イベントレポート 東京オートサロン 2023

スバル、2023年シーズンのモータースポーツ活動体制を発表 開発中の全日本ラリー参戦車「WRX S4」公開

2023年1月13日 実施

SUBARUブースに展示されている開発中のSUBARU WRX RALLY CHALLENGE 2023

 スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル)は1月13日、東京オートサロン2023(幕張メッセ:1月13日~15日開催)にて、2023年シーズンのモータースポーツ活動の参戦体制を発表した。発表されたのは「SUPER GT」「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」「全日本ラリー選手権」「GR86/BRZカップ」「スーパー耐久シリーズ」の5カテゴリー。

 SUPER GTは昨年に引き続きGT300クラスに参戦。チーム体制も昨シーズンに引き続きスバルとR&D SPORTがタッグを組む。チーム総監督は小澤正弘氏、監督にはR&D SPORTの澤田稔氏、ドライバーには井口卓人選手と山内英輝選手と昨シーズンと同じ布陣で臨む。

STIの代表取締役社長の平岡泰雄氏が2023年シーズンのモータースポーツ活動の参戦体制を発表した

 発表を行なったSTIの代表取締役社長 平岡泰雄氏は、「2021年に続くチャンピオン2連覇は達成できなかったものの、一戦一戦チームがどんどん強くなっていくことを実感したと同時に、最後までチャンピオン争いにからむ走りは、ディフェンディングチャンピオンとして恥じない走りをファンに見せられたのではないか」と語った。

 2023年からカーボンニュートラル燃料でのレースとなるSUPER GTでは、「環境と走行性能をあわせ持った強いスバルBRZ GT300で王座奪回に向け全力で戦う」とファンに向けメッセージをおくった。また、会場には2022シーズンを戦ったGTマシン「スバルBRZ GT300」を展示している。

SUBARU BRZ GT300(2022年仕様)

 続いて紹介されたのがSTI NBRチャレンジ2023の参戦体制。総監督には辰己英治氏、監督に沢田拓也氏、プロジェクトリーダーに渋谷直樹氏、ドライバーはカルロ ヴァンダム選手、ティム シュリック選手、山内秀輝選手、井口卓人選手の4名。コロナ前に行なわれた2019年のクラス優勝メンバーが再集結した。

 また、これまでどおり全国のスバルディーラーから選抜されたメカニック8名とともにニュルブルクリンクに臨む。なお、2023年は最新のWRXへとマシンを刷新。スバルグローバルプラットフォーム+新型の2.4リッターエンジンでの参戦となる。排気量アップに伴いSP4Tクラスでの参戦となるが、クラス優勝はもちろん総合順位でもSP8Tクラスまで含めたトップでのフィニッシュを目指す。会場には参戦を控えすでにシェイクダウンを済ましている2023年のマシンが展示された。

SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2023

 続いて全日本ラリー選手権。STI NBRチャレンジ同様こちらもマシンを刷新する。新たに開発されるのがWRX S4のマシンで現在開発中で初戦には間に合わずシーズン途中から投入されるとのこと。開発中のマシンが会場に展示された。ドライバーは新井敏弘選手、鎌田卓麻選手の2名。これまでの運営サポートに加え、車両開発のサポートも行ないスバルラリーチャレンジのチームとして参戦する。

「レギュレーション改定によりこれまで以上に軽量化が可能になる2023年シーズンは、ポテンシャルの高い新型車の採用と相まって、強いスバルを今一度見せられると思うので期待して欲しい」と平岡社長は述べた。かつて世界をリードしたスバルのラリー活動を知るファンが多い中、非常に心強いアナウンスだ。いずれにしても新型マシンの完成を待ちたい。

開発中のSUBARU WRX RALLY CHALLENGE 2023。展示車両のタイヤはYOKOHAMA

 続いてスーパー耐久シリーズ。ここからはTeam SDA Engineeringで監督を務める本井雅人氏が登壇。昨年同様2023年シーズンもTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptで参戦すると発表した。本井監督は、「2022年シーズンのレース活動を通じて当初の目的だったカーボンニュートラル燃料活用方法を攻略すると同時に、課題も明確になった」と語った。また、もう1つの目的であった人材育成でも大きな成果が認められ、これらを踏まえ2023年シーズンは次のステップを踏み出すという。

Team SDA Engineering監督 本井雅人氏

 参戦体制は昨年同様に監督は引き続き本井氏。新たに若い選手も加えながらスバル技術本部の社員がチームを形成する。ドライバーはSUPER GTやSTI NBRチャレンジでもステアリングを握る井口卓人選手、山内秀輝選手に加えエンジニアの廣田光一選手の3名。

 今シーズンは実証を続けているカーボンニュートラル燃料の変更、スバルの航空部門、航空宇宙カンパニーと協力して採用した再生カーボンパーツの追加検討、またアイサイトを中心とした先進安全装置をレースで鍛えていくとのこと。最後に「スーパー耐久シリーズを開発の場として参戦するトヨタ、ホンダ、マツダと競争と協調を繰り返しながら、将来的にはレースで培った試験を量産車にフィードバックしてユーザーへ何らかの形を届けたい」と抱負を語った。参戦車両の展示はなかった。

 そのほかにも、TOYOTA Gazoo RachingのGR86/BRZ CUPも、昨年同様にBRZで参戦するユーザへの支援を継続するとしている。

高橋 学

1966年 北海道生まれ。下積み時代は毎日毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下で軽自動車からレーシングカーまでさまざまな自動車の撮影三昧。下町の裏路地からサーキット、はたまたジャングルまでいろいろなシーンで活躍する自動車の魅力的な姿を沢山の皆様にお届けできればうれしいです。 日本レース写真家協会(JRPA)会員