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トヨタ、“ジャパンカラーセレクション”の12色を全車展示した「クラウン」発表会

2.0リッター直噴ターボやボディーの剛性強化などによる走りの魅力をアピール

2015年10月1日開催

 トヨタ自動車は10月1日、同日にマイナーチェンジを行った「クラウン アスリート」「クラウン ロイヤル」について解説する記者発表会を都内で開催した。新しいクラウン アスリートの価格は388万円~610万円、クラウン ロイヤルの価格は373万~590万6000円。このほかのバリエーションや装備などの詳細については関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151001_723704.html)を参照していただきたい。

クラウン アスリート G-T

発表会では開発に携わったトヨタ自動車 製品企画本部 チーフエンジニア 秋山晃氏(左)、モータージャーナリスト 菊谷聡氏の2人によるトークセッション形式で進行
トヨタ自動車 製品企画本部 チーフエンジニア 秋山晃氏

 東京・お台場のメガウェブで行われた発表会では、開発に携わったトヨタ自動車 製品企画本部 チーフエンジニア 秋山晃氏に加え、ゲストとしてモータージャーナリストの菊谷聡氏が登壇。2人によるトークセッション形式でマイナーチェンジした新しいクラウン アスリートとクラウン ロイヤルについて紹介された。

 秋山チーフエンジニアは1954年に誕生したクラウンが、一貫して日本国内専用車として進化を続けてきた歴史について紹介。新しい2モデルも日本専用開発車として、日本のユーザーの使い方、日本の道路事情に合わせて開発を行ったことで、上級クラスとしての少し大きめなボディーサイズでも取り回しでユーザーが困らないよう、5.2mの最小回転半径を実現していると解説。これはプリウスやオーリスと同じ数値で、狭い路地や駐車場などでも気を使うことなく、パレットの小さめな立体駐車場でもタイヤをこすりつけずに済むようにこだわっていると語った。

 また、菊谷氏から欧州でも主流となってきている“ダウンサイジングターボ”をクラウンに採用した理由について問われ、「日本では信号待ちが多くて渋滞も頻繁に起きるので、ストップアンドゴーが大変多いという環境になります。この場合ではハイブリッドのほうが燃費を高めやすくなります。しかし、クラウンのような高級車にお乗りのお客さまは、燃費を求める一方で余裕のある走り、気持ちのよい加速を求められる人も多いのです。そういった観点で、加給を行うダウンサイジングターボという選択肢が生まれてきました」と秋山チーフエンジニアは回答している。

 さらに秋山チーフエンジニアは、新しいエンジンの投入に合わせてボディーやサスペンションなどに改良を行っていることを紹介。クルマ造りではトータルバランスが大切であると語り、構造用接着剤の採用やボディー接合部のスポット溶接の増し打ちなどを実施していることを明かした。これらは日本の道に合わせた最適な乗り心地や静粛性、軽快なハンドリングなどを追究していくための施策で、さらにサスペンションでは、クラウンの伝統であるサスペンションアームの剛性も路面からの入力に使う「いなし効果」の思想をさらに進化させていると紹介。足まわりを引き締めて旋回中の安定性を高め、ステアリング操作に対する応答性を向上させているが、一方で路面からの小さな入力を吸収して微振動を抑える新開発ブッシュの採用により、乗り心地も犠牲にしていないと解説した。

最小回転半径はプリウスなどと同様の5.2mを実現
直列4気筒 2.0リッター直噴ターボの「8AR-FTS」エンジンは、最高出力173kW(235PS)/5200-5800、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1650-4400rpmのパワーと13.4km/L(JC08モード)の燃費を両立
クラウンシリーズでは必要に応じてサスペンションアームがねじれることで路面からの入力を吸収。上質な乗り心地を実現している
足まわりがしっかりと働けるよう、ボディー剛性を徹底的に強化。これによって上質な乗り心地と俊敏なフットワークが生み出される
走行性能でスポーティーさを高めつつ、乗り心地もきちんとキープしているという

