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2014 SUPER GT 第6戦「43rd International SUZUKA 1000km」GT500クラス決勝リポート

ポールポジションから終始安定した走行で36号車 PETRONAS TOM'S RC Fが今季初優勝

2014年8月31日決勝開催

 8月31日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で2014 AUTOBACS SUPER GT 第6戦「43rd International SUZUKA 1000km」の決勝レースが開催された。ポールポジションからスタートした36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)が終始安定した走行で1000kmを走りきり、今季初優勝を飾った。

優勝した36号車 PETRONAS TOM'S RC F

 シリーズ最長の1000km(173周)で争われる第6戦「43rd International SUZUKA 1000km」は、通常のシリーズ戦とは異なる点がある。まずは獲得できるポイント。通常のレースでは1位20点、2位15点、3位11点と続き10位で1点だが、このレースは1位25点、2位18点、3位13点と続いて10位でも2点と通常より多くのポイントが獲得できる。レース距離が通常の300kmより3倍以上となり、第3ドライバーを起用するチームもある。また、4回のピットインが義務付けとなっている。173周を4ピット5スティントで刻むと1スティントは34~35周、5ピット6スティントにすると28~29周ごとにピットインとなる。

 スタートはポールポジションの36号車 PETRONAS TOM'S RC F(ジェームス・ロシター)がトップをキープ。予選2位の17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大)、予選3位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)も順位をキープした。

スタートは36号車、17号車、23号車の順

 オープニングラップのダンロップコーナーで、100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史)が1号車 ZENT CERUMO RC F(平手晃平)と接触してコースアウト。GT300クラスのマシンが通過したあとにコースに復帰して、序盤から大きく後れを取ってしまった。

 トップの36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTとの差を2秒まで広げるが、周回遅れのGT300クラスのマシンの処理に手間取って2台は急接近。10周目の130RでGT300クラスのトップを走る55号車 ARTA CR-Z GT(小林崇志)のインに飛び込んだ際に接触しそうになり減速。続くシケイン進入で17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに並ばれ、立ち上がり重視のラインを取った17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが最終コーナーで先行した。

36号車が17号車を引き離した
周回遅れに行く手を阻まれ、36号車と17号車の差は縮まった
17号車が36号車を抜いてトップに浮上

 17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは36号車 PETRONAS TOM'S RC Fとの差をジリジリと広げ、20周目には3秒差、25周目には7秒差と独走態勢を築いた。2位に後退した36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは29周目にルーティーンのピットストップ。5ピット6スティントの作戦を採用した。

17号車が36号車を大きく引き離していく

 17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTはトップをキープしたまま34周目にピットイン。こちらは4ピット5スティントと異なる戦略となった。ピットアウトすると36号車 PETRONAS TOM'S RC Fはすぐ後方。アウトラップの逆バンクで36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴)がトップの座を奪い取った。36号車 PETRONAS TOM'S RC Fがピットインする前は2台の差は8秒ほどあったが、ピット作業で8秒、交代した中嶋一貴が33周目に1分53秒台、34周目と35周目に1分52秒台と、17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTの1分54~55秒台を2~3秒上まわるラップタイムでその差を詰め、逆転に成功した。

 各車1回目のルーティーンのピットストップを終え、レース距離のほぼ1/4となる44周目の順位は、1位が36号車 PETRONAS TOM'S RC F、2位が17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT、3位が3号車 MOTUL AUTECH GT-R、4位が18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT、5位が8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT、6位が39号車 DENSO KOBELCO SARD RC Fとなった。

好調な走りを見せた8号車。終盤には表彰台争いにも参加

 レース中盤はピットタイミングの違いで36号車 PETRONAS TOM'S RC F、17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがトップに立つが、5ピット6スティント作戦を採った36号車 PETRONAS TOM'S RC Fがラップタイムでは1歩リード。最終的には1回ピットインが多くなるので約1分半のマージンを稼ぐ必要があり、終盤まで結末が分からない展開となった。

 レースの折返しとなる87周目で、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは2位の17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに対し39秒のリード。3位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに対しては55秒のリード。このままのペースでは最終ピットインまでに17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに対し1分半のマージンは稼げない。何も起こらなければ残り数周でトップ2台は僅差のバトルになりそうな展開だ。

