も持続可能なバッテリセルの開発と生産を目指す私たちのこれからの旅における完璧なパートナーです。ヨーロッパにおける両社の独占的なバッテリセル生産パートナーになれることを誇りに思います」とコメント。

 ノースボルトとのパートナーシップは、2030年までにプレミアムBEVの分野でリーダーとなり、電気自動車のみを販売するというボルボ・カーズの高い目標にとって重要なもので、また、真の技術リーダーとのパートナーシップと相まって、ボルボ・カー・グループの自社開発能力を拡大するための重要なステップとなるという。また、ポールスターにとっては、欧州での成長をさらに後押しするものであり、2030年までにクライメート・ニュートラルなクルマを作ることを目標としたポールスター0(ゼロ)プロジェクトへのコミットメントを明確にするものとしている。

 ボルボ・カーズの最高技術責任者(CTO)であるヘンリック・グリーン氏は「次世代のバッテリセル技術をノースボルトと共同で自社開発することで、ボルボとポールスターのドライバーに特化したバッテリを設計することができます。当社の電気自動車用に自社開発したセルを使うことにより、ボルボとポールスターのお客さまが求める、最適な航続距離や短い充電時間などの実現に注力することができます」と述べている。

 産業オペレーション・品質部門の責任者であるハビエル・ヴァレラ氏は「2030年までの全面的な電動化に向けて、ノースボルトとのコラボレーションは、当社の産業ネットワークにとって重要なステップです。バッテリは電気自動車において最も重要な部品の1つであり、ノースボルトとの提携により、ヨーロッパにおける高品質で持続可能なバッテリの効率的で費用対効果の高いサプライチェーンを確保することができます」とコメントしている。

 ボルボ・カーズは、6月30日に開催される「ボルボ・カーズ・テック・モーメント」で、将来の技術ロードマップの詳細を明らかにする予定という。