 また、この発表会に先立って新しい2モデルに試乗したという菊谷氏は、「発表前ということで、富士スピードウェイのショートコースでの試乗だったのですが、クラウンらしいなめらかで上質な走りと合わせて、コーナーをちょっと速めのスピードで走っても、思いどおりのクルマが動いて、安定して安心したコーナーリングが印象的でした」「思いどおりに動く新しいクラウンですが、とくに2.0リッターターボの印象がよかったです。爽快な加速感で、あらゆる速度域でアクセル操作に俊敏に反応します。ターボというと、私も古い人間なもので、ある瞬間から突然加給が始まるイメージもあるんですが、これはそうではなくて、デリケートに、フラットトルクで扱いやすいと感じました」と新しいクラウンを運転した印象について述べている。

モータージャーナリスト 菊谷聡氏
発表会の冒頭で壇上に置かれたクラウン アスリートをアンベール
秋山チーフエンジニアはマイナーチェンジのポイントとして、フロントマスクの意匠変更や世界初採用した「ITS Connect」についても解説

 このほかに秋山チーフエンジニアは、今回のマイナーチェンジで注目してほしいポイントとして、クラウン アスリートにオプション設定した「ジャパンカラーセレクションパッケージ」について紹介。マイナーチェンジ前にもクラウン アスリートでは「ピンク」「空色」「若草色」といった大胆なボディーカラーを提案してきたが、今回は日本専用というクラウンのイメージを訴求するため、「茜色(アカネイロ)」「常盤色(トキワイロ)」「群青(グンジョウ)」など日本の伝統色の名前をサブネームとして与えられた12色のボディーカラーが用意され、さらにセットオプションとして「白」「黒」「こがね」という3種類の内装色をラインアップ。オプション価格は27万円~55万6200円とかなり高額だが、さまざまなカラーリングを選んで楽しめるようになっている。

 この「ジャパンカラーセレクションパッケージ」について秋山チーフエンジニアは「日本ほど四季の移り変わりによって景色が変化し、これを楽しめる国はほかにありません。そんな日本ならではの四季や時の移り変わりを表す色をセレクトして12色をオプション設定しています」と解説。またこれについて菊谷氏も「きれいな色で、またネーミングもすごく日本らしい表現でよいですね」とコメントしている。

 発表会の展示では、この「ジャパンカラーセレクションパッケージ」12色が全色展示されており、10月2日~2016年1月末まで会場となったメガウェブでは「ジャパンカラーセレクションパッケージ」の6色を含む新しいクラウン アスリートとクラウン ロイヤルを計12台、さらに同日に一部改良を行ったクラウン マジェスタ1台を特別展示する予定。

