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ルーフから音が降り注ぐ「メティオサウンド」や「ジムニー」「ハイエース」の車種専用アイテムなど アルパイン2024年度新製品発表会

2024年5月28日 開催

ジムニーやハイエースなど車種専用の展開とすることで、製品の魅力向上だけでなく、取り付けについても確実性や作業時間短縮を実現した新製品群が発表された

 カーエレクトロニクス関連製品の開発、製造、販売を行なうアルプスアルパインの国内マーケティングを担う企業がアルパインマーケティングだ。そのアルパインマーケティングが2024年5月28日に、神奈川県横浜市港北区にある事業所にて、発売予定の新製品を紹介する「アルパイン新製品プレス発表会」を開催した。

 今回発表した製品は、車種専用スピーカーキットの「Metio Sound(メティオサウンド)」、車種専用カーナビ、ドライブレコーダー内蔵デジタルミラーなどで、車種ごとにオーナーの意見を積極的に取り入れることで使いやすさやフィティングの満足度向上を実現するものとなっている。

ルーフスピーカーを採用したメティオサウンド

いちばん左が比較のために置かれたジムニー純正スピーカー、中央がメティオサウンドのドアウーファー、右の2つはルーフスピーカー

 アルパインはカーオーディオの分野でも人気の高いブランドだが、今回の発表会では車種専用スピーカーを用いた新しいサウンド体験ができる「メティオサウンド」を公開。9月より販売を開始すると発表した。

 メティオサウンドは、スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」、トヨタ「ハイエース」、「ヴォクシー/ノア/エスクァイア(80系)」、三菱自動車「デリカD:5」「デリカミニ」、日産「セレナ(C28/C27)」用を設定。システム構成は5cmのルーフスピーカーに加えて、ドア部にウーファーが付く。さらにルーフスピーカーのレベルを調整するための専用ネットワーク、ルーフスピーカー取り付け用型紙とドアチューニング用のフェルトが同梱される。

 あまり遮音性の高くない車種の場合、ドア下部(乗員の足下)に付くスピーカーから鳴る音楽は、走行中に発生している騒音によってマスクされてしまうこともある。また、足下のスピーカーではそもそも「耳」からの距離や向きが音楽を聴くことに対して不利な条件でもあるのだ。

ジムニーを例としたカーオーディオ好きが感じる純正スピーカー取り付け部の課題について
ロードノイズの大きいクルマではドア下部のスピーカーは音の条件はよくない

 そこで前席の天井という頭(耳)の近くに小型のスピーカーを取り付けることで、ロードノイズに影響されにくくした。また、頭上から音が鳴るのは、これまでのカーオーディオで重視していたステレオ感ではなく、音に広がりが分かりつつ中高音が聴きやすい特性となり、その聞こえ方はアルパインの開発陣も高く評価しているという。

 それに加えて純正スピーカー取り付け部に、低音域の音を出すドアウーファーを組み込むことでさらに音の聞こえ方を向上させている。

 なお、ルーフライニングの裏に付けるため、ルーフが受ける日差しの熱によるスピーカーへの影響が気になるので確認したところ、熱対策を施したものを使っているので真夏であってもスピーカーおよび取り付けスペーサなど構成パーツに影響はないとのこと。

メティオサウンドによる音の広がりイメージ。試聴するとステレオ感ではなく音に包まれるような聞こえ方だった。この感覚は従来のカーオーディオにはなかったタイプで、アルパイン側もこれを「音が降り注ぐサウンド体験」と表現している
ネットワークが付属する。車種ごとに聞こえ方を最適化したレベルに設定されているが、ユーザーが好みで変更することも可能
メティオサウンドの設定車種

 ルーフライニングにはもともとスピーカーがないので、装着も容易ではない。とくにスピーカー位置が耳に近いだけに、取り付ける場所が数cmずれるだけで音の聞こえ方が変わってくるという。また、ルーフライニングとルーフ外板にクリアランスが必要という条件もあり、クリアランスがないとスピーカーが収まらなかったり、磁石がルーフ外板に付いてしまうそうだ。

