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2014 SUPER GT 第1戦 岡山は37号車 KeePer TOM'S RC Fがデビュー戦で優勝

GT300クラスは4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4がBMW同士の争いを制す

2014年4月6日決勝開催

 4月6日、岡山国際サーキット(岡山県美作市)で2014 AUTOBACS SUPER GT 第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝レースが開催された。レギュレーションの変更で新型マシンとなったGT500クラスは、37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)が記念すべきデビュー戦の優勝を勝ち取った。GT300クラスは4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)が7号車 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒聖治)とのBMW同士の争いを制して優勝した。

GT500クラスで優勝した37号車 KeePer TOM'S RC F

 全国的に真冬並みの寒気と不安定な天気となったこの週末は、岡山国際サーキットも何度もアラレ混じりの雨が短時間に降るという不安定な天候となった。決勝日朝のウォームアップ走行もアラレ混じりの雨に見舞われたが、決勝がスタートした14時には天候が回復して晴れ、ドライコンディションでレースが始まった。

GT500クラス

 ウォームアップ1周、フォーメーションラップ2周のあとにレースがスタート。ポールポジションの6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也)がトップをキープ、予選2位、3位の12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)と46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲)がこれに続いた。

1周目、バックストレッチエンドのヘアピンは6号車、12号車、46号車の順で進入

 オープニングラップのリボルバーで、4位を争っていた36号車 PETRONAS TOM'S RC F(ジェームス・ロシター)と23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)が接触してスピン。早々に戦列から去ってしまった。

4位争いをする36号車と23号車は、ヘアピンに続くリボルバーで接触してスピン

 2周目の1コーナーでもアクシデントが発生。2位を走る12号車 カルソニックIMPUL GT-Rのインに飛び込んだ46号車 S Road MOLA GT-Rのラインがふくらみ、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rはグラベルに押し出された。すぐにコースに戻るが、37号車 KeePer TOM'S RC F(アンドレア・カルダレッリ)に抜かれて5位に後退。12号車 カルソニックIMPUL GT-Rはその周のアトウッド、ヘアピンと果敢に攻めるが順位を上げることはできなかった。3位に浮上した37号車 KeePer TOM'S RC Fは上位との差を徐々に縮め始める。

後方のアクシデントもあり、6号車は2周目に独走態勢となった。2位の46号車も単独走行
5位に落ちた12号車は37号車に食い下がり、ヘアピン進入で2台は軽く接触
37号車は12号車を引き離して3位をキープ。ここから上位との差を縮めていく
序盤は6号車の独走態勢が続いた

 その後、18周目あたりから雨が降り始めた。雨足は徐々に強まり、アラレ混じりの雨は22周目あたりで激しくなってウェット路面となった。SUPER GTのルールでは、1人のドライバーが周回できるのは規定周回数の2/3以下となっている。このレースの周回数は82周なので、ルーティーンのピットインができるのは1/3の28周目以降となる。それまでにピットインしてレインタイヤに交換すると、もう1度ドライバー交代のためにピットインをする必要があり、できれば28周目まではタイヤ交換をせずにコースにステイしたいところだ。

 上位陣で雨の影響を大きく受けたのは、ミシュランタイヤを履く46号車 S Road MOLA GT-R。20周目のモスSで37号車 KeePer TOM'S RC Fに抜かれて3位に後退。さらに最終コーナーでGT300クラスのマシンに引っかかり、コーナー立ち上がりの加速が鈍ったところを12号車 カルソニックIMPUL GT-Rに突かれ、21周目の1コーナーで4位に後退した。たまらず27周を待たずにピットインしてレインタイヤに交換。ドライバーは交代せずに13位でコースに復帰した。

 一瞬、激しく降った雨はすぐに小康状態となり、24周目には青空が広がり日差しも戻ってきた。46号車 S Road MOLA GT-Rのタイヤ交換は裏目に出て、すぐにスリックタイヤに交換。これで優勝争いから脱落した。

 2位に浮上した37号車 KeePer TOM'S RC Fはトップの6号車 ENEOS SUSTINA RC Fとの差を詰め、27周目にはテール・トゥ・ノーズの争いに持ち込んだ。何度かアタックを仕掛けたが、抜くまでにはいたらず36周目にピットイン。ルーティーンのピットインを済ませてコースに復帰した。

37号車が6号車に肉薄する

 トップの6号車 ENEOS SUSTINA RC Fは次の周にピットイン。コースに復帰すると順位は変わらず、さらにテール・トゥ・ノーズだった事実上のトップ争いは8秒ほどの差に広がった。だが、37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔)の方が6号車 ENEOS SUSTINA RC F(国本雄資)よりペースが速く、タイム差は徐々に縮まって45周目には1秒以下の争いとなった。

ピットアウト後は大きな差となったが、徐々に差が縮まり始める
6号車と37号車は再びテール・トゥ・ノーズの争いとなった

 僅差のトップ争いは10周近く続いたが、55周目のバックストレッチで6号車 ENEOS SUSTINA RC Fが失速。ギヤが4速から抜けなくなるトラブルが発生して守り続けたトップの座を明け渡した。このトラブルはダブルヘアピンには治まり、次の周にはペースを回復。その後は再発することもなく、残り25周はトップを追う形となった。

