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ブリヂストン、使用済みタイヤから“新品並のカーボンブラック”を生成する共同プロジェクトを発足
2025年1月29日 11:39
- 2025年1月27日 発表
ブリヂストンは1月27日、東海カーボン、九州大学、岡山大学と共同で、使用済タイヤなどのゴムを含む高分子製品から取り出した再生カーボンブラック(recovered Carbon Black、以下、rCB)を二次処理し、石油・石炭由来の新品カーボンブラック(virgin Carbon Black、以下、vCB)並のゴム補強性を持つカーボンブラック(eco Carbon Black、以下、eCB)を生成するための技術開発プロジェクトを開始したと発表した。
このプロジェクトは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2などを用いたプラスチック原料製造技術開発(追加公募)」に2024年12月23日に採択された実証事業「使用済みタイヤを含む高分子製品からのカーボン再利用技術の開発」の一環として実施されるもの。
すでに、使用済みタイヤなどのゴムを含む高分子製品を熱分解し、rCBを回収・再利用する取り組みは行なわれているが、rCBには多くの不純物が含まれていることなどから、タイヤへの活用には、vCBと比較してゴム補強性の面で課題を抱えているほか、使用済みタイヤの多くはサーマルリカバリー(熱回収)によって燃料として有効利用されているが、その際にCO2排出を伴なうことが課題となっていた。
そこでこの共同プロジェクトでは、東海カーボンがカーボンブラック製造を通じ培ってきた技術・ノウハウと、ブリヂストン、九州大学、岡山大学が持つ各々の知見や技術を融合させることで、rCB内の不純物などを除去し、高いゴム補強性を持つeCBを生成する技術を開発し、2032年度までにeCBを年間5000t生産する実証プラントの稼働を目指すとしている。
また、使用済タイヤを熱分解せずにカーボンブラックの再利用を可能とする特殊ポリマー/特殊カーボン複合体の開発にも取り組み、これらの取り組みを通じて、限りある資源の高度なリサイクルの実現を目指すとともに、カーボンブラックの生産や使用済タイヤの処理に伴なうCO2排出量の削減を図るとしている。
各組織の役割
東海カーボン:rCBをeCBに二次処理するための技術開発および設備開発
ブリヂストン:eCBを使用したゴムの物性評価、タイヤ実用性評価
九州大学:eCBの表面状態観測と評価、ゴム補強メカニズム解明
岡山大学:特殊ポリマー/特殊カーボン複合体開発