 そこでメティオサウンドでは、アルパインが車種ごとにスピーカー取り付け位置をテストして最適な位置を割り出し、その場所へのフィッティングを確実に行なえるよう位置決め用の型紙を付属している。

 さらにスピーカーを固定するプレートなどの形状、サイズの設定にもこだわったことで、ルーフスピーカーを取り付けする際、ルーフライニングの取り外し作業を不要とした。これによりメティオサウンドの取り付け想定時間は1.5時間~2時間。取り付け工賃の予想は1万6000円くらい(工賃は1時間8000円で計算)という見込み。

ルーフスピーカーの取り付け位置はアルパインが徹底的にテストして最適な位置を設定済み。そこに正しく取り付けするための型紙が付属している
取り付けについての参考資料.ルーフライニングを外さないというところも特徴だ
メティオサウンドにはデリカミニ用もある。9月発売予定
デリカミニのスピーカー取り付け位置もアルパインがテストして決めたもの。型紙があるので取り付けの難易度は抑えられている。こちらもルーフライニングを外すことなく作業ができる
鳴り方のバランスを調整できる。デリカミニ後席スピーカーの取り付け位置とメティオサウンドのシステムとの相性はとくに優れていて、前席、後席それぞれでの音の聞こえ方の調整がしやすく、バランスを変える効果もはっきりしていた
デリカミニの後席純正スピーカー(メティオサウンドに後席スピーカーは含まれない)

ジムニー/ジムニーシエラ専用新製品

 ジムニー/ジムニーシエラ用の新製品として紹介されたのは専用デザインを採用した10型大画面カーナビ「ビッグX」と「ドライブレコーダー搭載デジタルミラー」。そして「メティオサウンド」である。発売予定は9月。

デモカーのジムニーシエラに装着された「ビッグX」「ドライブレコーダー搭載デジタルミラー」「メティオサウンド」

 ジムニーはボディ形状からフロントウインドウの高さがあまりない。特に中央部分はルームミラーとナビとの「出っ張り」によって、より狭くなっている。

 もちろん運転には何も問題ないが、画面の大きなディスプレイや大型ルームミラーを取り付けると、さすがにドライバー視界の狭さが気になってくるそうで、アルパインがオーナーイベントで大型ディスプレイを提案したところ、視界の狭さを指摘する声は多かったという。

 そこでアルパインは、純正ナビ取り付け部の下にあったデザイン用と思われるデッドスペースも取り付けスペースとして活用することで、10型という大画面ながらダッシュボード上部への飛び出しを抑えることに成功した。

 ビッグXに使用されるディスプレイは、10型大画面の高画質WXGA液晶。機能ではAppleCarPlayとAndroid Autoに対応。またamazon Alexaにも対応している。

 そのほか、CD、DVD、地デジといったメディアに対応し、サウンドについてもアルパインのノウハウを注いだハイクオリティサウンドになっている。

ジムニー/ジムニーシエラのフロントウインドウ。そそり立っていて高さがあまりない
純正ナビの下にあったスペースをビッグX用の取り付けスペースとして使っている
ナビサイズごとのフィッティングの違い
純正カバーとの比較
カバーは単純に大きくしただけでなくジムニーらしさを表現するため、四隅をヘックスボルトを見せつつ留めるという無骨さを表現したデザインにしてある
キチンとトルクを掛けた締め付けができる構造
利用したディスプレイ下側のスペースにスイッチ類を配置。照明色はジムニーのメーターなどの色にあわせたアンバーを再現している
ビッグXのオープニング画面はジムニーのフロントとロゴが展開する
オープニングのバリエーション
デザインだけでなく10型WXGA液晶、スマホ対応やハイクオリティサウンドなど機能面でも満足度が高いのがビッグXの特徴だ
キットにはビルトインのHDMI/USB端子が付属。ここも空きスペースを使いスマートに収まっている。こちらの照明色もアンバーで統一している
視界を犠牲にしない工夫はデジタルミラーでも行なわれている。ルームミラー取り付けアームを新たに製作。ミラー本体位置を上方および奥へ2.5cm移動することでミラーの見やすさを確保したまま大型化。フロントウインドウの視界幅も確保した
取り付けキットを使った実際の取り付け状態
ジムニー/ジムニーシエラ用のドライブレコーダー搭載デジタルミラー(改良版・10型)は2024年9月発売予定。フルHD、フルラミネートディスプレイを使い、映像の色の再現性を向上させている。ドラレコとしては常時録画、衝撃T録画の機能を持ち、手動録画と駐車録画の機能も持っている

