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東京スバル・千葉スバル・Team Takuty、GR86/BRZ Cup プロフェッショナルシリーズ参戦合同発表会
2023年4月1日 10:00
- 2023年4月1日 発表
スバルは4月1日、今シーズンのTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup(以下 GR86/BRZ Cup)のプロフェッショナルクラスにTeam Takutyから2台のSUBARU BRZで参戦することを発表した。
Team TakutyとはSUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースでSUBARUのドライバーを務める井口卓人選手が代表を務めるレーシングチームだ。ドライバーは井口卓人選手と、このレースの2020年シリーズチャンピオン 久保凛太郎選手。井口選手は山内英輝選手とともにSUPER GTでBRZ GT300の2021年シリーズチャンピオンに輝いており、BRZでスバルに勝利をもたらしてきた2人のドライバーがタッグを組んだ形だ。
参戦体制はTeam Takutyの代表である井口卓人選手が全体の運営を行ない、佐野泰弘チーフエンジニアのもと井口選手のマシンには東京スバル、久保選手のマシンには千葉スバルのディーラーメカニックが派遣される形でTOKYO SUBARU Racing、CHIBA SUBARU Racingという2つのディーラーチームが構成され、この2つがワンチームとして参戦する。
マシンセッティングなどさまざまな部分での協力体制をとりつつも、ピット作業やコースでの戦いにおいてはバチバチのライバル関係にもなる。マシンはSUPER GTに参戦するBRZ GT300をモチーフにしたカラーリングで、タイヤはブリヂストンを採用し、マシン名はCHIBA SUBARU Racing BRZ BS(ゼッケン87)とTOKYO SUBARU Racing BRZ BS(ゼッケン88)となる。
この参戦発表に先立ち3月20日にSTI(東京都三鷹市)で行なわれた報道関係者向け発表会では、東京スバル代表取締役社長 佐藤洋一氏、千葉スバル代表取締役社長 三浦剛氏が登壇し、参戦についての経緯や想いを語った。
佐藤氏は、スバル車を使ってアクティブな活動をするユーザーが増えていることを経営者として嬉しく思うと同時に、ユーザー数の増加にともない毎日の整備に追われるメカニックの忙しさに触れ、現状のような多忙な日々を送りたくてスバルディーラーに入社してくれたのだろうか、という疑問も持っていたという。そういうタイミングでTeam Takutyからの話があり、もっと違う形でクルマに向き合う場を用意したいと考え今回の参戦に至ったとのこと。
この想いは千葉スバルの三浦氏も同じだそうで、両社ともにメカニックの選考では本人の気持ちを最も重視したという。そして、この参戦経験を通じて技術力はもちろん、人としての成長を期待しながらも、入社した頃の気持ちや夢を実現してくれることを願っていると語った。なおレースでは東京スバル、千葉スバルそれぞれから2名のメカニックが帯同するとともに、SUBARU主導により全国のディーラーからつどったメカニック1名を加え1戦あたり3名の体制で臨む。
チーム代表を務める井口選手は、SUPER GTへの参戦やニュルブルクリンク24時間レースを通じ、スバルには青い帽子をかぶり、旗を振って応援してくれる多くのファンがいることも、ディーラーメカニックの派遣がスバルにもたらす効果も、身をもって体験しているドライバーだ。一方で、BRZで参戦し続けているGR86/BRZ CupにおいてBRZが少数派である現状に寂しさを感じていたという。このワンメイクレースでBRZの火を絶やしたくないとの想いが今回の活動のきっかけだったとのことだ。Team Takutyというワンチームでありながら、東京スバル、千葉スバルそれぞれが威信をかけてバチバチにレースで競い真剣に楽しむのでよろしくおねがいします、と報道陣や関係者の前で今シーズンの意気込みを語った。
