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新幹線貸切の「日本グランプリ号」に乗車してみた! レジェンド・ドライバーズと一緒に鈴鹿に向かうF1ファン史上最高の乗車体験だった

2023年4月3日 開催

参加したレジェンド・ドライバー、現役ドライバー、レースアナウンサー・解説者などがそろって撮影、右側に入線してきているのが日本グランプリ号 supported by 鈴鹿サーキットの別称がつけられた団体列車 539号

 F1日本GPを観戦するF1ファン向け東海道新幹線の特別列車「日本グランプリ号 supported by 鈴鹿サーキット」(日本グランプリ号)が、4月3日の19時12分東京駅発、20時48分名古屋駅着のスケジュールで特別運行された。

 JR東海グループのジェイアールセントラルビルと鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドの共同企画として行なわれた日本グランプリ号は、JR東海がパッケージ商品として提供している「東海道新幹線 貸切車両パッケージ」を活用して行なわれたもので、車内では日本を代表する元F1ドライバーの中嶋悟氏、鈴木亜久里氏の両巨頭が参加したほか、松田次生選手、野尻智紀選手など現代の日本のレースシーンを代表するような現役ドライバーも同乗し、短いひとときながらファンサービスを行なった。

 F1ファンにとっては東京から名古屋への移動が、早速4月5日に迫ったF1日本GP開幕に向けた夢のようなひとときになった。

週末の日本GPはお花見も一緒に春になったことを楽しんでほしいとホンダモビリティランド 斎藤毅社長

ホンダモビリティランド 代表取締役社長 斎藤毅氏

 今回JR東海グループのジェイアールセントラルビルと鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドが共同で企画した日本グランプリ号は、JR東海が運営する東海道新幹線グループ旅行向けの貸し切りパッケージ「東海道新幹線 貸切車両パッケージ」を活用した企画で、両社がそのパッケージを利用して東海道新幹線の「団体専用列車」を貸し切り、東京方面から鈴鹿サーキットへ移動するF1ファンに、移動中も楽しみながら鈴鹿サーキットを目指してもらうことを企図したものとなる。

 鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランド 代表取締役社長 斎藤毅氏によれば「われわれは企業としてカーボンニュートラルを目指して努力しているが、F1のようなビッグレースで最も多いCO2排出量がお客さまの移動になっている。そこで、CO2排出が少ない新幹線のような公共交通機関を移動していただくことで、少々でもそれが削減できればと考えて今回のような企画に取り組んだ」と述べ、今回の企画をつくった目的がカーボンニュートラルを実現することにあると強調した。

 鈴鹿サーキットが公開した資料によれば、2023年のF1日本GPにおける自動車(ガソリン車、ディーゼル車、バイクなどを含む)での来場割合は、東京都からの場合33%、神奈川県で48%、埼玉県で49%、千葉県で43%になっており、そうした割合を少々でも下げることで、カーボンニュートラルな日本GPを作っていくというのが目的の一つだということだった。

 F1日本GPは2024年から春にスケジュールを移動したが、それに関して斎藤氏は「お客さまからはシーズンの最初の方のレースになったことで、シーズンの行方がわからない中でのレースになり興味深いというお声もいただいている。今までのシーズン終わりとは大きく異なる環境のレースになるが、幸いなことに本年は桜の開花が例年より遅れたおかげで、ちょうど今週末に咲きそうで、桜が咲いている中での日本GPになると思う。ぜひお花見もF1と一緒に楽しんでほしい」と述べ、スケジュールが春になったことで、桜の開花時期と重なって、これまでにない日本GPになりそうだとアピールした。

差額はあるが、内容を考えれば十分納得の内容、レッドブルやハイネケン 0.0のサンプリング提供も

車内ではレッドブルのサンプリング(サンプル配布)が行なわれた

 今回貸し切りされた新幹線は「団体列車 539号」という列車名がついており、東京を19時12分に出発し、名古屋に20時48分に到着する列車となっていた。出発時間と到着時間からもわかるように、列車としてはのぞみ号相当の列車で、途中ののぞみ号停車駅の品川駅と新横浜駅には停車していた。ただ、乗車できるのはあくまでこの日本グランプリ号のチケットを買い求めたF1ファンだけで、一般の乗客は乗車できない列車になっているため、停車はしていたが、品川駅と新横浜駅ではドアは閉まったままで、実際には乗降はできなかった。

ドライバー、アナウンサーなどが記念撮影していると団体列車 539号が入線してくる、野尻選手は思わずそちらの方に……向くよね……
入線後しばらくすると、新幹線のライトが赤く点灯した。JR東海によれば、入線後しばらくするとこのように後方の車両はヘッドライトが赤くなるのが仕様なのだという、鉄道ファンには当たり前の常識なのかもしれないが、恥ずかしながら筆者は今回知った

 チケットはJR東海のツアー会社「JR東海ツアーズ」経由で販売されており、普通車指定席(おとな1人)で1万7800円 、グリーン車指定席(おとな1人)で1万9800円という価格設定になっていた。通常の東京-名古屋間におけるのぞみ号の料金が、それぞれ1万1300円(普通)、1万4960円(グリーン)であることを考えると、それぞれ6500円、4840円の差額になり、特にグリーン車を利用した場合のお買い得感が高い価格設定になっている。この差額が車内でのイベントの料金と考えられるだろう。