ハイエース専用新製品

 ハイエース用には、11型大画面カーナビ「パーフェクトフィットビッグX」と「メティオサウンド」。そしてワイドボディ専用のOPTMサウンドシステム「OPTM8-HIW」が発表された。それぞれの発売予定は「パーフェクトフィットビッグX」と「メティオサウンド」が6月。「OPTM8-HIW」が6月下旬となっている。

「パーフェクトフィットビッグX」と「メティオサウンド」などが付いたハイエース スーパーGLの車内

 ハイエース専用の「パーフェクトフィットビッグX」は11型WXGA液晶/FM・AMチューナー/Bluetooth/HDMI/AppleCarPlay/AndroidAuto/AmazonAlexaに対応していて、特徴はフィッティングのキレイさだ。

 従来から発売している「フローティングビッグX」は、画面こそ大きくて見やすいが、ダッシュボードとディスプレイの間にすき間ができていた。

 そこでよりスタリッシュな仕上げを求める声に応えるため、ディスプレイ裏側とダッシュボードの隙間を埋める専用パネルを追加。これはスーパーGL専用だが、ワイドボディには別途カバー(左側用)を使うことでスーパーGL同様にキレイなフィットを実現している。

ハイエース スーパーGL専用の「パーフェクトフィットビッグX」。こちらは9月発売予定
従来のフローティングビッグX。ディスプレイの見やすさは問題ないがダッシュボードとの隙間があった
専用パネルで覆ったのが「パーフェクトフィットビッグX」
ワイドボディにも対応するようアタッチメントパーツを用意している
ワイドボディのダッシュボードはディスプレイ部の横にもの入れがある。そのためもの入れ側にアタッチメントが必要になる
パノラミックビュー対応車用の「フローティングビッグX」も新発売。11型WXGA液晶/FM・AMチューナー/Bluetooth/HDMI/AppleCarPlay/AndroidAuto/AmazonAlexaに対応。こちらもスーパーGL専用で9月発売予定
8チャンネル DSP パワーアンプ/ルーフスピーカー(前席ルーフ+後席ルーフ)/ドアウーファー/取り付けキットによるOPTMサウンドシステムにハイエースワイド用が設定された。こちらはスマホアプリで音響チューニングが可能、発売は6月下旬予定
ハイエース専用メティオサウンド。ロードノイズが大きいハイエースでもメティオサウンドは有効。5cmルーフスピーカー/16.5mドアウーファー/専用ネットワーク/取り付けキットの構成。9月発売予定
5月発売のサウンドクリアビジョン。2列目をリスニングポジションとするキット
取り付けキットが含まれるハイエース専用パッケージとしてデジタルミラーも設定
40系アルファード/ヴェルファイアは純正オーディオのセッティング機能が限定されているため、オーディオ好きのユーザーからは不満の声も聞こえた。そこでリフトアップ3ウェイスピーカーを設定
このリフトアップスピーカーは30系アルファード/ヴェルファイアでも好評だったアイテムで40系用は7月に発売予定
スピーカー格納状態。アルファードやヴェルファイア専用で、スピーカー形状やベゼルのデザインも凝ったという
クルマの電源を入れるとせり上がってくるギミック

 新たなコンセプトの「メティオサウンド」は、ノイズの多さやスピーカー取り付け位置の関係からハイエースや軽自動車など、音楽を聴くには課題の多かった車種にとって画期的と言えるので、設定車種に乗っている人はぜひ注目してほしい。そしてアルパインに対しては車種設定の拡大も期待したいところだ。