 ところが、レースの折返しとなる87周目にアクシデントが発生した。2位を走行していた17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大)が130Rでコースアウト。右リアフェンダーを大破させた。そのまま1周走行を続けたが、88周目にピットインしてリタイヤとなった。

 これでトップに立ったのは23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)。17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTと同じ4ピット5スティント作戦を採っている。見かけ上のトップには立ったが、このままのペースでは最終ピットインで36号車 PETRONAS TOM'S RC Fに逆転される計算だ。

 一方の36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは、29周、58周、87周とキッチリ29周ごとにピットイン。4回目のピットインも29周刻みの116周目にピットに入った。ピットアウトすると最終コーナーに23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)。アウトラップでペースが遅い36号車 PETRONAS TOM'S RC F(ジェームス・ロシター)と23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが急接近する。デグナーカーブでテール・トゥ・ノーズとなり、逆転は時間の問題と思われた。2台ともに残すピットインは1回。23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとしては、給油時間、ラップタイム、タイヤライフで不利なことを考慮すれば、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fの前に出て少しでも抑えたい。

 23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがヘアピンでアウトから並びかけるが、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fがラインを膨らませて強引にブロック。スプーン、130Rで再び差を詰めた23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがシケインのブレーキングでアウトから並びかけたが、2台とも止まりきれずにシケインをショートカット。さらに最終コーナーでも36号車 PETRONAS TOM'S RC Fが23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのラインを強引にふさいで逆転を阻止した。アウトラップを終えると、それぞれの戦略どおり2台の差は120周目には3秒、130周目には12秒と広がっていく。

アウトラップの激しい攻防を制し、36号車が23号車の抑えてトップをキープ

 レースの3/4となる130周目の順位は、トップが36号車 PETRONAS TOM'S RC F、2位が23号車 MOTUL AUTECH GT-R、トップから1分42秒差の3位が39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F、2分23秒差の4位が18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTとなった。

 最後のピットインを23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが140周目、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fと18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが145周目、39号車 DENSO KOBELCO SARD RC Fが146周目に行い、これでほぼ順位は確定かと思われた。

 ところが、3位を走る39号車 DENSO KOBELCO SARD RC Fの左リアタイヤがアウトラップのデグナーカーブで外れて万事休す。39号車 DENSO KOBELCO SARD RC Fは今期初表彰台を目の前にしながら無念のリタイヤとなった。これで18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが事実上の3位に浮上。

タイヤが外れて表彰台を逃した39号車
終盤は独走態勢でゴールを目指した36号車

 コースアウト、タイヤバーストなどのアクシデントは発生したが、終わってみれば心配された雨も降らず、セーフティーカーの導入もなし。5時間37分と6時間を大幅に切るタイムで36号車 PETRONAS TOM'S RC Fがチェッカーを受けた。23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが2位、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが3位という結果で、レクサス、日産、ホンダが表彰台を分けあった。

優勝した36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)
2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
3位は18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)

GT500クラスの結果
1位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)
2位 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
3位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
4位 8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮)
5位 6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資)
6位 100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀)
7位 37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)
8位 1号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平)
9位 24号車 D'station ADVAN GT-R(ミハエル・クルム/佐々木大樹)
10位 12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)

 全8戦で行われるSUPER GTの2014年シリーズも6戦が終了。ドライバーズラインキングはこのレースで2位になった23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが、37号車 KeePer TOM'S RC Fを逆転してトップに立った。

GT500クラス 年間ランキング
1位 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ) 60
2位 37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ) 56
3位 12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ) 49
4位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴) 47
5位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F(ジェームス・ロシター) 47
6位 6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資) 42
7位 1号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平) 39
8位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴) 39
9位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(フレデリック・マコヴィッキィ) 36
10位 46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝) 25

 次戦は10月4日~5日にタイのブリーラム ユナイテッド インターナショナル サーキットで開催される。そして、11月15日~16日にツインリンクもてぎで最終戦が開催されるスケジュールだ。

(奥川浩彦)