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NVIDIA、「自動車業界で活用されるGPUコンピューティング」を解説

次期「ゴルフ」にTegraを搭載

「自動車業界で活用されるGPUコンピューティング」と題した講演の模様
2013年2月6日実施

 NVIDIAは2月6日、「自動車業界で活用されるGPUコンピューティング」と題した講演を報道陣向けに実施した。GPUコンピューティングとは、グラフィックスカードなどに搭載されているGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を、本来の画像処理技術ではなく、CPUの演算処理を高速化するために活用することを指す。

NVIDIAマーケティング本部 林憲一部長

 NVIDIAマーケティング本部 林憲一部長は、2010年11月にスーパーコンピュータとして世界ナンバー1になった中国の天河1号Aや、2012年11月にナンバー1になったTITANに搭載されたGPU(NVIDIAのTesla)は、その性能の90%近くを負っていると言う。そのような計算能力の高いGPUの活用が、自動車産業で進んでいる。

 GPUを、グラフィックス処理ではなく、汎用演算に用いるGPUコンピューティングでは、GPUに搭載している大量のコアで浮動小数点演算を並列に作業させることで、演算時間の短縮化を図っている。そして、CPUを増やさずに性能向上させることで、CPUのコア数に応じてかかっているライセンス料の削減といったメリットを享受できる。

 実際の自動車開発のプロセスの中では、デザインサイクルをいかに短くするかという課題はもちろん、現在要求される衝突安全のシミュレーションも複雑化の一途をたどっており、それらへの対応が迫られている。また、GPUを活用することで、コンピューティング作業の消費電力や設置面積の削減といった要求に応えることができるとし、GPUを導入をしてもそれに見合う以上の価値があると語った。

NVIDIAについて
最新のGPUであるGeForce GTX 680に搭載されているコア数
Tegra 3はクアッドコアを搭載し、日本製のスマートフォンなどにも採用されている
マイクロソフトのSurfaceや、グーグルのnexus 7もTegra 3搭載機

 林氏は、究極の目標として、空力などの現実の物理現象や、内外装に使われるリアルな素材を考慮した、完全なリアリティベースのデザインを実現したいと言う。

 NVIDIAのモバイル用SoCである「Tegra」が耐熱性や長い耐用年数といった課題をクリアした上で、車載用に次期フォルクスワーゲン「ゴルフ」やテスラ「モデルS」などに採用された事例を紹介。CGを利用したデジタルメーターや、ナビゲーションシステムなど、さらに搭載されるケースも増えるとみている。そのほか、画像処理を得意とするNVIDIAは、運転支援システムにも同社の技術が有効という。近い将来、NVIDIAの技術が多くの車両に搭載されていくことだろう。

次期ゴルフに搭載が決まっているとのこと
Tegraが実現するインフォテイメントシステム
デジタルメーター。今後採用が進むと見られている分野
CPUにGPUを加えることで、計算能力が上がる
Teslaを使った最速スーパーコンピューターの構成例
東工大のスパコン
自動車の開発プロセスを短縮していく
リアルタイムレンダリングにより、レビュー作業なども短くなる
リアリティベースデザインを目標としている
今後は運転支援システムにも同社の技術が使われていくと言う

(青山義明)