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【GTC2014】NVIDIA、Tegra K1搭載の開発キット「JETSON TK1」の予約販売開始

日本では菱洋エレクトロが取り扱い。特に自動車向けに特化した「JETSON PRO」も用意

JETSON TK1を手に取るNVIDIA社長兼CEO ジェンスン・ファン氏
2014年3月25日発表(現地時間)

 半導体メーカーであるNVIDIAは3月24日~27日まで、GPU(Graphics Processing Unit )に関するイベント「GTC(GPU Technology Conference) 2014」を米国サンノゼで開催している。その2日目となる25日、Tegra K1搭載の開発キット「JETSON TK1」の予約販売を開始することを発表した。

JETSON TK1を発表
すでに予約販売が開始されている
JETSON TK1の開発レイヤー

 Tegra K1は、CPUとして32bitのクアッドコア(4コア)と、GPUとしてKepler(ケプラー)アーキテクチャのCUDAコアを192個搭載するモバイル向けSoC(System on Chip)。今後CPUに64bitのデュアルコア(2コア)を搭載するバージョンも加わる。スーパーコンピュータと同様のKeplerアーキテクチャCUDAコアを搭載することから、同社ではモバイル分野に高い演算能力と、スーパーコンピュータとシームレスな開発環境をもたらす製品としている。

JETSON TK1に搭載するTegra K1の演算能力
2015年にはTegra K1の後継製品となるErista(開発コードネーム)も登場する

 今回発表されたJETSON TK1は、そのTegra K1を、2GBメモリ、16GB eMMC、Gigabit Ethernet、USB 3.0、SD/MMC、miniPCIe、HDMI 1.4、SATA、Line out/Mic in、RS232 シリアルポート、追加ディスプレイ用の拡張ポート、GPIO、高帯域幅のカメラインターフェースなどを持つJETSONベースボードに搭載したもの。電源とケーブル、Micro USB-USBケーブルや、CUDA、OpenGL 4.4、NVIDIA VisionWorks ツールキットなども付属する。

 従来のJETSONは主に車載向け開発キットとされていたが、このJETSON TK1では、コンピュータビジョン、ロボット工学、薬品、医学用の開発も視野に入れている。価格は北米価格で192ドルとなっており、すでに北米向けの予約販売が開始されている(出荷は4月を予定)。日本では価格は公開されていないものの、菱洋エレクトロで予約販売の受け付けを開始している。

●Buy Jetson TK1 Development Kit(英語)
https://developer.nvidia.com/jetson-tk1

●Jetson TK1 開発キット(日本語)
http://www.nvidia.co.jp/object/jetson-tk1-embedded-dev-kit-jp.html

JETSON TK1には、開発ツールキットとして「VisionWorks」が用意される
開発環境も多機能なものだという
JETSON TK1の利用想定分野。カメラインターフェースを最初から装備しているため、画像関連処理の開発が容易に行えるようになっている
JETSON TK1のブロックダイヤグラム。多数のインターフェースを持っているのが分かる
JETSON TK1のインストールデモ。リモートでJETSON TK1を動かしている
JETSON TK1の販売Webページ。北米在住であれば、すぐに申し込み可能だ
動作中のJETSON TK1。右が電源部、左は主に外部インタフェース
JETSON TK1のファンを取り外した状態。このボードはサンプルボード
JETSON TK1に搭載されたTegra K1
JETSON TK1の背面写真

 また、より車載向け開発に特化した「JETSON PRO」も用意。こちらは車載開発がしやすいよう1DINのフォームファクターを採用するほか、デジタルメーターパネル開発用のキットも含まれている。

アウディの自動運転車も、Tegra K1の演算能力によって実現されている。少なくとも演算の心臓部については、約2万円で同じものが手に入る

【お詫びと訂正】記事初出時、Tegra K1搭載の自動車業界向け開発キットを「JETSON TK1 PRO」としておりましたが、正しくは「JETSON PRO」となります。このJETSON PROでは、Tegra K1がTegra VCMというドーターカードに実装された形で搭載されます。

(編集部:谷川 潔)