ニュース

スーパーフォーミュラ、横浜ゴムのワンメイクタイヤを使う初のエンジンメーカー・ルーキードライバーテスト開催

マクラーレン・ホンダのリザーブ/テストドライバー「ストフェル・バンドーン」選手も参加

2015年11月25日~26日開催

 全日本選手権スーパーフォーミュラ(来シーズンからは全日本スーパーフォーミュラ選手権)を運営する日本レースプロモーションは11月25日~26日の2日間、エンジンメーカー・ルーキードライバーテストを三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催している。

 このテストは、来シーズンを見据えて新しいドライバーをテストする場となっているほか、とくに今回は2016年シーズンからタイヤのワンメイク供給を開始する横浜ゴムが、本格的に全チームにタイヤを供給して臨む初めてのテストとなっており、その観点からも注目を集めている。

 注目のルーキードライバーとしては、今年のGP2でチャンピオンを獲得し、マクラーレン・ホンダのテストドライバーを務めているストフェル・バンドーン選手がDOCOMO TEAM DANDELION RACINGから参加して大きな注目を集めている。また、2012年の全日本F3選手権のチャンピオンで、SUPER GTのGT500クラスで活躍中の関口雄飛選手がLenovo TEAM IMPULから参加しており、こちらも注目されている。

 さらに今年の全日本F3選手権チャンピオンのニック・キャシディ選手のほか、リッチー・スタンウェイ選手、ステファノ・コレッティー選手、ジャズマン・ジャッファー選手など多くの外国人ドライバーもテストに参加。海外でスーパーフォーミュラに対しての注目が高まっていることを伺わせている。

“未来のF1チャンピオン”と目されるバンドーン選手はマシントラブルで十分に走れず

 今回行われたテストには、注目を集めるルーキードライバーが数多く参加している。その代表格が、今年のGP2チャンピオンで、マクラーレン・ホンダのリザーブ/テストドライバーであるストフェル・バンドーン選手。ベルギー出身のバンドーン選手は圧倒的な成績でGP2チャンピオン獲得を決めており、今週末にアブダビで行われるF1グランプリの最終戦にマクラーレン・ホンダのリザーブドライバーとして参加する。また、GP2の最終戦にも臨む予定で、このテスト終了後に空港に向かい、明後日からのアブダビGPに参加することになっている。

 バンドーン選手はGP2を圧倒的な成績で制覇したことからも分かるように、将来を嘱望されているドライバー。かつてのルイス・ハミルトンがそうだったように、マクラーレンのジュニアドライバーとして、将来のマクラーレンのエース、ひいては世界チャンピオンを目指すドライバーだと見なされている超有望株だ。ただ、来年のマクラーレン・ホンダのシートは、すでにフェルナンド・アロンソ選手とジェンソン・バトン選手の2人に決まっており、バンドーン選手がF1に昇格するのは難しい状況。このため、来年マクラーレン・ホンダのテスト/リザーブドライバーを務めるとしても、実戦の感覚を失わないレースカテゴリーで、かつGP2よりもF1に近いカテゴリーということで、スーパーフォーミュラが候補となっているのだ。

 今回バンドーン選手は、ホンダ勢の有力チームDOCOMO TEAM DANDELION RACINGから参加している。今年は野尻智紀選手が乗っていた40号車をドライブしたバンドーン選手だが、最初の1時間を走ったところでマシントラブルが発生。その後はずっとガレージで過ごすことになってしまった。このため、バンドーン選手はタイムを更新できず、17位という順位で午前中のセッションを終えることになった。

ストフェル・バンドーン選手がドライブするDOCOMO DANDELION M40S SF14
ストフェル・バンドーン選手

 バンドーン選手は「今年はGP2でチャンピオンを獲ったが、F1のオプションが難しく、来年はスーパーフォーミュラに参戦するのが最良かと検討している。マクラーレンとホンダと強いコネクションがあり、日本のダンディライアンとも話し合ってこのテストに参加することを決めた。来年のことはまだ決まっていないが、来年に向けてこのテストが参考になればいいと思っている」「鈴鹿サーキットは非常に素晴らしいサーキットで、先々月の日本グランプリのときにもマクラーレンチームに帯同して来た。そのときはドライブできなかったけど、今回はドライブすることができて本当に嬉しい。スーパーフォーミュラのマシンはダウンフォースもあるし、特に鈴鹿のセクター1をドライブするのは最高だ」とコメントしている。

注目の関口選手は7位。午前中のトップタイムはチームメイトのオリベイラ選手

 また、もう1人の注目のルーキードライバーとして、2012年の全日本F3選手権チャンピオンであり、2015年はSUPER GTにLEXUS TEAM WedsSport BANDOHの19号車 WedsSport ADVAN RC Fで参戦した関口雄飛選手がLENOVO TEAM IMPULからテストに参加している。今年はアンドレア・カルダレッリ選手が担当していた20号車をドライブした関口選手は順調に周回を重ね、最終的に7位のタイムで午前中のテストを終えた。