配布されたグッズ。これ以外に名古屋駅のJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーレストラン街お食事券、木曜日ピットウォークの優先入場券などが配布された
缶バッジ
ハース小松代表のサインカード
シールとクリアファイル

 なお、参加者には5種類の特製缶バッジ、限定クリアファイル、そしてハースF1チーム小松代表のサイン入りカード、さらには木曜日ピットウォークに15分早く入れる優先入場券、さらには名古屋駅のJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーレストラン街お食事券(1000円分)が入っており、名古屋で食事をする予定がある人にはさらに1000円お得になっているし、木曜日からF1日本GPに参加して木曜日だけ行なわれるピットウォーク(金曜日以降はパドッククラブ向けだけにピットウォークが行なわれるため、一般の観客がピットウォークに参加できるのは木曜日だけ)に参加するファンにとっては、優先入場券は非常にありがたいチケットだろう。そうした内容物を考えれば、前出の差額は決して高いモノではなく、十分に元が取れる価格設定と言える。

ハイネケン 0.0のサンプリング
車内に設置されたマックス・フェルスタッペン選手出演の広告

 また、車内にはF1ではおなじみレッドブルのサンプルを配布するサンプリング、ハイネケン 0.0(ノンアルコールビール)のサンプリングも行なわれている。レッドブルの配布は説明の必要がないと思うが、なぜハイネケン 0.0がレッドブルと並んで配布されているのかといえば、ハイネケン 0.0が2023年からオラクル・レッドブルレーシングのスポンサーになっており、マックス・フェルスタッペン選手がブランドアンバサダーになっているからだ。このため、日本グランプリ号の広告スペースにはこのフェルスタッペン選手が出演するハイネケン 0.0の広告が掲示されており、それも日本グランプリ号スペシャルということだった。

東京から名古屋まで「場内放送」で楽しめて、レジェンド・ドライバーが車内を巡回

鈴木亜久里氏(左)、中嶋悟氏(右)という日本F1界の両巨頭が車内放送に登場

 東京を出発してから名古屋に到着するまでの約1時間40分は、8号車に設置された特設スタジオで、同じにレースアナウンサー ピエール北川氏、DAZNのモータースポーツアナウンサー笹川裕昭氏のMCで、レジェンド・ドライバー、現役レーシングドライバーによるトークショーが行なわれ、車内放送でその様子が生中継された。

松下信治選手(左)、笹原右京選手(右)

 参加したのは、日本人初のフルタイムF1ドライバーになった中嶋悟氏、そして1990年の日本GPで日本人ドライバーとして初めて3位に入り表彰台にの登壇した鈴木亜久里氏という2人のレジェンド・ドライバー、DAZNの解説でおなじみの同じく元F1ドライバーの中野信治氏、そして2023年に惜しまれながらホンダを定年退職した元ホンダF1 LPLの浅木泰昭氏、そして現役のドライバーでは松田次生選手、野尻智紀選手、松下信治選手、笹原右京選手。それぞれ2人1組で参加し、車内で参加者を楽しませた。

2人合わせてスーパーフォーミュラのチャンピオン4回、SUPER GTのチャンピオン2回という野尻智紀選手(左)と松田次生選手(右)
みなさん準備よくお目当てのドライバーのミニカーを持参されてサインをもらっていた、モータースポーツのファンは準備が大事??
スポンサーでもあるレッドブルの缶を片手にサインして回る野尻智紀選手
こちらのファンの方は中嶋悟氏が、1989年のオーストラリアGPで日本人初のファステストラップを記録したロータス101・ジャッドを持参されて中嶋氏にサインをもらっていた

 なお、ドライバーは交代で車内を回っており、即席のサイン会やセルフィーを撮影する様子がそこかしこで見てとれた。中には、両レジェンド・ドライバーが現役時代のパンフレットなどを入手してサインをねだるファン、さらには両ドライバー現役時代の車両のミニカーをもってきて、そのケースにサインしてもらうファン……それぞれが楽しんでいるよう様子だった。

若いファンにもF1を楽しんでもらいたいと企画されたヤング割り(16~23歳)対象のファンと一緒に中嶋悟氏(左)と鈴木亜久里氏が記念撮影
イベントの最後にはドレッサーオブザデーに選出されたファンと出演者が記念撮影

 また、イベントの最後にはF1で毎戦最後に選出される「ドライバーオブザデー」をもじった「ドレッサーオブザデー」と呼ばれる、各車両から応援グッズやコスプレのユニークさなどから選出されたファンへのサイン入りポスターの進呈式、記念撮影が行なわれると列車は名古屋駅のホームへと到着し、イベントは終了となった。

 率直に言って、記念品、レジェンド・ドライバー、現役ドライバーによるファンサービス、通常料金との差額を考えると、非常にコストパフォーマンスが高いイベントだと感じた。もし来年以降も開催されるようであれば、東京圏のF1ファンはぜひ参加をお勧めしたいと感じたことをまとめとしたい。