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アウディ正規販売店「ヤナセオートモーティブ」が取り組むサスティナビリティについて、取締役社長 須賀智夫氏に聞く
2022年10月27日 08:30
ヤナセオートモーティブが取り組むサスティナビリティ活動とは
アウディは2025年に内燃エンジンを搭載した最後の新型車の生産を行ない、2026年以降はアウディブランドが新たに発表するモデルが全てBEVになること、中国を除いて2033年に内燃エンジンの生産を終了することをアナウンス。また、2025年までに全ての工場でカーボンニュートラルを実現し、2026年までに20車種以上の電動化モデルを導入することを決定している。
これはアウディのサスティナビリティ戦略に基づくもので、生産現場や車種展開の改革のほか、バリューチェーンを最適化するとともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用を拡大することを表明。アウディ車の生産に関わる一連の流れに持続可能性を生みだすことにつながっていく。
アウディのこうした動きに対して、アウディ車を販売する世界各国の販社にもサスティナビリティに関わる動きが見られるが、今回は日本国内において11店舗のアウディ正規販売店を運営する(認定中古車センター含む)ヤナセオートモーティブが取り組むサスティナビリティ活動について、取締役社長の須賀智夫氏に聞いた。
アウディが進めるサスティナビリティ活動と歩調を合わせつつ、自社での活動も活発化
国内に11店舗のアウディ正規販売店を運営するヤナセオートモーティブでは、2020年9月にe-tronの取り扱いを開始したことを機に、本国のアウディおよびアウディジャパンが進めるサスティナビリティ活動と歩調を合わせて自社での活動も活発化させている。
ちなみにアウディが取り組むのは、国連総会により2030年までに達成すべき目標(SDGs)として立てた17項目に沿ったものだが、この17項目は自然保護のほかにも社会問題や経済面などいくつかの区分けがあり、アウディはその中から自社にとって関連、影響が大きいと思われる「働きがいと経済成長」「産業と技術基盤を作る」「住み続けられる街づくり」「つくる責任、つかう責任」「気候変動への具体的な対策」という、5つに絞ったものを取り組みの対象にしている。
ヤナセオートモーティブも基本的にこの5つの課題に取り組む姿勢だが、同社は自動車販売会社という立場から独自の行動も行なっていた。
須賀氏は「自動車の世界では以前からアイドリングストップの採用やリサイクルパーツの活用などで、ある面では環境保護に貢献してきましたが、昨今はハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、そして電気自動車を登場させることで空気を汚さないための大転換をみせています。こうした点はメーカーも周知に尽力していますが、直接お客さまと接するわれわれは、情報を直接正しくお客さまに伝えていける存在なので、お客さまのクルマ選びの面でも未来を見据えたご提案をするようにしています。このことについて私は、内燃機関エンジン車に乗るか電気自動車に乗るかということではなくて、“いつのタイミングで電気自動車に乗るか”ということだと考えています」と語った。
さらに、整備の際に出た交換部品や廃油などの処理について、依頼先の選定をコスト重視ではなく環境に配慮した処理を行なう企業に変更するとともに、ユーザーに渡す記念品も自然由来のものに変えていく、店舗に多くの緑を配置するなど、販売会社として実行できるカーボンニュートラル化を積極的に行なっているという。
また、会社全体としては残業をなくすことにも取り組んでいる。これは働く人の心の安定や家族との時間を守ることを狙いとしたものである。須賀氏からは「こうした活動を通じて、ヤナセオートモーティブの従業員やお客さまが、等しく幸せを享受できるようなクルマ社会でありたいという思いを持っています」というコメントが聞けた。
そしてもう1つの取り組みが「e-tron Forest Project」。これはe-tronの売り上げの一部を環境保護に生かすことを目的とした企画型寄付であり、2年計画の企画となっている。
「e-tron Forest Project」では日本自然保護協会への寄付を行なっているが、その理由として挙げているのが活動内容。日本自然保護協会の活動は「人と自然が共に生き、赤ちゃんからお年寄りまでが美しく豊かな自然に囲まれて笑顔で生活できる社会を目指す」という多岐にわたるものだが、ヤナセオートモーティブでは同協会が手掛けている「手入れが行き届いていない人工林(日本の山に多く見られる同種の樹木が集まって生えている状況)を、生物の多様性がある豊かな場所にしていくための活動」に着目。森林保護というクルマとも関連のある面に意義を感じて寄付先に決めたという。
ちなみに「e-tron Forest Project」の話題のあとに、須賀氏にe-tronの印象を伺ってみたところ、内燃機関エンジン車にもいいところがあると前置きしたうえで「内燃機関エンジン車と比べて大きく違うなと思うのはトルク感です。つなぎ目がないシームレスな加速感はe-tronならではのものです。特にショールームに展示している『RS e-tron GT』はとても速いクルマで、走らせる魅力は内燃機関エンジン車と遜色ないどころか超えていると感じました」とその魅力を語る。
また、10月に発売が決定しているQ4 e-tronを含め、バリエーションが拡充されるe-tronは販売においてどのような展開が理想的かを伺ってみた。すると、従来のヤナセユーザーに加えて「30歳、40歳といった若い世代の方に乗っていただきたいです。普段使いはもちろんのこと、e-tronでアウトドアレジャーなどに出かけることで、e-tronオーナーだからできるエコツーリズムを体験していただきたいと思っています」と答えてくれた。
このようにアウディおよびアウディジャパンが進めるサスティナビリティ活動に呼応して、独自の環境保護活動を行なうヤナセオートモーティブだが、要点はなんと言っても販売現場という立場からの取り組み。メーカーが発信するメッセージを、ユーザー1人ひとり、その人に向き合った言葉や方法で伝えられるのは販売店だけができることであるだけに、ヤナセオートモーティブをはじめとするアウディ正規販売店の役割は重要と感じた。
そして最後に須賀氏は「クルマは時代とともに変わっていきます。私どもの古くからのお客さまにも、世代が変わることでクルマを手放されるケースもあります。ただ、そういう中であってもクルマ好きな方はいらっしゃいますので、われわれが扱う魅力あるクルマやこうした活動を通じて、クルマを好きでい続けていただくと同時に、ヤナセのファンであっていただきたく思います。そして、そうした流れを永続的に太く続けていけるようにしていくのが、われわれの日々の使命と考えています。また、アウディ正規販売店として行なうこの活動が、ヤナセが取り扱うほかのブランドにも広まっていくことも期待してます」と語った。