 なお、午前中の全体トップは19号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14をドライブしたジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手。2位は16号車 TEAM 無限 SF14の山本尚貴選手、3位は今シーズンのドライバーチャンピオンである石浦宏明選手と続いている。テスト走行はすべて横浜ゴムが新たに供給を開始した、ADVANのマークを付けたワンメイクタイヤを装着して行われている。

20号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14をドライブする関口雄飛選手
トップタイムをマークした19号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手
2番手の16号車 TEAM 無限 SF14の山本尚貴選手
小林可夢偉選手は11位
順位カーナンバードライバーマシンエンジンタイム
1位19J.P.デ・オリベイラLENOVO TEAM IMPUL SF14トヨタ1'37.831
2位16山本尚貴TEAM 無限 SF14ホンダ1,38.331
3位38石浦宏明P.MU/CERUMO・INGING SF14トヨタ1'38.571
4位10塚越広大REAL SF14ホンダ1'38.749
5位34小暮卓史DRAGO CORSE SF14ホンダ1'38.794
6位39国本雄資P.MU/CERUMO・INGING SF14トヨタ1'38.862
7位20関口雄飛LENOVO TEAM IMPUL SF14トヨタ1'38.943
8位64中嶋大祐NAKAJIMA RACING SF14ホンダ1'38.951
9位18中山雄一KCMG Elyse SF14トヨタ1'38.963
10位2アンドレ・ロッテラーPETRONAS TOM'S SF14トヨタ1'38.969
11位8小林可夢偉Team KYGNUS SUNOCO SF14トヨタ1'39.005
12位3ジェームス・ロシターFUJI×D'station KONDO SF14トヨタ1'39.258
13位7平川亮ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14トヨタ1'39.282
14位1中嶋一貴PETRONAS TOM'S SF14トヨタ1'39.417
15位41ジャズマン・ジャッファーDOCOMO DANDELION M41Y SF14ホンダ1'39.422
16位4ニック・キャシディFUJI×D'station KONDO SF14トヨタ1'39.721
17位40ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M40S SF14ホンダ1'39.904
18位15リッチー・スタンウェイTEAM 無限 SF14ホンダ1'40.252
19位65ベルトラン・バゲットNAKAJIMA RACING SF14ホンダ1'40.503
20位11金石年弘REAL SF14ホンダ1'41.615

午後は降雨でウェットコンディション。雨量が少ない段階でタイムを出した車両が上位に

午後のセッションでトップタイムになった関口選手の20号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14

 午後のセッションは13時30分~16時の予定で行われたが、午前中のセッションが終了する11時30分頃から降り出した雨で路面はウェットになり、午後は各車ともウェットタイヤを装着してのテストとなった。

 セッションは2時間半にわたって行われたが、最も路面が乾いていた最初の30分のうちにタイムを出した車両が上位を占める結果となった。午後のセッションでトップに立ったのは、20号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14に乗る関口選手、2位は2号車 PETRONAS TOM'S SF14 アンドレ・ロッテラー選手、3位は午前中トップだった19号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14 オリベイラ選手となった。

 注目のバンドーン選手はベストタイムこそ8位というリザルトだが、より雨量が多くなったセッション後半はほかの上位車両と同等のタイムで走っており、その才能の片鱗を見せつけた。

順位カーナンバードライバーマシンエンジンタイム
1位20関口雄飛LENOVO TEAM IMPUL SF14トヨタ1'46.873
2位2アンドレ・ロッテラーPETRONAS TOM'S SF14トヨタ1'47.365
3位19J.P.デ・オリベイラLENOVO TEAM IMPUL SF14トヨタ1'49.990
4位65ベルトラン・バゲットNAKAJIMA RACING SF14ホンダ1'50.916
5位15リッチー・スタナウェイTEAM 無限 SF14ホンダ1'51.757
6位11伊沢拓也REAL SF14ホンダ1'51.843
7位10塚越広大REAL SF14ホンダ1'52.155
8位40ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M40S SF14ホンダ1'52.615
9位16山本尚貴TEAM 無限 SF14ホンダ1'53.126
10位34小暮卓史DRAGO CORSE SF14ホンダ1'53.154
11位41ステファノ・コレッティDOCOMO DANDELION M41Y SF14ホンダ1'54.260
12位8小林可夢偉Team KYGNUS SUNOCO SF14トヨタ1'56.228
13位1中嶋一貴PETRONAS TOM'S SF14トヨタ1'56.860
14位7平川亮ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14トヨタ1'57.385
15位38石浦宏明P.MU/CERUMO・INGING SF14トヨタ1'57.501
16位64中嶋大祐NAKAJIMA RACING SF14ホンダ1'58.031
17位4ニック・キャシディFUJI×D'station KONDO SF14トヨタ1'58.547
18位3ジェームス・ロシターFUJI×D'station KONDO SF14トヨタ1'58.581
19位39国本雄資P.MU/CERUMO・INGING SF14トヨタ1'58.953
20位18中山雄一KCMG Elyse SF14トヨタ2'00.253

(笠原一輝)