また、Team Takutyはこの活動を通じて3点の目標を掲げた。1点目はレース活動を通じてディーラーのファンを増やしていきたいということ。ディーラーとしてレースに参戦することによる話題喚起にとどまらず、参戦したメカニックがユーザーのクルマを整備し、直接説明したり提案したりすることで、次もスバルにしたいと思ってもらえるようなサービスを提供することに繋げていきたいとのこと。2つ目は人材育成と社員のモチベーションアップ。こちらはトップドライバーとレースに携わることで、今まで以上にスバル車を深く知り技術力や責任感の向上を図り、その経験を店舗に持ち帰り次世代の育成に繋げ、社内を盛り上げていきたいとのことだ。3つ目はリクルート活動への効果だ。こちらは次世代の自動車専門学校の学生に少しでもスバルディーラーに興味を持ってもらい、将来一緒に働く仲間を増やすことを目標としているという。
発表会では東京スバル18名、千葉スバル10名のディーラーメカニックが参加し、それぞれの代表があいさつを行なった。
千葉スバルのメカニックを代表したのは、モータースポーツの現場でメカニック経験のある習志野店の石橋裕也氏。石橋氏は初めて参加した際にディーラーメカニックがレースの現場で役に立てるだろうかと不安だったことを振り返り、その際にチーフメカニックに言われた「ディーラーメカニックはお客さまが安全に目的地に行けるよう整備しているように、レースメカニックはドライバーが速く安全にゴールにたどり着けるようメンテナンスをしていて、本質的には同じことをしているんだ」という言葉に衝撃を受けたという。石橋氏はチームワークと本気さでは定評があるのが千葉スバルだと思っているので、東京には負けませんと語りあいさつを締めた。なお、石橋氏は5月13~14日にスポーツランドSUGOで開催される第1戦へ松戸店の矢作直之氏とともに参加が予定されている。
東京スバルを代表したのは青梅店の杉山晴流氏。これまでもこのような派遣の機会があるごとに応募していたという杉山氏は、今回会社を挙げてモータースポーツ活動に参戦すること、そして自分が参加できることをとても嬉しく思っているとその喜びを語った。日常業務とは全く違う世界に対しての不安もありながらも、それ以上にワクワクしていると嬉しそうだ。千葉の石橋氏の言葉を受ける形で、東京にもクルマ好きのメカニックがたくさんいるぞ、というところを見せていきたいと語った。
GR86/BRZ Cupはトヨタ86、スバルBRZのナンバー付き車両によるワンメイクレースながら、プロフェッショナルクラスは国内のトップドライバーが数多く参戦するハイレベルなレースだ。SUPER GTなどで戦うドライバーたちが極めてノーマルに近い車両で競う10数周のスプリントレースだけに、1周目のスタート直後の1コーナーから毎戦激しいバトルを繰り広げており、観戦していても楽しい。また、GR86組にはすでに多くのディーラーチームが参戦しているので、BRZによるディーラーチーム参戦はスバルファンにとってもさまざまな面で朗報だろう。
SUPER GT、ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦、カーボンニュートラル燃料を使用したマシンでのS耐参戦のほか、全日本ラリー選手権では今シーズンに新型マシン投入が予定されているなど、今年のスバルモータースポーツはにぎやかだ。
そして今回発表されたTeam TakutyのGR86/BRZ Cupへの参戦。井口卓人選手は上記サーキットレースの全てに参戦しており、久保凛太郎選手はレースのほか、BRZで全日本ラリー選手権の出場経験もある。まさに全方位的にスバルのモータースポーツを知るTeam Takutyは、スバルファンならずとも注目のチームだ。GR86/BRZ Cupは北海道から九州まで全国を転戦するので、近くで開催される際には足を運んでみてはいかがだろうか。2人の走りはもちろん、パドックやチームテントで奮闘するメカニックたちの活躍も注目だ。
参戦レースの情報はSUBARUのWebサイト、各ディーラーやTeam TakutyのSNSなどで発信していく予定とのこと。