6号車のトラブルで37号車がトップに浮上

 上位2台の差は徐々に縮まったが背後に迫ることはなく、37号車 KeePer TOM'S RC Fが逃げ切って新時代のSUPER GT開幕戦を優勝で飾った。アンドレア・カルダレッリ選手はSUPER GT初優勝。2位は一瞬のトラブル発生で優勝を逃した6号車 ENEOS SUSTINA RC F。序盤のコースオフから粘り強く走行を続けた12号車 カルソニックIMPUL GT-Rが3位表彰台を獲得している。

37号車がそのまま逃げ切ってチェッカーを受け、開幕戦を制した
2位の6号車 ENEOS SUSTINA RC F
3位の12号車 カルソニックIMPUL GT-R

GT500クラスの順位

1位 37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)
2位 6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資)
3位 12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
4位 39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(石浦宏明/オリバー・ジャービス)
5位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/ジャン・カール・ベルネ)
6位 17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘)
7位 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
8位 8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮)
9位 100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀)
10位 46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝)
11位 19号車 WedsSport ADVAN RC F(脇阪寿一/関口雄飛)
12位 24号車 D'station ADVAN GT-R(ミハエル・クルム/佐々木大樹)
13位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)
14位 1号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平)
15位 32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット)

GT300クラス

GT300クラスで優勝した4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4

 GT300クラスはポールポジションからスタートした31号車 OGT Panasonic PRIUS(新田守男)の加速が鈍く、1コーナーの進入で予選2位の4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(片岡龍也)がアウトから並びかけ、立ち上がりでトップに浮上した。

1周目のバックストレッチエンド。トップに浮上した4号車に31号車、55号車、7号車、11号車が続いた

 トップを争う2台が徐々に後続を引き離し、3位争いは11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)が制し、話題の7号車 Studie BMW Z4(荒聖治)がこれを追う形となった。

3位を争う11号車、55号車、7号車
11号車が3位争いから抜け出した
序盤は4号車と31号車がトップ争いを見せた

 前出の雨が降り出すと、ダンロップタイヤを履く11号車 GAINER DIXCEL SLSが上位との差を縮めた。17周目には2位の31号車 OGT Panasonic PRIUSとの差を1秒以下とし、雨が激しくなった20周目のアトウッドで31号車 OGT Panasonic PRIUSを抜いて2位に浮上。ダブルヘアピンで4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4も立て続けに抜きトップに浮上した。11号車 GAINER DIXCEL SLSはそのままの勢いで後続を引き離し始める。

雨が降り出すと11号車がトップ争いに加わった
11号車がトップに浮上

 7号車 Studie BMW Z4も雨に乗じて2位争いに加わる。22周目のバックストレッチで31号車 OGT Panasonic PRIUSを抜き3位に浮上。抜かれた31号車 OGT Panasonic PRIUSは直後にダブルヘアピンで停止し、そのままリタイヤとなった。

 雨が止むとトップに立った11号車 GAINER DIXCEL SLSと2位の4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4のタイム差が縮まり始め、テール・トゥ・ノーズの争いとなった。15周に渡りトップを守った11号車 GAINER DIXCEL SLSだったが、35周目の1コーナーで4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4に抜き返される。さらにバックストレッチで左前輪がタイヤバースト。スロー走行でなんとかピットまで戻り、ルーティーンのピットインを済ませて14位でコースに復帰した。

11号車は左前輪がバースト

 トップに返り咲いた4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4は40周目にピットイン。左側2輪だけをタイヤ交換する奇策で静止時間を短縮し、コースに復帰した。2位の7号車 Studie BMW Z4は45周目にピットイン。こちらも左側2輪のタイヤ交換で対抗。コース上で最後の争いに臨んだ。

 トップ争いをする4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝)と7号車 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー)の差は徐々に縮まったが、残り周回数とタイム差を冷静に計算し、稼いだ貯金を切り崩しながら最後は0.329秒差でチェッカー。BMWが1-2フィニッシュを飾った。また、タイヤバーストで順位を落とした11号車 GAINER DIXCEL SLSがポジションを回復し、3位表彰台を獲得している。

4号車と7号車は並んでチェッカーを受けた
2位の7号車 Studie BMW Z4
3位の11号車 GAINER DIXCEL SLS

GT300クラスの順位

1位 4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)
2位 7号車 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒聖治)
3位 11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)
4位 3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ルーカス・オルドネス)
5位 65号車 LEON SLS(黒澤治樹/峰尾恭輔)
6位 55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)
7位 86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(細川慎弥/山西康司)
8位 21号車 Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン/藤井誠暢)
9位 0号車 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀)
10位 10号車 GAINER Rn-SPORTS SLS(植田正幸/山内英輝)

 次戦は5月3日~4日に富士スピードウェイでシーズン第2戦が開催される。

(奥川浩彦)