ニュース

ソニー・ホンダモビリティ、新型EV「アフィーラ プロトタイプ」日本公開 川西泉社長は「モビリティ開発環境のオープン化」を発表

2023年10月17日 公開

虎ノ門ヒルズ ステーションタワー「TOKYO NODE HALL」で新型EV「アフィーラ プロトタイプ」を公開

 ソニー・ホンダモビリティは10月17日、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー「TOKYO NODE HALL」において新型EV「アフィーラ プロトタイプ」を報道陣に公開し、ソニー・ホンダモビリティの代表取締役 社長 兼 COOの川西泉氏がプレゼンテーションを行なった。同モデルは「ジャパンモビリティショー2023」(東京ビッグサイト:会期10月26日~11月5日)で日本初となる一般展示を行なう。

 今回公開されたのは新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプモデル。1月に米国ラスベガスで開催された「CES 2023」で発表されたモデルになる。4ドアクーペスタイルとなり、このプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売する見通し。デリバリーは2026年春に北米から開始され、日本へは2026年中を予定する。製造はホンダの北米工場で行なわれる。

アフィーラ プロトタイプのアンベール

 登壇した川西氏は、アフィーラの開発はソニーとホンダの200名からなる社員が集まってスタートしたといい、現在は社員数も250名程度に増加。IT企業と自動車メーカーという異業種の組み合わせということで、開発やプロセスにおけるアプローチの違いはまだまだ残っているものの、「相互理解が順調に進み、お互いの企業文化を尊重し合い、認め合える土壌はでき上がってきているのかなと実感しています」と報告するとともに、「ソニー・ホンダモビリティ設立時にコーポレートアイデンティティとしてMobility Tech Companyであると宣言いたしました。ソフトウェアやサービスを中心とした新しいモビリティの価値、また移動という体験そのものに新しいライフタイムバリューを創出すべく、モビリティとITの融合を強く推し進めています」と説明する。

ソニー・ホンダモビリティ株式会社 代表取締役 社長 兼 COOの川西泉氏

 アフィーラではAutonomy(進化する自律性)、Augmentation(身体、時空間の拡張)、Affinity(人との協調、社会との共生)をコンセプトとしており、その頭文字をとって「3A」と定義。この3つの価値をユーザーに届けたいという。これらのコンセプトを1つの形として具現化すべく、CES 2023で第1弾となるプロトタイプモデルを発表した。未来のモビリティとはどのようなものか、人とモビリティの関係性はどうあるべきか。そんなテーマを議論している中からシンプルでクリーンなデザインにたどり着いたという。

 そしてアフィーラのネーミングについて川西氏は、「まず感じる(フィール)という言葉をネーミングの中心に置き、先ほど申し上げた3AというコンセプトからフィールをAutonomyとAugmentationの2つで挟み、Affinityという大きな方向性で包括されるブランドとしてアフィーラと定義しました」とコメントした。

 また、CES 2023で発表以降の活動として、映画や音楽などのエンターテイメントに携わる米国のクリエイターにアフィーラ プロトタイプを体験してもらったといい、「実際にプロトタイプに触りながらモビリティの未来や進化の可能性について活発なディスカッションを行ない、これまで以上に強くエンゲージメントを深めることができました。カリフォルニア州サンノゼのショッピングモールでは、初めて一般のお客さまにも実際に触れていただく機会を作りました。実際にEVを愛用されている目の肥えた方々が多くいらっしゃる地域で、EVを所有するライフスタイルやニーズ、期待など、リアルな生の声をヒアリングしています」とも報告した。

アフィーラ

 そして「私たちはアフィーラを知性を持ったコミュニティとして育てていきたいと考えています。昨今のAI技術の進化を積極的に取り込み、ユーザーに寄り添う存在を目指していく。ユーザーにとって唯一の存在、愛着を持てる存在になれるように、従来のクルマの価値に加えて新しいモビリティの可能性を追求していきます。そこで、自分の好みに合わせたアフィーラを作れる場所、そして表現できる場所、競争できる場所をデジタルの世界でご用意したいと思います」と発表。

 このモビリティ開発環境のオープン化(AFEELA共創プログラム:仮称)についての詳細は後日発表予定としているが、自社の知見だけに閉じることなく、社外のクリエイターやデベロッパーが自由にアフィーラの上で動作するアプリケーションやサービスを開発できる環境を提供し、クリエイティビティを表現・共創できる場をデジタル上で用意するという。

モビリティ開発環境のオープン化を行なうと発表

 現状の作成/開発アイテムとしては、フロントグリルのメディアバーやパノラミックスクリーンと呼ばれるダッシュボードのテーマ変更、走行中のeモーターサウンドの音源、ナビアプリの地図上に独自の付加情報を重畳する機能、さらに自由にアプリケーションやサービスを開発できる環境を用意するとのこと。アプリケーションの動作環境はAndroid OSを予定する。

 川西氏は「私たちは人とモビリティの関係をより広く、より深く、そしてオープンにしていきたいと考えています。今回、ユーザーがよりアフィーラに愛着を持っていただけるよう、アフィーラの上で操作するアプリケーションやUIのカスタマイズなど、開発環境のご紹介をさせていただきました。こういった取り組みによってモビリティに変化を起こし、モビリティと社会をつないでいくサービスの進化に貢献していきます。ソニー・ホンダモビリティはユーザーだけでなく、クリエイターやデベロッパーの皆さまと共にクリエイティブなモビリティを日本、そして世界へ発信していきたいと思います」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。