「茜色」「常盤色」「群青」「紅」など、日本ならではの繊細な色域の12色をボディーカラーとして設定する「ジャパンカラーセレクションパッケージ」。内装色も通常設定に3色を追加し、多彩な選択肢を提供する
「紅(クレナイ)」
「仄(ホノカ)」
「茜色(アカネイロ)」
「天空(ソラ)」
「群青(グンジョウ)」
「紺碧(アオ)」
「白夜(ビャクヤ)」
「翡翠(ヒスイ)」
「常盤色(トキワイロ)」
「胡桃(クルミ)」
「黒曜(コクヨウ)」
「白光(ビャッコウ)」
メガウェブでは2016年1月末まで「茜色」「翡翠」「白光」など6色の「ジャパンカラーセレクションパッケージ」仕様クラウン アスリートを展示予定
発表での紹介や展示はターボエンジンモデルの追加、「ジャパンカラーセレクションパッケージ」の設定などのあるクラウン アスリートが中心となったが、クラウン ロイヤルでもフロント&リアの外装デザイン変更やボディー骨格強化などを実施している。写真の車両はクラウン ロイヤル G i-Four
スーパークロームメタリックII仕上げの17×7Jアルミホイール+215/55 R17タイヤはクラウン ロイヤル全車にオプション設定
クラウン アスリートに追加されたターボエンジンモデルでは、カラーリングを切削加工&ガンメタリック塗装の2トーン仕様で軽快さを表現する新デザインアルミホイールを装着。タイヤサイズは215/55 R17
フロントマスクの変更点は、クラウン アスリートはフロントグリルを取り囲んでいたメッキグリルをヘッドライト近くで分割。ラインに変化を与え、ヘッドライトからフロントフェンダーまで連続するイメージを演出している。クラウン ロイヤルはアンダーグリルの位置を下げたほか、アンダーグリルから両サイドのフォグランプベゼルを取り囲むような形状のメッキ加飾を追加。ワイド感の演出によって安定感を表現している
新たに「Bi-Beam LEDヘッドランプ」を全車に標準装備。ライトユニット内のスモールランプは、従来の上部外側から中央に伸びるラインに加え、並行して中央から下部内側にL字に続くライトを追加。さらに2つのスモールランプのあいだにLEDデイライトを新設している
LED仕様のリアコンビネーションランプは、従来は円形に連続するスタイルだったが、円柱状の灯火が連続するデザインに変更されたほか、内部のメッキで前後に光を反射させて奥行きがある見え方になるよう工夫。実際にはユニットの厚さは、トランク容量を少しでも拡大できるよう必要最低限に止めている。デザインのイメージは、ジェットエンジンのアフターバーナーで炎が伸びる光景とのこと
「ジャパンカラーセレクションパッケージ」のなかで、「紺碧(アオ)」のサブネームが与えられた「ダークブルーマイカ」は新規開発色となっている。クラウンに求められるフォーマルな場面での適応性を備えつつ、塗装内に赤い要素を多く使い、情感豊かな見え方を追究している。なお、クラウンシリーズのボディー塗装では、全色で表面の小さな傷を温度変化を利用して自己修復する「セルフリストアリングコート」を採用している
ルームミラー前方に設置された「アダプティブハイビームシステム」(AHS)の光検出用カメラ
「プリクラッシュセーフティシステム」や「レーダークルーズコントロール」で使用されるフロントグリルのミリ波レーダーセンサー
新設定された直列4気筒 2.0リッター直噴ターボの「8AR-FTS」エンジン。最高出力173kW(235PS)/5200-5800、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1650-4400rpmを発生。縦置きレイアウトとなっている
クラウン ロイヤルのドアトリム。G系グレードは「手動式リヤサンシェード」を標準装備
サンシェード後方の斜めになっている部分は、ピラーに内蔵するマグネットでサンシェードを固定する
クラウン ロイヤルのインパネ
クラウン ロイヤルの茶木目加飾パネルは新デザインの格子柄入りに変更された
大型2眼式のメーターパネル。中央に4.2インチのTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを設置
8型の高精細ディスプレイを持つSDナビゲーションシステムは新たにBlu-rayディスクの再生に対応。インパネ中央下側にある「トヨタマルチオペレーションタッチ」は空調操作と車両設定操作を切り替え表示する
クラウン ロイヤルのファブリックシートは表皮に金箔を散らしたようなパターンを追加。和風のテイストで上質感を表現している
リアシートには大型センターアームレストを設定。G系グレードではリッド付きの収納ボックスと各種コントロールスイッチを備える
コントロールスイッチではオーディオ類に加え、G系グレードに標準装備する「電動式リヤサンシェード」を操作可能
「リヤコンフォートパッケージ」をオプション装着した場合、シートバック角度を電動調整できるようになる
「ジャパンカラーセレクションパッケージ」で追加設定されるインテリアカラー「白」
「ジャパンカラーセレクションパッケージ」で追加設定されるインテリアカラー「こがね」

(編集部:佐久間 秀)