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川崎重工、国際航空宇宙展2024で水素直列6気筒エンジンなど展示 将来的にはV型12気筒も構想

川崎重工が国際航空宇宙展2024で展示した水素直列6気筒エンジンのモックアップ。青いヘッドカバーが水素を象徴する

水素燃料直列6気筒エンジンのモックアップを展示

 国際航空宇宙展が10月16日~19日の4日間にわたって東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催されている。16日~18日は業者や関係者向けのトレードデー、19日はトレード・パブリックデーとして一般入場者(有料)も入場可能になる。

 多くの航空・宇宙・防衛産業が出展しているが、オートバイなどで知られる川崎重工業も出展。ドクターヘリなどの展示のほか、水素燃焼エンジンへの取り組みも展示している。

エンジンの用途としては、セスナや大型ドローンを想定

 とくに興味深かったのは、モックアップが展示されていた水素燃焼エンジン。すでに川崎重工は世界最速とも言われるバイク「H2」のエンジンを使用した水素燃焼エンジンを公開しているが、今回展示されたエンジンは、ガソリン、e-Fuel、水素とマルチな燃料での利用を睨んだプラットフォームになる。

 1つのエンジンですべての燃料に対応というものではなく、将来的な燃料の変化に合わせて同じ設計思想で対応しようというもの。当初は、ガソリンを燃料とする直列4気筒、直列6気筒をラインアップ。2030年ごろからはe-Fuelや水素対応バージョンを用意していこうとしている。

 モックアップとして展示された水素燃焼直列6気筒エンジンは、76×76mmのボア×ストローで排気量は2070cc。8500rpmを許容し、離昇出力は280kW(380PS)。定格出力は221kW(300PS)としている。

水素エンジンの想定仕様

 用途としては、セスナに代表される小型航空機、長距離を飛ぶドローンなどで、とくにドローンにおいては電動よりも航続距離に優れ、重さを考えても競争力はあるという。

 将来構想としては、4.5リッター直列6気筒や9.0リッターV型12気筒も視野に入れ、それぞれハイブリッド用、ターボチャージド、自然吸気と3タイプをラインアップ。9.0リッターV型12気筒ターボチャージドエンジンでは1000kW(1360PS)という仕様が記されていた。

エンジンの開発ロードマップ
エンジンの将来構想。V型12気筒9.0リッターまで視野に入れている